◆商品デザインの強調、体制の貧弱を隠そうと
北朝鮮が産業デザインに力を入れ始めたのは、金委員長の親子の権力世襲時期と重なる2011年前後だ。カン教授は「2010年に金正恩の『人民消費品向上』という教示があった後、多くの資源が商品デザインの開発に集中している」とし「同じ物もデザイン・規格に差を与えようという意味で出てきた多様化・多重化という言葉も、その当時から使われ始めた」と説明した。実際、金正恩体制に入った北朝鮮は2012年から「国家産業美術展示会」で経済発展の成果の一部として「デザイン」を広報し始めた。2012年に金正恩委員長は朝鮮中央テレビのインタビューで「(産業美術は)経済建設と人民生活を追求する斥候隊(少ない人員で組織された部隊)」とし、その重要性を強調した。
商品デザインに対する脱北者の認知もこの時期を前後に大きく変わったという。カン教授は「2010年以前に脱北した北朝鮮住民は2010年代以降に作られた北朝鮮の商品について尋ねると『北朝鮮が作ったものではない』という反応を見せたりした」と話した。ただ、カン教授は「大半の商品が金正恩の現地指導があった平壌の工場を中心に生産された製品」とし「階層間の格差とこれによる供給の不均衡があるはず」とその限界を指摘した。結局、商品デザインの発展も体制誇示用の虚勢だったのか。
--商品デザインの強調は、北朝鮮体制の貧弱な点を隠そうとするものではないのか。
「食品の主原料をみると『華麗さの中の貧困』を知ることができる。北朝鮮でジュースの主原料はキク科に属する草から出る糖分だ。もし北朝鮮が砂糖を生産したり輸入したりできるなら、そのようにする必要はない。これがないから代替品として使っている。医薬品も同じだ。良薬がない。『高麗医学』という名で漢方薬を強調するが、海外から医薬品の原料を輸入したり作ったりする技術がないため、消化剤や肝炎薬もすべて漢方の草をもとに作る。韓国で40年前に使われていた化学調味料のようなものを使う理由も同じだ。私が収集した調味料の種類だけでも40を超える。韓国は経済的に成長したためこのような化学調味料を使わないが、北朝鮮は違う」
◆「北朝鮮ゴミ」から見る金正恩式の北朝鮮政治
--牛乳など乳製品関連のゴミも多い。
「最も多いのが牛乳だ。金正恩が新年の辞でも明らかにしたように育児政策を最も強調している。『金正恩の教示により子どもに牛乳を円滑に供給している』という記事が北朝鮮では毎日のように出る。北朝鮮当局が育児政策を優先順位にしたことで牛乳の商品が多様化した。ゴミとして流れてきた量からも分かる」
--注射針・点滴瓶・生理用ナプキンなど医薬品などのゴミも多い。
「大同江(テドンガン)注射器針工場で作られた包装状態の小さな針を見つけた。探すのが難しいものなので発見した時は大喜びした。また平壌チョンソン製薬総合工場で作られた点滴瓶が最も多い。金正恩が1年に3、4回現地指導をするほど関心が大きいところだ。北朝鮮の大半の医薬品がこの工場で作られるのではないかと思う。他の医薬品工場製品と比較すると、ゴミで発見される比率が10対1ほどだ。北朝鮮女性は生理用ナプキンの代わりに木綿の布を使うという証言もあったが、生理用ナプキンの包装紙も発見されている。製品を使えば生理の苦痛から完全に解放されるかのような誇大広告が見られる。使用方法が親切に細かく書かれている。普遍的に使用する製品ではないようだ。誰もが使用するものなら絵を描いて詳しく使用方法を説明する必要はないはずだ」
--今後も北朝鮮ゴミ研究を続けるのか。
「これまでしてきた取材と研究を継続していくが、ゴミ収集作業も続ける考えだ。北朝鮮の最近の変化をゴミから読み取ることができるからだ。最近は月に1回以上は必ず行く。新型コロナ事態が回復して日常に戻れば2つの研究方法を併行していきたい」
北朝鮮のゴミ3000点拾い集めた韓国大学教授「金正恩の統治スタイル見える」(1)
