ロシアのウクライナ侵攻を契機に宇宙航空業界最高のベストセラーだったソユーズロケットの将来が不透明になっている。代わりに米国のスペースＸなど競合会社が利益を得られることになった。

ブルームバーグが２７日に伝えたところによると、ロシア連邦宇宙公社（ロスコスモス）は今月初め、米国企業にロケットエンジンを供給しないと宣言した。当初これらのエンジンはボーイングとロッキード・マーチンの合弁会社であるユナイテッド・ローンチ・アライアンスと、米航空宇宙防衛産業企業のノースロップ・グラマンに引き渡す予定だった。

ロスコスモスはまた、英国がロシアに敵対的として英国政府が株式を持つ衛星インターネット企業ワンウェブに「衛星を軍事用として使わないことを約束しなければ打ち上げない」と打ち上げ拒否をちらつかせた。ワンウェブはこの要求を受け入れず、今年予定されていたソユーズを利用した６回の打ち上げ計画はすべて中止された。ワンウェブはこれまで地球低軌道に配置した衛星４２８基をすべてソユーズを使って打ち上げてきた。


ロスコスモスが製作したソユーズロケットは１９６６年に導入されてからこれまでの宇宙飛行回数は２０００回に達する。リサーチ・諮問会社のクオリティアナリティクスはこの１０年間にソユーズが年平均２０回打ち上げられ、３分の１が商業用顧客対象だったとし、「ロシア政府がソユーズの商業的潜在力を殺した。ロシア政府の行為は全世界のロケット利用リストからソユーズを永遠に締め出しかねない」と指摘した。

特に米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）が２０１１年にスペースシャトルを退役させてからソユーズの役割はさらに大きくなった。イーロン・マスクのスペースＸが登場するまでソユーズは米国の宇宙飛行士が国際宇宙ステーション（ＩＳＳ）に行くことができる唯一の手段だったためだ。

だが今回のロシア政府の措置によりソユーズの位置づけが揺らぎ、米スペースＸやロケットラボＵＳＡ、仏アリアンスペースなど競合企業に数十億ドル規模の宇宙打ち上げ市場が開かれることになった。

実際にロスコスモスが拒否したワンウェブ衛星の打ち上げ契約はスペースＸが獲得した。ロケットラボは新型ロケットを市場に出す計画を繰り上げることにし、アリアンスペースは来年ごろソユーズの顧客を「アリアン６」ロケットに載せられると明らかにした。