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【私は告発する】銃殺が明白だが北に強制送還…「人が優先」と言っていた文政権の悪らつ(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆縄で縛って強制送還 国民に隠した文政権

さらに目隠しをして縄で縛り、北朝鮮に引き渡した瞬間に脱北者がしゃがみ込んでしまったという報道に接し、本当に心が痛んだ。無慈悲という中国もこのようなことはしない。周囲の脱北者に聞いてみると、中国で逮捕されて北朝鮮に送還される直前には、中国の刑務官も「腹が減ればまた来なさい」と同情するような表情で食事を与えるという。こうした点では中国よりも劣る国が文在寅政権の大韓民国だった。

この事件が明らかになった過程も人権とは距離がある。青瓦台の数人が密室で決めた後、国民には隠そうとしたが、偶然にも国連軍司令部所属の将校が青瓦台が報告する文字メッセージがメディアにもれ、やむを得ず公開した。意図せずに露出したということだ。にもかかわらず当時の鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台国家安保室長は「憲法の保護を受ける最小限の条件を満たしていなかった」と述べた。確実な捜査もせず同僚を殺して逃げてきた凶悪犯だと規定した後、国民の安全を守るために受け入れることはできないという主張だった。この文章一つだけを見ても複数の問題がある。まずは憲法に背く。大韓民国の領土を韓半島(朝鮮半島)と規定した憲法3条に基づき、北朝鮮住民も韓国の国民と見なさなければならない。凶悪犯なら国民と見なせないというのは奇怪な言葉遊びにすぎない。また北朝鮮に帰せば処刑でなくとも収容所などに送られて拷問を受ける可能性が高いにもかかわらず送還し、韓国が加入した国連拷問禁止条約にも背く。


黙っていられなかった。メディアのインタビューや寄稿、放送出演などで文在寅政権の悪らつな対応を批判しようと努力したが何も変わらず、特別検察官の話が出てもすぐに消えた。「脱北者の権益のために取り組む党がなければ、私が一度変えてみよう」と決心したが、それは必ずしも政治参加を意味するものではなかった。ただ、人の命に関することを密室で数人が無作為に決定することをまったく理解できず、必ず変えたいと思ったにすぎない。ところで周囲では、そのような力があるのは立法府だけだというため、結局、出馬を決心し、その結果、脱北者で最初の大韓民国国会議員になった。このように脱北者の強制送還事件は私の人生も完全に変えた。

実際、第21代国会に入ってみると、国民の力(当時は未来統合党)が少数党であり、できることはあまりなかった。しかし機会があるたびにこの事件に対して問題を繰り返し提起した。対政府質問デビューだった2020年7月をはじめ、2021年2月の鄭義溶外交部長官候補者の人事聴聞会、そして国会運営委所属として国家人権委員会の国政監査当時、宋斗煥(ソン・ドゥファン)国家人権委員長に何度か問題を提起した。当時、私は「この事件は強制送還、人権侵害でないか答えてほしい」と要求し、宋委員長は「そうだ」と答えて関連事実を認めた。

◆金正恩委員長も事件の処理を見守る

国民の生命と安全を放棄し、最も崇高な人権の価値まで捨てた非人道的なことは二度とが繰り返されてはいけない。国家の最も根本的な存在理由と責務に対する事案に国会が率先して取り組むのは当然のことだ。今回の西海公務員射殺事件や脱北者強制送還事件に関する真実が明らかになれば、政界はもちろん社会的にまた大きな衝突につながる可能性が高い。しかし真実を隠して傷口が膿むよりも、正しい事実に基づいて再発しないように整理してこそ、回復することができる。すでに我々は過去にも、虚偽に基づく集会がどれほどの混乱をもたらして無意味であるかを何度か見てきたはずだ。

ただ、大乗的協治、超党派的協力の必要条件は真実であるだけに、今からでも国民の命と安全の問題については与野党が政派的な立場を離れて、真実だけを置いて協力すればよい。いま金正恩(キム・ジョンウン)政権も今回の西海公務員射殺事件や脱北者強制送還事件の真実が明らかになるかを見守っている。我々は金正恩政権の前でも大韓民国が国民の命の安全と名誉をどれほど重視する国であるかを見せなければならない。

太永浩(テ・ヨンホ)/国民の力国会議員


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