米国のジョー・バイデン米国大統領の訪韓を契機に推進されている文在寅(ムン・ジェイン)前大統領との会談に関連して雑音が大きくなっている。ただでさえ前例を見つけるのが難しいことなのに、突然に大きくなった「特使論」などが負担をさらに大きくしている様相だ。
特使論の出発点は今月12日、権寧世(クォン・ヨンセ)統一部長官に対する国会人事聴聞会だった。与党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)議員の関連質問に権長官が「一人で決められないので確答はできない。検討するに値する」と答えた。
本格的に火がついたのはその後だ。丁世鉉(チョン・セヒョン)前統一部長官は16日、ラジオに出演して「(バイデン大統領が文前大統領に会おうとするのは)友情によって会うわけではないのではないか」とし「金正恩(キム・ジョンウン)と特別な関係にある人が2人いるが、トランプと文在寅だ。(バイデン大統領が)トランプを特使として派遣することはできない」と述べた。これについて「文前大統領を特使として念頭に置いていることか」と尋ねられると「そうでなければなぜ会うのか」と話した。
だが、特使は「大統領特使」を意味する。米国の現職大統領が韓国現職大統領の特使の役割を韓国前職大統領に頼むために会うということ自体が成立し得ない構図だからだ。
丁氏は翌日のラジオ出演では「特使は(現任大統領が)自分の部下に行わせること」として訂正したが、相変らず「(米国は文前大統領に)米国と北朝鮮の間、北核問題解決過程で調停者ないしは架け橋の役割(を考えているようだ)」と強調した。
しかしこのように文前大統領の役割について言及することはかえってバイデン大統領との会談に負担だけを加えるようなものだという指摘だ。ただでさえ米国大統領が私的な訪問ではなく、韓国大統領との首脳会談を目的に行われる公式訪問で前任大統領に会うこと自体が前例のないことだ。
外交界でもこれを不思議に思う視線が多い。ある消息筋は「バイデン大統領が韓国に対する友情を重視するのは望ましいが、会うことでこれを表示する必要は必ずしもないのが事実」としながら「礼を尽くした手紙程度でも充分だったと思う」と話した。
また別の消息筋は「2016年米国大統領選挙直後、ドナルド・トランプ大統領がまだ就任する前に安倍晋三首相がトランプタワーにまで訪ねて行って、まだ当選者という身分だったトランプに会ったが、当時まだ現職だったバラク・オバマ大統領側は内部的に不快感をあったという。似たような状況ではないだろうか」と伝えた。
特に経済安保や北核問題など、山積みになっている懸案に対して尹大統領とバイデン大統領間の首脳会談を通じた韓米同盟の強力な対応意志を明らかにするのが今回の訪韓の核心だ。だが、文前大統領と会談を行うことになればかえって関心が分散しかねない。
通常、外交界では首脳会談の成果を判断するのは両首脳が一緒に撮影する「写真1枚」と言うことがある。それそのものが示す象徴性が強力なためだが、すでに「今回は写真が2枚」という話が出ている。
そのうえ、これを前・現職大統領間の競争構図のように当てはめようとする試みまで出ている。
コラムニストのファン・ギョイク氏は先月、フェイスブックにバイデン大統領が文前大統領に会うことに対して「この事実一つだけで文在寅在任時に大韓民国の地位がどうだったかを十分に察することができる」とし「残念なことに、ここまで」と書いた。
丁氏も17日のラジオ放送で「米国は文在寅政府時、韓米関係が最上だと考えた」とし「この政府が引き継ぎ委員会の時から韓米同盟を再建すると話したのはバイデンもバッシングすること」と主張した。「米国が満足しているのは(文前大統領在任時の)今の韓米関係」としながらだ。
国内政治や世論を念頭に置いたようなこの主張は、バイデン大統領の訪韓を通じて尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府との協力強化など韓米同盟重視基調を強調しようとする米国側をかえって当惑させかねないという指摘だ。バイデン政府はすでに歴代最も速い韓米首脳会談を実現させ、尹大統領就任式に「セカンドジェントルマン」であるカマラ・ハリス副大統領の夫君ダグラス・エムホフ氏を派遣するなどして尹政府に対する信頼と期待を表わしている。
