韓国経済が生産コスト上昇の圧迫にともなう収益性悪化の懸念に苦しんでいる。サムスン電子は昨年原材料購入だけで史上初めて100兆ウォン近い95兆6254億ウォンを使った。前年の2020年の81兆7921億ウォンより17%ほど急騰した数値だ。製品生産量が増加したためではない。代表的な家電製品のテレビなど映像機器生産実績はむしろ前年より8%以上減少した。サムスン電子側は「ディスプレーパネルをはじめ主要製品の原材料である鉄板とプラスチック、銅などの単価が例年より大きく上がったため」と明らかにした。今年はさらに上がっている状況で、今後も当面は改善しないとみられ悩みが深い。他の企業も同様の状況に置かれている。
◇メキシコ、リチウム開発の国有化を宣言
韓国経済研究院によると、昨年原材料輸入物価は前年比42.3%上がり、金融危機が起きた2008年の54.6%から13年来の上昇率を記録した。鉄鉱石が47.5%、アルミニウムが45.5%、プラスチックが23.9%、銅が15.1%など一斉に急上昇した。製造業に対する経済的依存度は高いがその製造業に使われるエネルギーや鉱物など核心資源の輸入依存度が90%に達する「資源貧国」の韓国としては致命的だ。ところが新型コロナウイルスのパンデミックが世界的なサプライチェーン不安などを誘発し、資源価格上昇をあおっている状況に加え、最近になりロシアとウクライナの間で戦争まで起きている。
韓国はネオンやクリプトンなど一部の半導体用素材を除くとロシアやウクライナから輸入する資源は多くなく、直接的な打撃が懸念される状況ではない。欧州全域を揺るがしているロシア産天然ガス大乱も韓国への影響は大きくない。ロシア産天然ガス依存度が45%を超える欧州連合(EU)と違い、韓国は5%程度にとどまる。だが両国が資源倉庫の扉を閉ざし、この機に他の資源大国も自国の資源を武器化する動きを加速化しており世界的な原材料市場の需給不均衡が深刻化している。もちろんここには韓国が必要とする資源の多くが含まれている。このため産業界ではウクライナ情勢を契機に新資源民族主義が復活しかねないという懸念の声が出ている。
中南米の資源大国メキシコは先月リチウム開発を国有化すると宣言した。民間企業ではなく政府が開発主導権を握れば輸出量も自国に利益になる方向で調節できるためだ。リチウムは韓国の主力輸出品目である車載用電池製造に必要な核心材料だ。そうでなくても世界的な脱炭素ブームで電気自動車需要が急増している状況でこうした動きに刺激された他の国まで供給調節に出る場合には価格がさらに上がるのは明らかだ。現在世界リチウム市場はオーストラリア、チリ、中国の3カ国が80%以上掌握しており、埋蔵量は中南米が60%と最も多い。メキシコ政府はチリのほかアルゼンチンやボリビアなど同じ中南米の国と共同でリチウム関連の利益を最大化する計画だ。
アジアの資源大国インドネシアは今年初めに石炭に続きアルミニウムの原材料であるボーキサイトの輸出を全面中断すると発表した。来年からは製錬していない銅原鉱の輸出も禁止するという。これに先立ちインドネシアは2019年末に世界供給量の25%を占めたニッケル原鉱の輸出を全面中断している。当時世界的にニッケル価格が急騰し各国の企業があわててインドネシアに工場を作ったりもした。インドネシア政府はこのように資源輸出統制と精練所建設などで得られる経済的利益が輸出による利益より大きいと判断した。単純な原材料輸出国から脱却し高付加価値創出に出たのだ。
◇中国、レアアース輸出制限の根拠を用意
これは新興国が最近米国発の通貨緊縮などで一層大きくなった景気不確実性にそれだけ強い危機感を感じたためとも解説される。テーパータントラム(緊縮発作)という用語が出るほど先進国の量的緩和・縮小は新興国の通貨安と証券市場萎縮につながる可能性が大きい。しかもパンデミック後にウクライナ情勢まで重なり国際的な原材料需給不均衡問題は長期化する雰囲気で、「資源安全保障」の重要性が大きくなった。財界関係者は「インドネシアが昨年の石炭価格急騰後に自国内の供給不足に直面し電力難に陥ったのも資源安全保障の必要性を痛感した契機だっただろう」と解釈した。
この2年間にオーストラリアと石炭紛争を起こしてやはり電力難に陥り資源大国の体面を台なしにした中国も資源の武器化に余念がない。特に資源を米国との覇権競争で勝つための必須のカギとみており、強硬な基調を維持する公算が大きい。中国は「21世紀最高の戦略資源」との別称がついたレアアース(17種類の希少金属)の輸出を制限する根拠となる輸出統制法を2020年末に施行した。昨年末には自国内5つのレアアース関連企業・機関を統廃合し、超大型国営企業である中国希土集団有限公司を設立した。米ウォール・ストリート・ジャーナルは「現地企業同士の内部競争が減りレアアースに対する中国政府の価格決定権が強化されるだろう」と報道した。
