15日に東京・銀座のマロニエゲート銀座2にオープンしたダイソーは既存店舗とは雰囲気が全く異なる。高級な木製の陳列台に食器と文房具、各種小物雑貨がきれいにディスプレーされている。ダイソーは100円台の低価格商品を販売する日本の代表的な100円ショップブランドだ。だがここで売られる多くの商品には300円を超える値札が付けられた。
ダイソーが既存のアイデンティティを捨てて銀座に「300円ショップ」をオープンしたのは世界的な物価上昇の影響だ。中国や東南アジアなどから持ってくる商品価格と物流費が上がり100円均一販売ではとうてい利益を出すのが難しい状況に置かれたということだ。ダイソーは最初から300円以上の高価(?)な商品を扱う新ブランドの「スタンダードプロダクツ」「スリーピー」を立ち上げ今後店舗網を広げていく計画だ。
今年に入り日本の消費者物価上昇は肌で感じられる水準に達した。100円ショップとともに市民が日常的に利用するコンビニの弁当や揚げ物、サラダなどの価格も3月から2~15%上がった。コロナ禍で物流費用が上昇した上にウクライナ情勢の余波で原材料価格も急騰し、コンビニが一斉に製品価格を上げたのだ。
◇「悪い円安」が呼んだ「悪いインフレ」
19日の日本経済新聞によると、5月から東京電力の電気料金は前年同月比25%、東京ガスの料金は24%上がる。ウクライナ情勢の長期化で国際エネルギー価格が上昇すれば光熱費はさらに引き上げられる可能性が高い。
ファッション業界も直撃弾を受けた。ファーストファッションのしまむらは今年の秋冬シーズンに衣類価格を平均3~4%引き上げすると明らかにした。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正代表も最近の原材料価格上昇による困難を吐露し値上げを予告したりもした。
そうでなくても厳しい状況に油を注いだのが最近の円安だ。代表的な安全資産とされた円の価値が急落し、対ドルで20年来の円安水準に落ちた。20日の東京外国為替市場で円相場は取引時間中に129.41円まで円安が進み2002年4月以来の安値水準を記録した。対ウォンでも同日の取引時間中に100円=955.58ウォン水準まで円安が進んだ。
円安の根本的な原因は、日本政府が超低金利で円の価値を落として輸出を奨励する政策を取っているためだ。ここに金利引き上げを継続する米国と金利差が広がり投資家が円を売ってドル買いに乗り出している。
過去には円安が日本の輸出企業の利益を増やし、労働者の賃金を引き上げ、日本経済を活性化するという「良い円安」の論理が作動した。だが日本の製造業者が海外に拠点を大挙移して円安が輸出に与える影響が大幅に減ったというのが専門家の指摘だ。実際に20日に発表された日本の3月の貿易収支は4124億円の赤字で8カ月連続の赤字を記録した。
むしろ現在の日本では円安が原油、輸入原材料、輸入商品価格を上昇させ、消費者物価引き上げにつながる「悪い円安」現象が現れている。横浜市立大学経済学科の鞠重鎬(クク・ジュンホ)教授は「長い間デフレを体験した日本に物価上昇は一定程度必要だが賃金引き上げで市中に資金が出回り物価が上がる『良いインフレ』ではなく、円安による原材料価格上昇のために起きる『悪いインフレ』ということが問題」と指摘した。
◇日本政府、消費税引き下げで対抗か
日本政府も予想より速い円安に懸念の声を出している。代表的な円安論者である日本銀行の黒田東彦総裁も18日に「円安のマイナス面も考慮しないといけない」と認めた。鈴木俊一財務相も原油など原材料価格が世界的に急騰する状況での円安について「輸入物価の一段の上昇につながり、消費者や企業にとってデメリットをもたらす面がある」と話した。
だが日本政府が早期に低金利政策を転換する可能性はほとんどない。日本の国債残高は昨年末基準で1000兆円を超えたが、日本銀行が金利を1~2%上げれば政府の年間元利金負担額が3兆7000億~7兆5000億円ずつ増えるためだ。
結局日本は減税や現金支援などを通じて国民の生計負担を低くする方式で物価上昇に対応するものとみられる。ニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)主任研究員は「消費税引き下げと原油価格補助、現金支援などの政策を使う可能性が高い」と予想する。21日の日本経済新聞によると、物価上昇に対する緊急総合対策をまとめている日本政府は、保育手当てを受ける世帯に限り子ども1人当たり5万円ずつの支援金を支給することにし検討に入った。
エネルギー価格上昇に備えて原発を再稼働すべきという主張も力を増している。先月28日に日経が発表した世論調査では、安全が確認された原発の再稼働を「進めるべき」という回答が53%となり6カ月前に比べ9ポイント増加した。「進めるべきでない」は6カ月前より8ポイント減少した38%だった。
