◆喪失感が大きい20~30代の報復消費
オープンランは物質主義の最大化、俗物社会のひとつの象徴ともいえる。贅沢の大衆化でただ高いブランド品だけでは「差別化」「区別作り」ができない時代の表象でもある。単に高額な品物を買うのではなく、いくらお金があっても買えない「希少テム」(希少アイテム)を手に入れる「トクテム力」(アイテムを手に入れる力)で自分のことを証明する時代、トクテム力が新しい経済力だというのだ。ソウル大学消費者学科のキム・ナンド教授らが出した『トレンドコリア2022』によると、「トクテム力が重要になりつつあるという事実は単に入手しにくい限定商品が増えたという事実を越えて、商品の希少性概念が別の新しい市場の誕生を意味している」。
入店する顧客数そのものを制限するシャネルのようなブランドショップは、自分が買いたいからと言っていつでも入店できるわけではなく、お金があるからといって商品を買うこともできない。オープンランを経てようやく入店しても、入庫モデルと物量が一定ではなく、ほしいバッグを買うことができない場合もよくあることだ。人気モデルを買うにはオープンランを数回繰り返し、リセール市場でプレミアムをつけなければならない。そうでない場合、入店したついでにショップにあるものの中から一つ選ぶことも躊躇しない。
これほどになれば私が物を買うのではなく、物が私に買う機会を与えてくれるといった局面だ。商品と消費者間の関係を入れ替えてしまう。高価なほど大衆の渇望は深まるため、シャネルは1年間に6回もバッグの価格を引き上げた。代表モデルであるクラシックフラップバック(ミディアム)は2019年715万ウォンから1180万ウォンへと60%近く上がった。「シャネルは今日が一番安い」「シャテク(シャネル+財テク)」「私がシャネルを選ぶのではなく、シャネルが私を選んでくれなければならない」という言葉が出るのはこのためだ。
シャネル・オープンランの中心には名品市場の新たな客に挙げられるMZ世代がいる。デパートの売上で20~30代の割合が半分を越え、彼らのおかげで昨年売上1兆ウォンを突破したデパートが11カ所もあった。歴代最多だ。MZ世代がブランド品の主購買層に浮上したのは世界的な現象だ。グローバルコンサルティング企業「ベイン・アンド・カンパニー」はブランド品の購入年齢がますます低年齢化し、2025年にブランド品を購入する10人に7人は40歳以下になるだろうと展望した。米国経済専門紙フォーチュンは2003年、数億ウォンの年俸でもお金に悩まされる若者たちを指して「ヘンリー(HENRY・High Earner Not Rich Yet)」と呼んだ。大金を集めるよりも所得の大部分を高い生活水準を維持するために使うMZ世代の肖像が重なる。
◆消費評論インフルエンサーたちの誕生
オープンランはSNSと切り離して考えることはできない。インスタグラムにアップデートされるホットアイテムを見て自分だけ遅れているような不安を感じる「フォーモ(FOMO・Fear of Missing Out)」は日増しに強くなっている。反面、オープンラン自体を楽しむこともある。ポケンモンパンを買い漁る過程をアニメの登場人物がポケモンを狩っていくように楽しみ、SNSに投稿するといった形だ。
20~30代のインフルエンサーを分析した本『チャンネル登録 いいね 通知設定まで』によると、有名インフルエンサーは3つの類型に分けられる。物質的な富をアピールする「物質派」、肉体的な魅力をアピールする「肉体派」、知識や情報・インサイトなど知的な面をアピールする「情新派」だ。同著によると、オープンランをする物質派の「自慢コンテンツには友好的なコメントが多かった」。
反面、精巧な偽物を本物のように紹介するユーチューバーは反感を買った。「フェイクニュースと似ている」という反応を得ながらだ。ブランド品ライフを中継してMZ世代のアイコンとして崇められていたが、今年初めに「偽物問題」で人気がガタ落ちしたスターユーチューバーの「フリージア」が思い浮かぶ。「ヤング・アンド・リッチ」の象徴だったが、一部偽物の衣装とバッグを着用したという疑惑が浮上し、激しい批判を浴びて活動を中断した。当時、ブランド品掲示板メンバーが立ち上がって偽物かどうかを判定した。富は誇ってもいいが、偽物でだます反則は許せないということだが、大衆が「本物鑑定団」を自任して本物を突き止める鑑識眼を誇る心理もともみることができる。
ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト
【コラム】われ「トクテム」、ゆえにわれあり…韓国MZ世代オープンランの本音(1)