<新資源民族主義>供給網・戦争リスク重なり「資源武器化」が加速、90%輸入する韓国は超緊張(2)
◇メキシコ、リチウム開発の国有化を宣言
韓国経済研究院によると、昨年原材料輸入物価は前年比42.3%上がり、金融危機が起きた2008年の54.6%から13年来の上昇率を記録した。鉄鉱石が47.5%、アルミニウムが45.5%、プラスチックが23.9%、銅が15.1%など一斉に急上昇した。製造業に対する経済的依存度は高いがその製造業に使われるエネルギーや鉱物など核心資源の輸入依存度が90%に達する「資源貧国」の韓国としては致命的だ。ところが新型コロナウイルスのパンデミックが世界的なサプライチェーン不安などを誘発し、資源価格上昇をあおっている状況に加え、最近になりロシアとウクライナの間で戦争まで起きている。
韓国はネオンやクリプトンなど一部の半導体用素材を除くとロシアやウクライナから輸入する資源は多くなく、直接的な打撃が懸念される状況ではない。欧州全域を揺るがしているロシア産天然ガス大乱も韓国への影響は大きくない。ロシア産天然ガス依存度が45%を超える欧州連合(EU)と違い、韓国は5%程度にとどまる。だが両国が資源倉庫の扉を閉ざし、この機に他の資源大国も自国の資源を武器化する動きを加速化しており世界的な原材料市場の需給不均衡が深刻化している。もちろんここには韓国が必要とする資源の多くが含まれている。このため産業界ではウクライナ情勢を契機に新資源民族主義が復活しかねないという懸念の声が出ている。
中南米の資源大国メキシコは先月リチウム開発を国有化すると宣言した。民間企業ではなく政府が開発主導権を握れば輸出量も自国に利益になる方向で調節できるためだ。リチウムは韓国の主力輸出品目である車載用電池製造に必要な核心材料だ。そうでなくても世界的な脱炭素ブームで電気自動車需要が急増している状況でこうした動きに刺激された他の国まで供給調節に出る場合には価格がさらに上がるのは明らかだ。現在世界リチウム市場はオーストラリア、チリ、中国の3カ国が80%以上掌握しており、埋蔵量は中南米が60%と最も多い。メキシコ政府はチリのほかアルゼンチンやボリビアなど同じ中南米の国と共同でリチウム関連の利益を最大化する計画だ。
アジアの資源大国インドネシアは今年初めに石炭に続きアルミニウムの原材料であるボーキサイトの輸出を全面中断すると発表した。来年からは製錬していない銅原鉱の輸出も禁止するという。これに先立ちインドネシアは2019年末に世界供給量の25%を占めたニッケル原鉱の輸出を全面中断している。当時世界的にニッケル価格が急騰し各国の企業があわててインドネシアに工場を作ったりもした。インドネシア政府はこのように資源輸出統制と精練所建設などで得られる経済的利益が輸出による利益より大きいと判断した。単純な原材料輸出国から脱却し高付加価値創出に出たのだ。
◇中国、レアアース輸出制限の根拠を用意
これは新興国が最近米国発の通貨緊縮などで一層大きくなった景気不確実性にそれだけ強い危機感を感じたためとも解説される。テーパータントラム(緊縮発作)という用語が出るほど先進国の量的緩和・縮小は新興国の通貨安と証券市場萎縮につながる可能性が大きい。しかもパンデミック後にウクライナ情勢まで重なり国際的な原材料需給不均衡問題は長期化する雰囲気で、「資源安全保障」の重要性が大きくなった。財界関係者は「インドネシアが昨年の石炭価格急騰後に自国内の供給不足に直面し電力難に陥ったのも資源安全保障の必要性を痛感した契機だっただろう」と解釈した。
この2年間にオーストラリアと石炭紛争を起こしてやはり電力難に陥り資源大国の体面を台なしにした中国も資源の武器化に余念がない。特に資源を米国との覇権競争で勝つための必須のカギとみており、強硬な基調を維持する公算が大きい。中国は「21世紀最高の戦略資源」との別称がついたレアアース(17種類の希少金属)の輸出を制限する根拠となる輸出統制法を2020年末に施行した。昨年末には自国内5つのレアアース関連企業・機関を統廃合し、超大型国営企業である中国希土集団有限公司を設立した。米ウォール・ストリート・ジャーナルは「現地企業同士の内部競争が減りレアアースに対する中国政府の価格決定権が強化されるだろう」と報道した。
<新資源民族主義>供給網・戦争リスク重なり「資源武器化」が加速、90%輸入する韓国は超緊張(2)
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