韓国の尹錫悦（ユン・ソクヨル）次期大統領が昨日、大統領職引継ぎ委員会の主な人選を発表した。引継ぎ委員長には国民の党の安哲秀（アン・チョルス）代表、業務引継ぎ委員会副委員長には国民の力のクォン・ヨンセ議員、企画委員長には元喜龍（ウォン・ヒリョン）前済州（チェジュ）知事を任命した。業務引継ぎ委員会に７分科、２４人の引継ぎ委員を設置することにし、１委員会、２特別委員会を設置するという内容も明らかにした。同時に、尹氏は「国家の安全保障と国民の民生問題に対して速かに政府業務を引き継ぎ、新政府の国政課題を策定することで国家の安全保障と国民の民生に一寸の隙間が生じないように取り組む」と明らかにした。

今後新政府発足まであと５０日は尹錫悦政府の成功の可否を左右する礎石を築く時期だ。内実のある政権の受け継ぎが行われれば、それだけ成功の可能性も大きくなる。直ちに大統領選の勝利に甘んじるよりは冷静に現実を見極める必要があるという意味だ。これには、歴代どの大統領も経験したことのない「１７２席の巨大野党」も含んでいるからだ。

まず、このような意味で安哲秀代表との一本化合意が守られたのは望ましい。金大中（キム・デジュン）・金鍾泌（キム・ジョンピル）共同政府以来、２回目の連合政府実験だが、内部調整は大変だろうが、国民の力の単独執権の時より統治基盤が広くなるというメリットがある。


チャン・ジェウォン当選者秘書室長の起用で「尹核官」の重用に疑問があったが、昨日の人選は比較的に配分が行われたとみられる。尹にとっても人事は万事だ。能力や改革、実用性を兼ね備えた最高水準の政策専門家を幅広く探して使わなければならない。キャンプ要人の行き過ぎた抜てきは朴槿恵（パク・クネ）・文在寅（ムン・ジェイン）政府などの誤りを繰り返すことだ。尹氏が好む人物でない、国民が好む人物を前面に出すべきだ。

公約の国政課題化はある程度必然的になるだろう。まず、大統領執務空間を光化門（クァンファムン）に移すことを推進するというが、「帝王的大統領制」の限界から脱そうとする試みで肯定的に評価する。ただし、尹氏が約束した２６６兆ウォン規模の約２００個公約を全部実践するのは不可能だという点は再度強調する。業務引継ぎ委員会の過程で現実性に対する検討が行われ、優先順位を再設定するのが必要だ。過去の政府の政策だからといって条件なしに廃棄するのも賢明なことでない。ジョー・バイデン米国政府が対北朝鮮政策をレビューすることに５カ月余り必要とされたというのではないか。過去の政府でなぜそのような政策を導入し、なぜそのような結果が出たのか、反対になぜ導入しなかったのかに対して暗黙知まで引継ぐことができてこそ失敗の可能性を減らす。そのためには絶対占領軍の真似をしては困る。

文在寅大統領の協力も欠かせない。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）挑発など外交安保問題だけでなく、韓国銀行総裁など政務職な人選まで新旧権力が十分なコミュニケーションを取る必要がある。文大統領も口先だけでない行動で意志を見せてほしい。