「102歳の哲学者」。延世(ヨンセ)大学哲学科の金亨錫(キム・ヒョンソク)名誉教授は第20代大統領に当選した尹錫悦(ユン・ソクヨル)が昨年3月に検事総長の座から退いてから2週間の蟄居を破り最初に訪ねた人だった。当時尹氏は金教授に「私が政治をしても構わないでしょうか」と尋ねたという。金教授は「国民のために何かを残したいという人はだれでも政治をして大丈夫だ。積極的に政治をしろと勧めたりもしないが、してはならないということでもない」と助言した。
金教授に「国民の力」の尹錫悦候補の大統領当選の意味は格別だろう。大統領選挙投票日の9日に金教授とソウル市内の教会で会った。翌10日には今回の大統領選挙の意味を電話でインタビューした。金教授は中央SUNDAYを通じ文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する評価とともに次期大統領に対する呼び掛けを伝えた。金教授は「文大統領の分裂政治を変えるには政治の方向から変えるべき。新政権が政治の方向を変えなければ5年間に国はさらに厳しくなる」と心配した。
かなり前に夫人と死別した彼は、教会の近くで一人暮らしをしながら執筆や講演などの活動をしている。以下は金教授との主な問答。
◇尹次期大統領、分裂政治を統合に変えなくては
Q:国民がなぜ尹候補を選択したと考えますか。
A:「最初に、彼は検事総長の時に韓国を守りました。憲法を守ったのです。その功労を国民が認めたものと考えます。2番目に、彼は器が大きく私心がありません。その点もまた国民が認めたと考えます」。
Q:尹次期大統領に助言をお願いします。
A:「政府は国民と一緒に続きます。大統領はその中で5年を引き受けるものです。大統領が自分に与えられた5年間にすべき仕事が何か、それを悩まなければなりません。最も重要なことは分裂を統合にすることでしょう。人間的には文大統領をクリーンで良い人だと考えます。ところが就任辞では国民統合を話しながらこれまで分裂ばかり作ったようで残念です。前回の三一節記念演説の時も金大中(キム・デジュン)政権が初の民主政権だと述べましたが、そんな嘘がどこにあるのですか。朴正熙(パク・チョンヒ)政権の維新憲法体制から全斗煥(チョン・ドゥファン)政権までは民主主義の暗黒期であり、盧泰愚(ノ・テウ)政権を経て金泳三(キム・ヨンサム)政権から法治国家になりました。法治国家がまさに民主国家ですから。あたかも金大中大統領がすべてやったかのように話すのは歴史的事実を隠蔽するものです。新大統領は分裂を統合にすれば良いでしょう」。
Q:2カ月後には新政権が発足します。どのようなことを望みますか。
A:「日本や中国と1年に100人ずつ交換大学生を作ったらいいです。韓国から日本と中国に国費で100人ずつ送り、日本と中国から100人ずつ受け入れるのです。そしてベトナム、タイ、インドネシアからは韓国が100人ずつ受け入れるのです。そのように交換大学生制度が成功すれば大統領10人がやることよりも大きな実を結ぶことができます。それが若者たちに希望を与えるということです。いまのように日本は悪い国だと片付けてしまえば日本に行って勉強したい人々をためらわせますが、それは誤りです」。
Q:もう少し詳しく話してください。
A:「日本の動きをよく見てください。ロシアや中国は世界的に(民主主義が)遅れている国で、欧米は水準のある国々です。遅れた国々が米国や欧州の水準に上がるには30~50年ぐらいかかるでしょう。その時まではいまの日本のように韓国も米国や欧州と友好関係をしっかり維持しなさいということです。後にロシアや中国が民主国家になればその時は自然に彼らとの友好関係も深まるでしょう」。
Q:文在寅政権5年間に社会対立が深刻化したという指摘が多いです。
A:「無限競争という言葉を多く使うのですが、利己的な競争だけすれば社会が崩れ、善意の競争をすれば社会は上がります。国も民族も同じことです。ところが国や社会が上がる段階に必要なのが対立です。対立が全くない民族は生き残ることができません。何の対立もなく果実などを取って暮らしたハワイや南太平洋の原住民は消滅しました」。
Q:どの分野の対立が最も激しいとみますか。
A:「政治理念の対立でしょう。欧米やカナダは左右分裂が進歩と保守に変わって共存することになりました。文在寅政権は南北関係を平和的に解決しようと言いながら『北朝鮮のような国になっても良いから統一だけやればいい』という形だが、それは違います。それは歴史を100年引き戻すもので、自由と平和をあきらめるということですが…いまは(ウクライナを侵攻した)プーチンよりさらに悪いです。文在寅政権は対立を分裂にし、結局対立は患いになりました」。