オープンランは物質主義の最大化、俗物社会のひとつの象徴ともいえる。贅沢の大衆化でただ高いブランド品だけでは「差別化」「区別作り」ができない時代の表象でもある。単に高額な品物を買うのではなく、いくらお金があっても買えない「希少テム」(希少アイテム)を手に入れる「トクテム力」(アイテムを手に入れる力)で自分のことを証明する時代、トクテム力が新しい経済力だというのだ。ソウル大学消費者学科のキム・ナンド教授らが出した『トレンドコリア2022』によると、「トクテム力が重要になりつつあるという事実は単に入手しにくい限定商品が増えたという事実を越えて、商品の希少性概念が別の新しい市場の誕生を意味している」。
入店する顧客数そのものを制限するシャネルのようなブランドショップは、自分が買いたいからと言っていつでも入店できるわけではなく、お金があるからといって商品を買うこともできない。オープンランを経てようやく入店しても、入庫モデルと物量が一定ではなく、ほしいバッグを買うことができない場合もよくあることだ。人気モデルを買うにはオープンランを数回繰り返し、リセール市場でプレミアムをつけなければならない。そうでない場合、入店したついでにショップにあるものの中から一つ選ぶことも躊躇しない。
これほどになれば私が物を買うのではなく、物が私に買う機会を与えてくれるといった局面だ。商品と消費者間の関係を入れ替えてしまう。高価なほど大衆の渇望は深まるため、シャネルは1年間に6回もバッグの価格を引き上げた。代表モデルであるクラシックフラップバック(ミディアム)は2019年715万ウォンから1180万ウォンへと60%近く上がった。「シャネルは今日が一番安い」「シャテク(シャネル+財テク)」「私がシャネルを選ぶのではなく、シャネルが私を選んでくれなければならない」という言葉が出るのはこのためだ。
シャネル・オープンランの中心には名品市場の新たな客に挙げられるMZ世代がいる。デパートの売上で20~30代の割合が半分を越え、彼らのおかげで昨年売上1兆ウォンを突破したデパートが11カ所もあった。歴代最多だ。MZ世代がブランド品の主購買層に浮上したのは世界的な現象だ。グローバルコンサルティング企業「ベイン・アンド・カンパニー」はブランド品の購入年齢がますます低年齢化し、2025年にブランド品を購入する10人に7人は40歳以下になるだろうと展望した。米国経済専門紙フォーチュンは2003年、数億ウォンの年俸でもお金に悩まされる若者たちを指して「ヘンリー(HENRY・High Earner Not Rich Yet)」と呼んだ。大金を集めるよりも所得の大部分を高い生活水準を維持するために使うMZ世代の肖像が重なる。
◆消費評論インフルエンサーたちの誕生
オープンランはSNSと切り離して考えることはできない。インスタグラムにアップデートされるホットアイテムを見て自分だけ遅れているような不安を感じる「フォーモ(FOMO・Fear of Missing Out)」は日増しに強くなっている。反面、オープンラン自体を楽しむこともある。ポケンモンパンを買い漁る過程をアニメの登場人物がポケモンを狩っていくように楽しみ、SNSに投稿するといった形だ。
20~30代のインフルエンサーを分析した本『チャンネル登録 いいね 通知設定まで』によると、有名インフルエンサーは3つの類型に分けられる。物質的な富をアピールする「物質派」、肉体的な魅力をアピールする「肉体派」、知識や情報・インサイトなど知的な面をアピールする「情新派」だ。同著によると、オープンランをする物質派の「自慢コンテンツには友好的なコメントが多かった」。
反面、精巧な偽物を本物のように紹介するユーチューバーは反感を買った。「フェイクニュースと似ている」という反応を得ながらだ。ブランド品ライフを中継してMZ世代のアイコンとして崇められていたが、今年初めに「偽物問題」で人気がガタ落ちしたスターユーチューバーの「フリージア」が思い浮かぶ。「ヤング・アンド・リッチ」の象徴だったが、一部偽物の衣装とバッグを着用したという疑惑が浮上し、激しい批判を浴びて活動を中断した。当時、ブランド品掲示板メンバーが立ち上がって偽物かどうかを判定した。富は誇ってもいいが、偽物でだます反則は許せないということだが、大衆が「本物鑑定団」を自任して本物を突き止める鑑識眼を誇る心理もともみることができる。
ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト
【コラム】われ「トクテム」、ゆえにわれあり…韓国MZ世代オープンランの本音(1)
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