先月7日に匿名の投資家が8500万ドル相当のテラUSD(UST)を売った。暗号資産版の「リーマンショック」と呼ばれるテラとルナ暴落の出発点だった。その後1週間で蒸発した金額は約58兆ウォン(約6兆1706億円)。数多くの暗号資産投資家が大損した。先月19日から被害者の告発が続いている。この捜査は告発前日の先月18日に復活したソウル南部地検金融証券犯罪合同捜査団が担当する。新政権になって復活した捜査チームと史上初の暗号資産詐欺疑惑事件が一本橋で出会った局面だ。暴落から1カ月、捜査には進展があっただろうか。
◇検察、1カ月にわたり張本人の身柄確保に集中
現在まで事件の張本人であり被告発人であるテラフォームラボのクォン・ドヒョン代表の所在が把握されているか明らかにされていない。クォン代表はテラ暴落前にテラフォームラボ本社所在地であるシンガポールなどに居住していたという。現在も韓国国内にはいないとされる。検察関係者は「捜査の核心は被疑者の身柄確保だ。現在クォン代表の所在把握に乗り出している。捜査中の事案のため事実確認は難しい」と言葉を控えた。彼の身柄を確保するためにインターポールへの手配や犯罪人引き渡しなどの措置が必要になるかもしれない。この場合、手続き的な問題で身柄確保に時間が長くかかる公算が大きい。
法曹界の一部では2019年のライム事件と比較したりもする。当時事件の「本体」であるメトロポリタンのキム・ヨンホン会長は海外に逃避しまだ行方がわからないためだ。検察関係者は「当事者が任意帰国を拒否すれば事実上捜査に支障が生じる。ライム事件と似た様相になりかねない」と話す。
クォン代表の親戚はあるメディアとのインタビューで「依然としてシンガポールにおり、現在ある法律事務所に事件を任せた。捜査に応じるだろう」と話した。この法律事務所はクォン代表の事件と関連し「顧客の同意なく担当の有無を教えることはできない」と答えた。
◇詐欺と類似受信、暗号資産に適用できるか
クォン代表が告発された容疑は詐欺と特定経済犯罪加重処罰法上の詐欺、類似受信行為の規制に関する法律違反などだ。しかしそれぞれの容疑は法律攻防を予告している。
詐欺罪の場合、クォン代表がステイブルコインのアルゴリズムに誤りがあったのか、約束したアンカープロトコル「年固定利率19.4%」を維持できなかったことを認知していたのかが争点になる見通しだ。瑕疵を知りながら故意に知らせなかったかが立証されてこそ詐欺罪で刑罰を決められるためだ。
被害者の告訴代理人を務めるLKBパートナーズは「USTをステイブルに維持するアルゴリズム自体に誤りがあることを開発者とクォン代表は初期から知っていただろう。それでも価値を維持できるという形で話したのは被害者をだます行為」と主張している。法務法人テゴンのハン・サンジュン弁護士は「アンカープロトコルの利率19.4%を保障するよう話したが、これに対する財源と収益モデルは明確でなかった」と話した。続けて「今後投資金でこれを埋める典型的なポンジースキームによる詐欺スタイルで、この危険性を告知しないのは不作為による詐欺」と主張した。
これに対しては専門家らの多様な見解がある。弁理士である法務法人デライトのチョ・ウォンヒ弁護士は「暗号資産でテラフォームラボのステイブルコインのアルゴリズムは資産を担保しない分野でほとんど唯一の成功例として知られている。アルゴリズム設計自体から誤りがあり、これを知っていたのか故意性を立証するのは容易ではないだろう」と話した。続けて「アンカープロトコルを導入してからは年20%の利子をどのように調達する計画だったか、内部的に問題提起はなかったのかにより詐欺罪になり得るだろう」と付け加えた。
類似受信行為違反容疑は暗号資産が法令上の「金銭」に該当するのかから議論になる見通しだ。フィンテックが専門のホ・ジュンボム弁護士は「刑事法は罪刑法定主義によって厳格に解釈するが現行法上暗号資産は法定通貨に属さない」と指摘した。
◇被害回復は未知数
被害回復は可能だろうか。告発人側は刑事的責任を問うた後に民事上の損害賠償訴訟を継続する計画だ。これに対し法務法人リンのク・テオン弁護士は「テラフォームラボのテラ暴落が刑事処罰されなくても、今回の事態の原因が不十分な構造ということが判明するならば民事的な損害賠償、すなわち過失で投資家に損害を及ぼしたと評価できる余地もある」としながらも、「ただこの場合被害者はそれぞれ民事訴訟を通じて被害を立証すべき」とした。チョ・ウォンヒ弁護士は「テラフォームラボが投資家が受けた天文学的被害を穴埋めする財源があるのか未知数」と懸念する。チョ弁護士は「テラフォームラボが持っているテラとルナは価値がなくなっており、保有するビットコインなどはコインの暴落を防ぐために使ったものと理解している」と話した。