「韓国国民はなぜ尹錫悦を選んだか」…102歳の哲学者・金亨錫名誉教授インタビュー(2)
金教授に「国民の力」の尹錫悦候補の大統領当選の意味は格別だろう。大統領選挙投票日の9日に金教授とソウル市内の教会で会った。翌10日には今回の大統領選挙の意味を電話でインタビューした。金教授は中央SUNDAYを通じ文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する評価とともに次期大統領に対する呼び掛けを伝えた。金教授は「文大統領の分裂政治を変えるには政治の方向から変えるべき。新政権が政治の方向を変えなければ5年間に国はさらに厳しくなる」と心配した。
かなり前に夫人と死別した彼は、教会の近くで一人暮らしをしながら執筆や講演などの活動をしている。以下は金教授との主な問答。
◇尹次期大統領、分裂政治を統合に変えなくては
Q:国民がなぜ尹候補を選択したと考えますか。
A:「最初に、彼は検事総長の時に韓国を守りました。憲法を守ったのです。その功労を国民が認めたものと考えます。2番目に、彼は器が大きく私心がありません。その点もまた国民が認めたと考えます」。
Q:尹次期大統領に助言をお願いします。
A:「政府は国民と一緒に続きます。大統領はその中で5年を引き受けるものです。大統領が自分に与えられた5年間にすべき仕事が何か、それを悩まなければなりません。最も重要なことは分裂を統合にすることでしょう。人間的には文大統領をクリーンで良い人だと考えます。ところが就任辞では国民統合を話しながらこれまで分裂ばかり作ったようで残念です。前回の三一節記念演説の時も金大中(キム・デジュン)政権が初の民主政権だと述べましたが、そんな嘘がどこにあるのですか。朴正熙(パク・チョンヒ)政権の維新憲法体制から全斗煥(チョン・ドゥファン)政権までは民主主義の暗黒期であり、盧泰愚(ノ・テウ)政権を経て金泳三(キム・ヨンサム)政権から法治国家になりました。法治国家がまさに民主国家ですから。あたかも金大中大統領がすべてやったかのように話すのは歴史的事実を隠蔽するものです。新大統領は分裂を統合にすれば良いでしょう」。
Q:2カ月後には新政権が発足します。どのようなことを望みますか。
A:「日本や中国と1年に100人ずつ交換大学生を作ったらいいです。韓国から日本と中国に国費で100人ずつ送り、日本と中国から100人ずつ受け入れるのです。そしてベトナム、タイ、インドネシアからは韓国が100人ずつ受け入れるのです。そのように交換大学生制度が成功すれば大統領10人がやることよりも大きな実を結ぶことができます。それが若者たちに希望を与えるということです。いまのように日本は悪い国だと片付けてしまえば日本に行って勉強したい人々をためらわせますが、それは誤りです」。
Q:もう少し詳しく話してください。
A:「日本の動きをよく見てください。ロシアや中国は世界的に(民主主義が)遅れている国で、欧米は水準のある国々です。遅れた国々が米国や欧州の水準に上がるには30~50年ぐらいかかるでしょう。その時まではいまの日本のように韓国も米国や欧州と友好関係をしっかり維持しなさいということです。後にロシアや中国が民主国家になればその時は自然に彼らとの友好関係も深まるでしょう」。
Q:文在寅政権5年間に社会対立が深刻化したという指摘が多いです。
A:「無限競争という言葉を多く使うのですが、利己的な競争だけすれば社会が崩れ、善意の競争をすれば社会は上がります。国も民族も同じことです。ところが国や社会が上がる段階に必要なのが対立です。対立が全くない民族は生き残ることができません。何の対立もなく果実などを取って暮らしたハワイや南太平洋の原住民は消滅しました」。
Q:どの分野の対立が最も激しいとみますか。
A:「政治理念の対立でしょう。欧米やカナダは左右分裂が進歩と保守に変わって共存することになりました。文在寅政権は南北関係を平和的に解決しようと言いながら『北朝鮮のような国になっても良いから統一だけやればいい』という形だが、それは違います。それは歴史を100年引き戻すもので、自由と平和をあきらめるということですが…いまは(ウクライナを侵攻した)プーチンよりさらに悪いです。文在寅政権は対立を分裂にし、結局対立は患いになりました」。
「韓国国民はなぜ尹錫悦を選んだか」…102歳の哲学者・金亨錫名誉教授インタビュー(2)
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