ダイソーが既存のアイデンティティを捨てて銀座に「300円ショップ」をオープンしたのは世界的な物価上昇の影響だ。中国や東南アジアなどから持ってくる商品価格と物流費が上がり100円均一販売ではとうてい利益を出すのが難しい状況に置かれたということだ。ダイソーは最初から300円以上の高価(?)な商品を扱う新ブランドの「スタンダードプロダクツ」「スリーピー」を立ち上げ今後店舗網を広げていく計画だ。
今年に入り日本の消費者物価上昇は肌で感じられる水準に達した。100円ショップとともに市民が日常的に利用するコンビニの弁当や揚げ物、サラダなどの価格も3月から2~15%上がった。コロナ禍で物流費用が上昇した上にウクライナ情勢の余波で原材料価格も急騰し、コンビニが一斉に製品価格を上げたのだ。
◇「悪い円安」が呼んだ「悪いインフレ」
19日の日本経済新聞によると、5月から東京電力の電気料金は前年同月比25%、東京ガスの料金は24%上がる。ウクライナ情勢の長期化で国際エネルギー価格が上昇すれば光熱費はさらに引き上げられる可能性が高い。
ファッション業界も直撃弾を受けた。ファーストファッションのしまむらは今年の秋冬シーズンに衣類価格を平均3~4%引き上げすると明らかにした。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正代表も最近の原材料価格上昇による困難を吐露し値上げを予告したりもした。
そうでなくても厳しい状況に油を注いだのが最近の円安だ。代表的な安全資産とされた円の価値が急落し、対ドルで20年来の円安水準に落ちた。20日の東京外国為替市場で円相場は取引時間中に129.41円まで円安が進み2002年4月以来の安値水準を記録した。対ウォンでも同日の取引時間中に100円=955.58ウォン水準まで円安が進んだ。
円安の根本的な原因は、日本政府が超低金利で円の価値を落として輸出を奨励する政策を取っているためだ。ここに金利引き上げを継続する米国と金利差が広がり投資家が円を売ってドル買いに乗り出している。
過去には円安が日本の輸出企業の利益を増やし、労働者の賃金を引き上げ、日本経済を活性化するという「良い円安」の論理が作動した。だが日本の製造業者が海外に拠点を大挙移して円安が輸出に与える影響が大幅に減ったというのが専門家の指摘だ。実際に20日に発表された日本の3月の貿易収支は4124億円の赤字で8カ月連続の赤字を記録した。
むしろ現在の日本では円安が原油、輸入原材料、輸入商品価格を上昇させ、消費者物価引き上げにつながる「悪い円安」現象が現れている。横浜市立大学経済学科の鞠重鎬(クク・ジュンホ)教授は「長い間デフレを体験した日本に物価上昇は一定程度必要だが賃金引き上げで市中に資金が出回り物価が上がる『良いインフレ』ではなく、円安による原材料価格上昇のために起きる『悪いインフレ』ということが問題」と指摘した。
◇日本政府、消費税引き下げで対抗か
日本政府も予想より速い円安に懸念の声を出している。代表的な円安論者である日本銀行の黒田東彦総裁も18日に「円安のマイナス面も考慮しないといけない」と認めた。鈴木俊一財務相も原油など原材料価格が世界的に急騰する状況での円安について「輸入物価の一段の上昇につながり、消費者や企業にとってデメリットをもたらす面がある」と話した。
だが日本政府が早期に低金利政策を転換する可能性はほとんどない。日本の国債残高は昨年末基準で1000兆円を超えたが、日本銀行が金利を1~2%上げれば政府の年間元利金負担額が3兆7000億~7兆5000億円ずつ増えるためだ。
結局日本は減税や現金支援などを通じて国民の生計負担を低くする方式で物価上昇に対応するものとみられる。ニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)主任研究員は「消費税引き下げと原油価格補助、現金支援などの政策を使う可能性が高い」と予想する。21日の日本経済新聞によると、物価上昇に対する緊急総合対策をまとめている日本政府は、保育手当てを受ける世帯に限り子ども1人当たり5万円ずつの支援金を支給することにし検討に入った。
エネルギー価格上昇に備えて原発を再稼働すべきという主張も力を増している。先月28日に日経が発表した世論調査では、安全が確認された原発の再稼働を「進めるべき」という回答が53%となり6カ月前に比べ9ポイント増加した。「進めるべきでない」は6カ月前より8ポイント減少した38%だった。
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