23日午後、ソウル・麻浦区(マポグ)のロッテシネマの売店では従業員2人が会計したりポップコーンを器に入れたり、奔走していた。上映館への入口にはチケットを確認する人は見えなかった。「指定された座席に座ってください」という案内文だけ貼られていた。今月初め、ソウル松坡区(ソンパグ)の映画館を訪れたキム氏(43)も、「上映館に入って席に座るまで、チケットを確認する人はいなかった」と伝えた。
ロッテシネマは、全館でチケット確認担当者を置かない自主入場制を実施している。メガボックス・CGVなどのマルチプレックス映画館も一部の支店では自主入場でチケット確認担当者なしで運営することにした。売店の運営だけでも人員がギリギリの状況で、チケットの検査のために1人抜けるだけで業務負担が大きくなったためだ。メガボックス・CGV・ロッテシネマなど主要な映画館チェーンは新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)以前に比べて70~90%水準の売り場人材で運営している。しかし、求人広告は常に掲載されている。
◆ホテルやレストランなど求人難の「直撃弾」
ソウル・江南(カンナム)で焼肉店を経営しているソン氏(45)は、2階建ての食堂の1階のみ営業した。最近、社会的距離確保解除で来店客は増えたが、従業員を採用できず、2階には来店客を入れることができずにいる。ソン氏は「2階をオープンできないため、予約の問い合わせを断るのが常」とし、「時給を上げても志願者がいないため、アルバ(バイト)天国・アルバモンのようなサイトで何度も再読み込みし、履歴書が登録されるとすぐ、働くつもりはないかとこちらから問い合わせている」と話した。
26日、中央日報の取材を総合すると、映画館だけでなくホテル・飲食店・カフェなど対面サービス業の求人難が限界に達している。4月に社会的距離確保政策が2年1カ月ぶりに解除されて以来、客は速いスピードで増えているが、人手は以前ほど補充されていないためだ。サービス業関係者らは「採用しないのではなく採用できない」とし「求人公告を出し続けているが、以前ほど志願者がいない」と吐露した。
(1)労働需要の急増
原因は複合的だ。まず、雇用の需要が急激に増えた。パンデミック前までは小幅の変動があったが、一定水準のアルバイトが持続的に維持された。そうするうちに新型コロナ拡散の時は大幅な人員削減があり、彼らは雇用市場を離れた。映画館CGVの関係者は「昨年から今年初めまでアルバイトの規模は2019年に比べて半分水準だった」として「社会的距離確保の解除1週間前から再び採用を始めた」と述べた。
社会的距離確保政策解除以降、大半のサービス業種で一斉に雇用を増やそうとしたため、労働供給がその需要に追いつかないという分析が出ている。各業者の立場では働き手が足りないと感じるほかない。
(2)プラットフォーム雇用
プラットフォーム労働市場が急激に成長した影響もある。以前までは雇用がなかった、または多くなかった配達業のようなプラットフォーム市場が社会的距離確保政策の影響で急激に拡大した。固定された時間に働かなければならないサービス業が、希望する時間に勤務可能なプラットフォーム労働に比べて魅力が劣るという分析が出ている。代表的なプラットフォーム労働者に挙げられる配達員は昨年下半期基準で42万8000人で、1年間で9.7%増加し過去最多だった。
サービス産業において非対面業種が占める比重が大きくなり、スマートフォンを持ち歩きながら働き口を探して稼ぐいわゆる「デジタルノマド(遊牧民)」が増え、対面サービス業種の人材難はますます深刻化するという見方が多い。
(3)人口の減少
青年人口が減少したことも影響を及ぼした。韓国統計庁によると、先月基準で15~29歳の人口は859万5000人だ。新型コロナ以前の2019年同月には907万3000人だった。15~29歳には大学生・就活生などが含まれ、対面サービス関連のアルバイトを最も活発にする年齢帯だ。青年人口は継続して減少傾向にあったが、今年だけで前年比20万4000人(2.3%)減少するなど、その速度が最近になって速まった。
(4)大学の正常化
新型コロナで享受できなかったキャンパスのロマンを楽しもうとしているためだという分析も出ている。3年ぶりに対面授業や大学祭などが再開されたため、大学1年生から3年生までが皆、新入生になった気分で学校に通っているということだ。ホテル業界の関係者は「コロナ前は、アルバイトは大学2・3年生が多かったが、彼らが新入生のように酒を飲んでサークル活動などを楽しむために志願しないようだ」と話した。
(5)MZ世代の特性
青年の世代人口が減っただけでなく、いわゆる「Z世代」が主軸を成している。以前と同じ単純労働でのパートタイム勤務は若い世代の特性上、忌避されているという分析もある。建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授は「MZ世代はわずかな時給より自分の時間が確保できたりキャリアに役立つ仕事をしようとする傾向がある」と説明した。新型コロナで非対面活動に慣れた世代のため、対面サービス業を難しがっているという業界の分析も出た。
◆「人口構造・世代の変化を反映すべき」
映画・ホテル・カフェ・居酒屋など代表的なサービス業が求人対象を青年に限定しては限界があると指摘されている。欧米のように中高年層のサービス提供を日常的に受け入れる時が来たということだ。専門家らは「人口構造が変わるにつれ、文化が変わらなければ解決策が見出せない」と口をそろえる。
ユン教授は「中年やシニアを雇用して求人難を解消すると共にMZ世代に合わせた対策が必要」とし、「米国はパートタイムから始めて経歴と能力を認められれば支店長・店長にまでなることができるが、韓国は最初の出発をどうするかによって決定される構造が問題」と指摘した。続けて「最近の世代は仕事をしながら成長することを求めるため長期的ビジョンを提示する非正規職改革が必要だ」と述べた。
