米国がアジアで中国に軍事的優位を失っており、この地域で軍事力を強化すべきという主張がニューヨーク・タイムズに掲載された。カーネギー財団インド太平洋安全保障選任研究員のアシュリー・タウンゼント氏と英国際戦略研究所（ＩＩＳＳ）アジア支部長のジェームズ・クラブトリー氏は１５日、同紙に寄稿したコラムを通じて米国は中国の挑戦に緊急に対処すべきとしてこのように強調した。

２人の専門家は先月２６日に中国の戦闘機が南シナ海上空で監視活動をしていたオーストラリアの哨戒機を相手に威嚇飛行をしながら相手のレーダーを混乱させるチャフと呼ばれる金属片を散布した事件をはじめとして、中国の挑発が頻繁になったと指摘した。中国の戦闘機は最近、インド太平洋空域で国連の承認の下に北朝鮮の国連制裁違反の有無を監視するカナダ空軍の哨戒機にも数十回にわたり６～３０メートルまで近接飛行をした。これと関連してオーストラリアのアルバニージ首相とカナダのトルドー首相は「極度の懸念」を表明した。

２人の専門家は中国のこうした一連の挑発は中国がアジアで米国と同盟国を軍事的にテストしようとする意志を見せるものと解釈し、米国がこれを軽く考えてはならないと助言した。米国がウクライナなど世界に力を分散する間に中国は世界最大の海軍とアジア最大の空軍を保有するに至ったとしながらだ。


実際に昨年米国防総省が発刊した中国軍事・安全保障報告書によると、中国の核弾頭保有規模は２０２７年に７００個に増え２０３０年には１０００個を超える見通しだ。これは２０２０年の報告書で予想したより２倍以上速いスピードだ。米国防総省は中国が２０４９年まで米国と同等か米国を上回る力を持ってインド太平洋地域で米国の安全保障協力網を解体しようとすると報告した。

２人の専門家もアジアで米国の防衛力は日本に駐留する５万５０００人、韓国の２万８０００人、その他オーストラリア、フィリピン、グアムなど数千人にとどまり、「１９５０年代以降ほとんど変わらない」と懸念する。その上米国が現在直面している限界を考慮すれば今後の状況も容易ではないとみた。アジア駐留米軍を増員したくても予算が十分でなくワシントンの政界の合意不足で簡単にできずにいるとしながらだ。

もちろんバイデン政権は今年の国防費として８１３０億ドルを策定するなど昨年より４％多い過去最大の国防予算を策定したが、「急増するインフレで増加分の多くの効果が返却されるだろう」と２人の専門家は主張した。

２人の専門家は「中国は米国にとってロシアより長期的にもっと大きな安全保障脅威という事実を忘れてはならない。米国が新たな資源を（アジアに）導入しない限り中国が米国のより優位に立つ可能性が高い」と警告した。２人の専門家は米国がハワイ西部地域に兵力をさらに分配して軍需と防空網を改善し、オーストラリア、日本、インドにさらに多くの軍事技術力を提供して集団防衛戦略を強化すべきと提言した。

２人の専門家は「このようにしても力の均衡は危うい。米国は中国の挑戦を緊急でないものと考えアジアでの防衛戦略を長く軽視してきたため。欧州で広がる（ロシアのウクライナ侵攻）場面は抑止力が失敗した時に現れることを想起させてくれる」と指摘した。