ＢＴＳの「ＰＥＲＭＩＳＳＩＯＮ ＴＯ ＤＡＮＣＥ ＯＮ ＳＴＡＧＥ」［写真 ＨＹＢＥ］
ＢＴＳのコンサート開始８～９時間前にＢＴＳの所属事務所ＨＹＢＥ（ハイブ）は米国で進めた記者懇談会で「国会兵役法改正案に対して早急に結論が出ることを望む」という立場を明らかにした。ハイブのイ・ジンヒョンＣＣＯ（コミュニケーション総括）は「現在、国会に係留されている兵役法に関連した判断はメンバーが会社に一任した」とし「改正案の処理を鋭意注視している。（不確実性が続いて）本人の計画を立てることが難しいこともあり、アーティストを苦しめているのは事実」と話した。
このことが伝えられると、韓国のオンラインコミュニティでは「ＢＴＳが非難されるように所属事務所が先頭に立って行動している。度を越した」「営利活動をしながらお金を稼いでいるのになぜ兵役特例を与える必要があるのか」「兵役免除はなくすべきだ」のような批判のコメント数百件が書き込まれた。１１日、ビッグデータ分析プラットホーム「サムトレンド」によると、１０日ツイッターなどＳＮＳで「ＢＴＳ」は３５万８４０１件、「兵役」は２４３８件言及されたことが分かった。
公正と公平性はとりわけ２０３０世代で敏感に受け止める問題だ。会社員のソさん（３２、男性）は「ただでさえ兵役特例に敏感な状況で、少なくとも『公正』を守る安全装置があるのか問いたい」として「国威宣揚という抽象的な概念で軍服務免除を主張するのは納得し難い」とした。
ＢＴＳ兵役特例に賛成する側でも「公正」という言葉が登場した。イ・ジウンさん（２９）は「運動、国楽、声楽などは兵役免除を受けるが、商業音楽分野はなぜ兵役免除を受けられないのか疑問」とし「国威宣揚の側面では同じだと思い、兵役特例制度を手入れする必要があると考える」とした。
一部では今回の論議を政界が拡大させたのではないかという見方もある。ＢＴＳメンバーはこれに先立って「兵役の義務をつくす」という意見を数回明らかにした。ファンクラブであるＡＲＭＹ側も過去「ＡＲＭＹは軍免除を望むと言ったことがない」と明らかにしたことが分かった。大統領選である候補が「なぜ孫興民（ソン・フンミン）はできるのにＢＴＳはできないのか」というなど、政治家の関連発言が論議を拡大させたということだ。
現行の兵役法上芸術・体育分野で国の品格を高めて文化発信に寄与した特技者は軍服務の代わりに芸術体育要員として代替服務ができる。ただし、この項目から大衆文化は外されている。現在、国会にはＢＴＳを含んで大きな成果をあげた大衆文化芸術家を「芸術要員」に編入して代替服務を許容する内容の兵役法改正案が係留されている。
大衆文化の領域は兵役特例の対象選定にあって明確な基準点を作ることが最大の難題とされる。競技や大会など成果を公認する客観的な基準を定めることが容易でないからだ。体育分野の場合にはオリンピック（五輪）とアジア競技大会など国際大会で一定水準以上の成績要件を設けている。
兵役法改正に関連して市民の見解は分かれた。パク・ナヨンさん（２９、女性）は「身体の年齢が重要なスポーツとは違い、１年６カ月の軍服務期間がＢＴＳの芸能活動にとって大きな支障になるとは思わない」として「スポーツとは違い、文化芸術は判断の基準が不明で、これを悪用する余地が大きいと思う」と懸念を示した。反面、チャ・デヒョクさん（２６、男性）は「ＢＴＳのような事例がさらに多くなるように選定基準を厳しく定めて年法を改正する一方で、最低限軍服務期間の縮小などを考慮してほしい」とした。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「兵役特例政策は国民感情に顔色を伺うように恣意的に進められた側面があり、大衆が混乱を感じる状況になっている」と分析した。同時に、「大衆芸術に対する差別や公平性をめぐる論議を解消するためには、政策に一貫性を持って解決することが必要だ」と強調した。
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