韓国政府が日帝強占期の強制徴用問題の解決法として代位弁済に重点を置くのは、名分と実益を確保でき、日本との交渉が可能という判断からだ。
まず、2018年の大法院(最高裁)の判決にもかかわらず日本企業が賠償をせず、遅れている司法の正義を政府の主導で実現するという象徴的な名分がある。これを受け、日本企業の国内資産に対する現金化手続きが中断すれば、韓日関係改善という外交的な実益も得ることができる。
しかしここでの前提は強制徴用被害者および遺族の同意だ。今後、求償権を請求する装置が用意されるとしても、被害者の立場では日本企業が出すべき賠償金をなぜ韓国政府が解決するのかという疑問を提起する可能性がある。
実際に被害者の意見を尋ねた結果、裁判所の判決に基づく日本企業の賠償金でなければ意味がないという側から、方法はともかく早く補償を受けて終えることを望むという側まで意見は分かれた。日本戦犯企業を相手に損害賠償訴訟を提起した被害者の声を伝える。
<1>「死ぬ前に賠償を受けて終わらせたい」
シン・ヨンヒョンさん(96)は1943年から約3年間、日本の炭鉱と飛行場建設現場で強制労役に苦しんだ。その後70年が経過した2016年、別の強制徴用被害者および遺族99人と共に強制労役に対する損害賠償請求訴訟を提起した。シンさんは「私の意思と関係なく人間扱いもされずに働いたのが悔しく、必ず賠償を受けなければいけない」と話した。
ただ、韓国政府の主導で代位弁済が行われるのならこれを受け入れるという立場だ。シンさんは「もう疲れたし、いつ死んでもおかしくない年齢だ。私が死ぬ前にこの訴訟が終わるか分からない」とし「日本企業の賠償金であれ、韓国政府が調整して代わりに支払うお金であれ、いかなる形態でも終えることができるのなら、もうこの戦いを終わらせたい」と述べた。
またシンさんは「代位弁済であれ支援金であれ韓国政府が努力をすれば多くの被害者の苦痛と悔しさが少しは緩和されるのでは」とし「1人でも多くの被害者が生きている時に問題が解決することを望む」と語った。
同時にシンさんは賠償金のほかにも、日本が強制徴用について反省できるよう韓国政府が努力すべきだと強調した。「賠償金も支払わない日本が今になって我々に謝罪したりしないだろうが、最後にもう一度、韓国政府が日本を説得して被害者を慰めれば心残りはないだろう」と言いながらだ。
<2>「代位弁済が『和解の道』になることを」
パク・サンボクさん(77)の父パク・ナムスンさんは1945年、広島の三菱重工業軍需工場で強制労役をする間、米国が投下した原爆で被爆した。数年間の強制労役の後に故郷に戻ったが、生涯、後遺症に苦しんだ。パクさんは「歴史的に明白な戦争犯罪である強制徴用問題に謝罪の一言もしない日本のことを考えれば怒りが込み上げるが、それよりも韓国政府が被害者に背を向けている状況がもどかしい」と話した。
パクさんは2013年7月、三菱重工業を相手に損害賠償訴訟を請求し、1・2審に勝訴して大法院の確定判決を待っている。訴訟にはパクさんを含めて計14人が参加したが、法的争いが長引き、当初訴訟に参加していた被害当事者はみんな死去した。パクさんは「被害者と遺族が各種書類を集めて訴訟をする間、韓国政府は責任に背を向けていかなる行動もしなかった」と語った。
パクさんは「その政府が代位弁済による解決方法を準備すれば、それだけでも歓迎できることだ」と述べた。ただ「韓国政府が主導して支払うお金を受け取れば、日本の謝罪を要求しないとか、訴訟を取り下げろというなど要求条件があるのではないか」とし「お金を支払って『もうやめなさい』と促すのなら受け入れることはできない」と話した。
そして「韓国政府が積極性を見せて被害者と遺族に賠償が行われるのは終わりでなく始まりにすぎない。そしてその賠償が『和解の道』に続くのか、それとも被害者を愚弄する口止めになるのかは、賠償の具体的な内容、そして日本の態度にかかっている」と強調した。
<3>「お金を支払って終わり? 歴史の罪人になる」
強制徴用被害者の遺族イ・チョルグォンさんは「現実的に多くの強制徴用被害者と遺族は賠償金の受領を最も大きな目標に声を出している」とし「しかし強制徴用問題は被害者と遺族には拭えない傷であり、単純にお金に換算できる問題ではない」と述べた。
続いて「韓日関係を改善しようという政府の考えは分かるが、なぜ強制徴用被害にあった韓国が戦犯国の日本の反応を気にしなければいけないのか分からない」とし「政府が方法を用意して代わりに賠償をし、日本企業に免罪符を与えるつもりなら、いかなることがあっても最後まで阻止する」と話した。
イさんは「強制徴用という痛みとこれに対する日本の破廉恥な対応は歴史的に記録すべき部分」とし「韓国政府が拙速に問題解決に出れば、お金をいつ出すのか、いくらを出すのかは関心もなく、その金を受け取りたくもない」と語った。続いて「まず被害者と遺族の痛みを治癒できる情緒的な接近が必要であり、強制徴用被害の事実とそれに対する解決法を歴史的に記録し、我々の子どもと孫が忘れずに記憶できるようにしなければいけない」と述べた。
イさんは「日本企業の代わりに韓国政府が主導して用意した案で被害者に賠償金を支払う場合、後に日本の戦犯企業に求償権を請求できる装置を設ける必要がある」とし「言葉では賠償金を代わりに支払うと言いながら日本企業に求償権を請求しない場合、これは強制徴用問題を解決しようというものではなく、ただ伏せて終えるという意味だ」と話した。