ロッテシネマは、全館でチケット確認担当者を置かない自主入場制を実施している。メガボックス・CGVなどのマルチプレックス映画館も一部の支店では自主入場でチケット確認担当者なしで運営することにした。売店の運営だけでも人員がギリギリの状況で、チケットの検査のために1人抜けるだけで業務負担が大きくなったためだ。メガボックス・CGV・ロッテシネマなど主要な映画館チェーンは新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)以前に比べて70~90%水準の売り場人材で運営している。しかし、求人広告は常に掲載されている。
◆ホテルやレストランなど求人難の「直撃弾」
ソウル・江南(カンナム)で焼肉店を経営しているソン氏(45)は、2階建ての食堂の1階のみ営業した。最近、社会的距離確保解除で来店客は増えたが、従業員を採用できず、2階には来店客を入れることができずにいる。ソン氏は「2階をオープンできないため、予約の問い合わせを断るのが常」とし、「時給を上げても志願者がいないため、アルバ(バイト)天国・アルバモンのようなサイトで何度も再読み込みし、履歴書が登録されるとすぐ、働くつもりはないかとこちらから問い合わせている」と話した。
26日、中央日報の取材を総合すると、映画館だけでなくホテル・飲食店・カフェなど対面サービス業の求人難が限界に達している。4月に社会的距離確保政策が2年1カ月ぶりに解除されて以来、客は速いスピードで増えているが、人手は以前ほど補充されていないためだ。サービス業関係者らは「採用しないのではなく採用できない」とし「求人公告を出し続けているが、以前ほど志願者がいない」と吐露した。
(1)労働需要の急増
原因は複合的だ。まず、雇用の需要が急激に増えた。パンデミック前までは小幅の変動があったが、一定水準のアルバイトが持続的に維持された。そうするうちに新型コロナ拡散の時は大幅な人員削減があり、彼らは雇用市場を離れた。映画館CGVの関係者は「昨年から今年初めまでアルバイトの規模は2019年に比べて半分水準だった」として「社会的距離確保の解除1週間前から再び採用を始めた」と述べた。
社会的距離確保政策解除以降、大半のサービス業種で一斉に雇用を増やそうとしたため、労働供給がその需要に追いつかないという分析が出ている。各業者の立場では働き手が足りないと感じるほかない。
(2)プラットフォーム雇用
プラットフォーム労働市場が急激に成長した影響もある。以前までは雇用がなかった、または多くなかった配達業のようなプラットフォーム市場が社会的距離確保政策の影響で急激に拡大した。固定された時間に働かなければならないサービス業が、希望する時間に勤務可能なプラットフォーム労働に比べて魅力が劣るという分析が出ている。代表的なプラットフォーム労働者に挙げられる配達員は昨年下半期基準で42万8000人で、1年間で9.7%増加し過去最多だった。
サービス産業において非対面業種が占める比重が大きくなり、スマートフォンを持ち歩きながら働き口を探して稼ぐいわゆる「デジタルノマド(遊牧民)」が増え、対面サービス業種の人材難はますます深刻化するという見方が多い。
(3)人口の減少
青年人口が減少したことも影響を及ぼした。韓国統計庁によると、先月基準で15~29歳の人口は859万5000人だ。新型コロナ以前の2019年同月には907万3000人だった。15~29歳には大学生・就活生などが含まれ、対面サービス関連のアルバイトを最も活発にする年齢帯だ。青年人口は継続して減少傾向にあったが、今年だけで前年比20万4000人(2.3%)減少するなど、その速度が最近になって速まった。
(4)大学の正常化
新型コロナで享受できなかったキャンパスのロマンを楽しもうとしているためだという分析も出ている。3年ぶりに対面授業や大学祭などが再開されたため、大学1年生から3年生までが皆、新入生になった気分で学校に通っているということだ。ホテル業界の関係者は「コロナ前は、アルバイトは大学2・3年生が多かったが、彼らが新入生のように酒を飲んでサークル活動などを楽しむために志願しないようだ」と話した。
(5)MZ世代の特性
青年の世代人口が減っただけでなく、いわゆる「Z世代」が主軸を成している。以前と同じ単純労働でのパートタイム勤務は若い世代の特性上、忌避されているという分析もある。建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授は「MZ世代はわずかな時給より自分の時間が確保できたりキャリアに役立つ仕事をしようとする傾向がある」と説明した。新型コロナで非対面活動に慣れた世代のため、対面サービス業を難しがっているという業界の分析も出た。
◆「人口構造・世代の変化を反映すべき」
映画・ホテル・カフェ・居酒屋など代表的なサービス業が求人対象を青年に限定しては限界があると指摘されている。欧米のように中高年層のサービス提供を日常的に受け入れる時が来たということだ。専門家らは「人口構造が変わるにつれ、文化が変わらなければ解決策が見出せない」と口をそろえる。
ユン教授は「中年やシニアを雇用して求人難を解消すると共にMZ世代に合わせた対策が必要」とし、「米国はパートタイムから始めて経歴と能力を認められれば支店長・店長にまでなることができるが、韓国は最初の出発をどうするかによって決定される構造が問題」と指摘した。続けて「最近の世代は仕事をしながら成長することを求めるため長期的ビジョンを提示する非正規職改革が必要だ」と述べた。
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