北朝鮮が産業デザインに力を入れ始めたのは、金委員長の親子の権力世襲時期と重なる2011年前後だ。カン教授は「2010年に金正恩の『人民消費品向上』という教示があった後、多くの資源が商品デザインの開発に集中している」とし「同じ物もデザイン・規格に差を与えようという意味で出てきた多様化・多重化という言葉も、その当時から使われ始めた」と説明した。実際、金正恩体制に入った北朝鮮は2012年から「国家産業美術展示会」で経済発展の成果の一部として「デザイン」を広報し始めた。2012年に金正恩委員長は朝鮮中央テレビのインタビューで「(産業美術は)経済建設と人民生活を追求する斥候隊(少ない人員で組織された部隊)」とし、その重要性を強調した。
商品デザインに対する脱北者の認知もこの時期を前後に大きく変わったという。カン教授は「2010年以前に脱北した北朝鮮住民は2010年代以降に作られた北朝鮮の商品について尋ねると『北朝鮮が作ったものではない』という反応を見せたりした」と話した。ただ、カン教授は「大半の商品が金正恩の現地指導があった平壌の工場を中心に生産された製品」とし「階層間の格差とこれによる供給の不均衡があるはず」とその限界を指摘した。結局、商品デザインの発展も体制誇示用の虚勢だったのか。
--商品デザインの強調は、北朝鮮体制の貧弱な点を隠そうとするものではないのか。
「食品の主原料をみると『華麗さの中の貧困』を知ることができる。北朝鮮でジュースの主原料はキク科に属する草から出る糖分だ。もし北朝鮮が砂糖を生産したり輸入したりできるなら、そのようにする必要はない。これがないから代替品として使っている。医薬品も同じだ。良薬がない。『高麗医学』という名で漢方薬を強調するが、海外から医薬品の原料を輸入したり作ったりする技術がないため、消化剤や肝炎薬もすべて漢方の草をもとに作る。韓国で40年前に使われていた化学調味料のようなものを使う理由も同じだ。私が収集した調味料の種類だけでも40を超える。韓国は経済的に成長したためこのような化学調味料を使わないが、北朝鮮は違う」
◆「北朝鮮ゴミ」から見る金正恩式の北朝鮮政治
--牛乳など乳製品関連のゴミも多い。
「最も多いのが牛乳だ。金正恩が新年の辞でも明らかにしたように育児政策を最も強調している。『金正恩の教示により子どもに牛乳を円滑に供給している』という記事が北朝鮮では毎日のように出る。北朝鮮当局が育児政策を優先順位にしたことで牛乳の商品が多様化した。ゴミとして流れてきた量からも分かる」
--注射針・点滴瓶・生理用ナプキンなど医薬品などのゴミも多い。
「大同江(テドンガン)注射器針工場で作られた包装状態の小さな針を見つけた。探すのが難しいものなので発見した時は大喜びした。また平壌チョンソン製薬総合工場で作られた点滴瓶が最も多い。金正恩が1年に3、4回現地指導をするほど関心が大きいところだ。北朝鮮の大半の医薬品がこの工場で作られるのではないかと思う。他の医薬品工場製品と比較すると、ゴミで発見される比率が10対1ほどだ。北朝鮮女性は生理用ナプキンの代わりに木綿の布を使うという証言もあったが、生理用ナプキンの包装紙も発見されている。製品を使えば生理の苦痛から完全に解放されるかのような誇大広告が見られる。使用方法が親切に細かく書かれている。普遍的に使用する製品ではないようだ。誰もが使用するものなら絵を描いて詳しく使用方法を説明する必要はないはずだ」
--今後も北朝鮮ゴミ研究を続けるのか。
「これまでしてきた取材と研究を継続していくが、ゴミ収集作業も続ける考えだ。北朝鮮の最近の変化をゴミから読み取ることができるからだ。最近は月に1回以上は必ず行く。新型コロナ事態が回復して日常に戻れば2つの研究方法を併行していきたい」
北朝鮮のゴミ3000点拾い集めた韓国大学教授「金正恩の統治スタイル見える」(1)
この記事を読んで…