特使論の出発点は今月12日、権寧世(クォン・ヨンセ)統一部長官に対する国会人事聴聞会だった。与党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)議員の関連質問に権長官が「一人で決められないので確答はできない。検討するに値する」と答えた。
本格的に火がついたのはその後だ。丁世鉉(チョン・セヒョン)前統一部長官は16日、ラジオに出演して「(バイデン大統領が文前大統領に会おうとするのは)友情によって会うわけではないのではないか」とし「金正恩(キム・ジョンウン)と特別な関係にある人が2人いるが、トランプと文在寅だ。(バイデン大統領が)トランプを特使として派遣することはできない」と述べた。これについて「文前大統領を特使として念頭に置いていることか」と尋ねられると「そうでなければなぜ会うのか」と話した。
だが、特使は「大統領特使」を意味する。米国の現職大統領が韓国現職大統領の特使の役割を韓国前職大統領に頼むために会うということ自体が成立し得ない構図だからだ。
丁氏は翌日のラジオ出演では「特使は(現任大統領が)自分の部下に行わせること」として訂正したが、相変らず「(米国は文前大統領に)米国と北朝鮮の間、北核問題解決過程で調停者ないしは架け橋の役割(を考えているようだ)」と強調した。
しかしこのように文前大統領の役割について言及することはかえってバイデン大統領との会談に負担だけを加えるようなものだという指摘だ。ただでさえ米国大統領が私的な訪問ではなく、韓国大統領との首脳会談を目的に行われる公式訪問で前任大統領に会うこと自体が前例のないことだ。
外交界でもこれを不思議に思う視線が多い。ある消息筋は「バイデン大統領が韓国に対する友情を重視するのは望ましいが、会うことでこれを表示する必要は必ずしもないのが事実」としながら「礼を尽くした手紙程度でも充分だったと思う」と話した。
また別の消息筋は「2016年米国大統領選挙直後、ドナルド・トランプ大統領がまだ就任する前に安倍晋三首相がトランプタワーにまで訪ねて行って、まだ当選者という身分だったトランプに会ったが、当時まだ現職だったバラク・オバマ大統領側は内部的に不快感をあったという。似たような状況ではないだろうか」と伝えた。
特に経済安保や北核問題など、山積みになっている懸案に対して尹大統領とバイデン大統領間の首脳会談を通じた韓米同盟の強力な対応意志を明らかにするのが今回の訪韓の核心だ。だが、文前大統領と会談を行うことになればかえって関心が分散しかねない。
通常、外交界では首脳会談の成果を判断するのは両首脳が一緒に撮影する「写真1枚」と言うことがある。それそのものが示す象徴性が強力なためだが、すでに「今回は写真が2枚」という話が出ている。
そのうえ、これを前・現職大統領間の競争構図のように当てはめようとする試みまで出ている。
コラムニストのファン・ギョイク氏は先月、フェイスブックにバイデン大統領が文前大統領に会うことに対して「この事実一つだけで文在寅在任時に大韓民国の地位がどうだったかを十分に察することができる」とし「残念なことに、ここまで」と書いた。
丁氏も17日のラジオ放送で「米国は文在寅政府時、韓米関係が最上だと考えた」とし「この政府が引き継ぎ委員会の時から韓米同盟を再建すると話したのはバイデンもバッシングすること」と主張した。「米国が満足しているのは(文前大統領在任時の)今の韓米関係」としながらだ。
国内政治や世論を念頭に置いたようなこの主張は、バイデン大統領の訪韓を通じて尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府との協力強化など韓米同盟重視基調を強調しようとする米国側をかえって当惑させかねないという指摘だ。バイデン政府はすでに歴代最も速い韓米首脳会談を実現させ、尹大統領就任式に「セカンドジェントルマン」であるカマラ・ハリス副大統領の夫君ダグラス・エムホフ氏を派遣するなどして尹政府に対する信頼と期待を表わしている。
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