日本の警察が８日に銃撃で死亡した安倍晋三元首相のセキュリティに「否定できない」欠陥があったと認めた。

ＮＨＫなどによると、奈良県警察本部の鬼塚友章本部長は９日の記者会見で「安倍元首相の警護、警備に関する問題があったことは否定できないと考えており、早急にその問題点を把握し、適切な対策を講じて参る」と明らかにした。

鬼塚本部長は「今回の事件は選挙遊説中の元首相の殺害を狙った極めて卑劣で、許しがたい蛮行で、徹底した捜査による事案の全容解明が急務だ。所要の態勢を構築し警護・警備にあたっていたが、安倍元首相が、銃器様のものを発砲されて死亡される結果になったことを極めて、重大かつ深刻に受け止めていて痛恨の極みだ」と話した。


事件が起きる前に兆候があったのかに対し鬼塚本部長は「それぞれの現場において具体的な状況、聴衆の数、その他、あらゆる条件が異なるので、あの時点において、何か事前の兆候があったとは把握していない」と説明した。

その上で、自身が警護計画書を検討し最終的に承認したのは事件当日だったと付け加えた。

鬼塚本部長は今回の事件が「民主社会にとって最も重要な選挙に影響を与えることのないよう必要なことがあればしっかりと対応したい」とした。

安倍元首相は８日午前１１時３０分ごろ、奈良県奈良市の大和西大寺駅前で演説していたところを山上徹也容疑者に銃撃され倒れた後病院に搬送されたが大量出血による失血で死亡した。

事件当時、容疑者は周囲には警察と警視庁所属の警護員（ＳＰ）が配置されていたにもかかわらず安倍元首相に７～８メートルまで接近し銃を発射した。現地メディアはこれを認識して制止したり安倍元首相を守ろうとする警察官は見られなかったは点で警察の警護に隙があったと指摘した。

警察は前日の記者会見で「聴衆の人たちに極力距離をとってほしいのが警備上の要請だが、一方で聴衆は演説者に触れ合いたい思いもあり、そのあたりに警備の難しさがある」と釈明した。