まず、2018年の大法院(最高裁)の判決にもかかわらず日本企業が賠償をせず、遅れている司法の正義を政府の主導で実現するという象徴的な名分がある。これを受け、日本企業の国内資産に対する現金化手続きが中断すれば、韓日関係改善という外交的な実益も得ることができる。
しかしここでの前提は強制徴用被害者および遺族の同意だ。今後、求償権を請求する装置が用意されるとしても、被害者の立場では日本企業が出すべき賠償金をなぜ韓国政府が解決するのかという疑問を提起する可能性がある。
実際に被害者の意見を尋ねた結果、裁判所の判決に基づく日本企業の賠償金でなければ意味がないという側から、方法はともかく早く補償を受けて終えることを望むという側まで意見は分かれた。日本戦犯企業を相手に損害賠償訴訟を提起した被害者の声を伝える。
<1>「死ぬ前に賠償を受けて終わらせたい」
シン・ヨンヒョンさん(96)は1943年から約3年間、日本の炭鉱と飛行場建設現場で強制労役に苦しんだ。その後70年が経過した2016年、別の強制徴用被害者および遺族99人と共に強制労役に対する損害賠償請求訴訟を提起した。シンさんは「私の意思と関係なく人間扱いもされずに働いたのが悔しく、必ず賠償を受けなければいけない」と話した。
ただ、韓国政府の主導で代位弁済が行われるのならこれを受け入れるという立場だ。シンさんは「もう疲れたし、いつ死んでもおかしくない年齢だ。私が死ぬ前にこの訴訟が終わるか分からない」とし「日本企業の賠償金であれ、韓国政府が調整して代わりに支払うお金であれ、いかなる形態でも終えることができるのなら、もうこの戦いを終わらせたい」と述べた。
またシンさんは「代位弁済であれ支援金であれ韓国政府が努力をすれば多くの被害者の苦痛と悔しさが少しは緩和されるのでは」とし「1人でも多くの被害者が生きている時に問題が解決することを望む」と語った。
同時にシンさんは賠償金のほかにも、日本が強制徴用について反省できるよう韓国政府が努力すべきだと強調した。「賠償金も支払わない日本が今になって我々に謝罪したりしないだろうが、最後にもう一度、韓国政府が日本を説得して被害者を慰めれば心残りはないだろう」と言いながらだ。
<2>「代位弁済が『和解の道』になることを」
パク・サンボクさん(77)の父パク・ナムスンさんは1945年、広島の三菱重工業軍需工場で強制労役をする間、米国が投下した原爆で被爆した。数年間の強制労役の後に故郷に戻ったが、生涯、後遺症に苦しんだ。パクさんは「歴史的に明白な戦争犯罪である強制徴用問題に謝罪の一言もしない日本のことを考えれば怒りが込み上げるが、それよりも韓国政府が被害者に背を向けている状況がもどかしい」と話した。
パクさんは2013年7月、三菱重工業を相手に損害賠償訴訟を請求し、1・2審に勝訴して大法院の確定判決を待っている。訴訟にはパクさんを含めて計14人が参加したが、法的争いが長引き、当初訴訟に参加していた被害当事者はみんな死去した。パクさんは「被害者と遺族が各種書類を集めて訴訟をする間、韓国政府は責任に背を向けていかなる行動もしなかった」と語った。
パクさんは「その政府が代位弁済による解決方法を準備すれば、それだけでも歓迎できることだ」と述べた。ただ「韓国政府が主導して支払うお金を受け取れば、日本の謝罪を要求しないとか、訴訟を取り下げろというなど要求条件があるのではないか」とし「お金を支払って『もうやめなさい』と促すのなら受け入れることはできない」と話した。
そして「韓国政府が積極性を見せて被害者と遺族に賠償が行われるのは終わりでなく始まりにすぎない。そしてその賠償が『和解の道』に続くのか、それとも被害者を愚弄する口止めになるのかは、賠償の具体的な内容、そして日本の態度にかかっている」と強調した。
<3>「お金を支払って終わり? 歴史の罪人になる」
強制徴用被害者の遺族イ・チョルグォンさんは「現実的に多くの強制徴用被害者と遺族は賠償金の受領を最も大きな目標に声を出している」とし「しかし強制徴用問題は被害者と遺族には拭えない傷であり、単純にお金に換算できる問題ではない」と述べた。
続いて「韓日関係を改善しようという政府の考えは分かるが、なぜ強制徴用被害にあった韓国が戦犯国の日本の反応を気にしなければいけないのか分からない」とし「政府が方法を用意して代わりに賠償をし、日本企業に免罪符を与えるつもりなら、いかなることがあっても最後まで阻止する」と話した。
イさんは「強制徴用という痛みとこれに対する日本の破廉恥な対応は歴史的に記録すべき部分」とし「韓国政府が拙速に問題解決に出れば、お金をいつ出すのか、いくらを出すのかは関心もなく、その金を受け取りたくもない」と語った。続いて「まず被害者と遺族の痛みを治癒できる情緒的な接近が必要であり、強制徴用被害の事実とそれに対する解決法を歴史的に記録し、我々の子どもと孫が忘れずに記憶できるようにしなければいけない」と述べた。
イさんは「日本企業の代わりに韓国政府が主導して用意した案で被害者に賠償金を支払う場合、後に日本の戦犯企業に求償権を請求できる装置を設ける必要がある」とし「言葉では賠償金を代わりに支払うと言いながら日本企業に求償権を請求しない場合、これは強制徴用問題を解決しようというものではなく、ただ伏せて終えるという意味だ」と話した。
この記事を読んで…