◇検察、1カ月にわたり張本人の身柄確保に集中
現在まで事件の張本人であり被告発人であるテラフォームラボのクォン・ドヒョン代表の所在が把握されているか明らかにされていない。クォン代表はテラ暴落前にテラフォームラボ本社所在地であるシンガポールなどに居住していたという。現在も韓国国内にはいないとされる。検察関係者は「捜査の核心は被疑者の身柄確保だ。現在クォン代表の所在把握に乗り出している。捜査中の事案のため事実確認は難しい」と言葉を控えた。彼の身柄を確保するためにインターポールへの手配や犯罪人引き渡しなどの措置が必要になるかもしれない。この場合、手続き的な問題で身柄確保に時間が長くかかる公算が大きい。
法曹界の一部では2019年のライム事件と比較したりもする。当時事件の「本体」であるメトロポリタンのキム・ヨンホン会長は海外に逃避しまだ行方がわからないためだ。検察関係者は「当事者が任意帰国を拒否すれば事実上捜査に支障が生じる。ライム事件と似た様相になりかねない」と話す。
クォン代表の親戚はあるメディアとのインタビューで「依然としてシンガポールにおり、現在ある法律事務所に事件を任せた。捜査に応じるだろう」と話した。この法律事務所はクォン代表の事件と関連し「顧客の同意なく担当の有無を教えることはできない」と答えた。
◇詐欺と類似受信、暗号資産に適用できるか
クォン代表が告発された容疑は詐欺と特定経済犯罪加重処罰法上の詐欺、類似受信行為の規制に関する法律違反などだ。しかしそれぞれの容疑は法律攻防を予告している。
詐欺罪の場合、クォン代表がステイブルコインのアルゴリズムに誤りがあったのか、約束したアンカープロトコル「年固定利率19.4%」を維持できなかったことを認知していたのかが争点になる見通しだ。瑕疵を知りながら故意に知らせなかったかが立証されてこそ詐欺罪で刑罰を決められるためだ。
被害者の告訴代理人を務めるLKBパートナーズは「USTをステイブルに維持するアルゴリズム自体に誤りがあることを開発者とクォン代表は初期から知っていただろう。それでも価値を維持できるという形で話したのは被害者をだます行為」と主張している。法務法人テゴンのハン・サンジュン弁護士は「アンカープロトコルの利率19.4%を保障するよう話したが、これに対する財源と収益モデルは明確でなかった」と話した。続けて「今後投資金でこれを埋める典型的なポンジースキームによる詐欺スタイルで、この危険性を告知しないのは不作為による詐欺」と主張した。
これに対しては専門家らの多様な見解がある。弁理士である法務法人デライトのチョ・ウォンヒ弁護士は「暗号資産でテラフォームラボのステイブルコインのアルゴリズムは資産を担保しない分野でほとんど唯一の成功例として知られている。アルゴリズム設計自体から誤りがあり、これを知っていたのか故意性を立証するのは容易ではないだろう」と話した。続けて「アンカープロトコルを導入してからは年20%の利子をどのように調達する計画だったか、内部的に問題提起はなかったのかにより詐欺罪になり得るだろう」と付け加えた。
類似受信行為違反容疑は暗号資産が法令上の「金銭」に該当するのかから議論になる見通しだ。フィンテックが専門のホ・ジュンボム弁護士は「刑事法は罪刑法定主義によって厳格に解釈するが現行法上暗号資産は法定通貨に属さない」と指摘した。
◇被害回復は未知数
被害回復は可能だろうか。告発人側は刑事的責任を問うた後に民事上の損害賠償訴訟を継続する計画だ。これに対し法務法人リンのク・テオン弁護士は「テラフォームラボのテラ暴落が刑事処罰されなくても、今回の事態の原因が不十分な構造ということが判明するならば民事的な損害賠償、すなわち過失で投資家に損害を及ぼしたと評価できる余地もある」としながらも、「ただこの場合被害者はそれぞれ民事訴訟を通じて被害を立証すべき」とした。チョ・ウォンヒ弁護士は「テラフォームラボが投資家が受けた天文学的被害を穴埋めする財源があるのか未知数」と懸念する。チョ弁護士は「テラフォームラボが持っているテラとルナは価値がなくなっており、保有するビットコインなどはコインの暴落を防ぐために使ったものと理解している」と話した。
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