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【コラム】ゾンビにならないために=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

【コラム】ゾンビにならないために

歳月が流れ、今この時代の人々が全員死んだ遠い未来。その時も人類が滅亡しないでいるとするなら、人々はこの時期の韓国社会をどのように記憶しているだろうか。人口が本格的に減少し始めた時期? 伝染病退治を契機に国家権力が強化された時期? 貧富の両極化がさらに広がった時期? 多民族社会であることをようやく認識し始めた時期? ジェンダー葛藤が深まった時期? 結婚と出産がこれ以上当たり前ではなくなった時期? 差別と排除の言語が公正という仮面をかぶって前面に出た時期? 政府が率先して『韓国はもう先進国』と宣言した時期? 韓国の大衆文化が全世界に広まった時期?

それだけだろうか。この時期は韓国を背景にしたゾンビ映画・ドラマがとりわけたくさん作られた時期でもある。Netflix(ネットフリックス)を見よ。『今、私たちの学校は…』や『キングダム』のようなミニシリーズは「韓国はゾンビであふれている」という比喩が全世界に広まる一助となった。同時に、この時期は霊性あるいは魂という言葉が公論の場でとりわけよく使われた時期でもある。新聞の政治面を見よ。政治家と宗教家の密着関係に光が当てられて「霊性あらたかな人が率いてほしい」という文章が大統領選挙関連ニュースのヘッドラインに採用される。新聞の社会面を見よ。人々が「ヨンクル(「魂まですべてかき集める」という意味で、どんなものでも一つ残らずかき集める様子)」をしてローンや株式投資をしているという報道が次々と出ている。

聖職者や宗教学者ではない普通の人々にとって魂とは何か。人々が魂だと考えることがまさに魂だ。子どもに合格させてほしいと親が神仏に真心を差し出す時、親心の行き着く先が魂だ(その魂の願いがかなえば他人の子供は不合格になる)。自分を当選させてほしいと神に政治家が祈る時、彼の心が行き着く先が魂だ(その魂の祈りが聞き届けられれば他の政治家は落選することになる)。手当・賞与金・非常用の金・福祉ポイントはもちろん、非金融権貸出まで集めて投資する時、すなわち「ヨンクル」して投資する時、残高の一番底辺に残っているものが魂だ。


このように人によって定義する魂の意味が違う。真の魂は何であろうと、魂は人間だけにある。ゾンビに魂はない。魂があるゾンビはゾンビではない。魂は人間とゾンビを区別する“何か”だ。ゾンビは子どもの合格を祈ることはせず、政治権力を創り出すこともせず、未来のために財産を投資することもない。魂がないゾンビとは果たしてどのような存在なのか。

ゾンビは群れをなして行動する。群れて行動するのでゾンビは孤独ではなさそうだ。しかしゾンビの間に疎通はない。ゾンビはうなるばかりで対話はしない。だからゾンビは集団でいても結局は一人だ。群れで行動するが「社会」を作ることはできない。ゾンビとは違って、人間は一人でいる時も他人を想像する。人間は一人でいても社会を作る。社会を作るどころか(政治的)性向が違えば誰彼かまわず噛みちぎるのがゾンビだ。

ゾンビは群れで行動するが、協力はしない。協力するゾンビはゾンビではない。協力さえすれば相手をもっと多く食らうことができるものを、ゾンビは決して協力しない。列には並ばず、ついには乱闘場になる。人間が社会を作るということは秩序を作って人間同士協力するということだ。列に並ばない人間はゾンビになっていく。道に唾を吐く人間はゾンビになっていく。協力しない人間はますますゾンビになっていく。

ゾンビは迷わない。迷うゾンビはゾンビではない。ゾンビは考えないので迷う必要がない。ゾンビは考えないのでビジュアルリテラシーが必要ない。省察するゾンビはゾンビではない。ゾンビはただ行動する、いや、ただ動く。ゾンビは刺激に反応するだけで、行動しない。何も考えずに行動する人間はゾンビになっていく。刺激だけを求める人間はますますゾンビになっていく。

ゾンビは忙しく刺激を探し回る。人間も忙しく仕事場に出ていく。人間も奮闘してゾンビも奮闘する。生きるために熱心という点ではゾンビも人間も違うところがない。熱心にだけ生きているからといって人間になるわけではない。ゾンビも熱心に生きている。ただ追求するものが単なる生存にすぎないのか、でなければ意味ある人生かという違いがあるだけだ。ゾンビは瞬間の生存を越えて生きるということを想像しない。生きることの向う側にある生活の営みを想像しない人間はますますゾンビになっていく。

ゾンビは祈らない。祈るゾンビはゾンビではない。瞬間的な欲望の満足以上を望まないので祈らない。人間は瞬間的な欲望の満足を越え、より大きな希望を持つよう祈る。いますぐその希望を実現する現実的なすべは知らなくても、その希望に心の焦点を合わせるために目を閉じて両手を合わせる。人間には単なる生存を越えようとする志向があるため、人生の意味について問う。なぜ、そしてどのように生きていくのかを問わずに生きる人間はゾンビになっていく。

生まれた時からゾンビである人間はない。人間に生まれてゾンビとなる。どうすればゾンビになるのか。ゾンビに噛みつかれるとゾンビになる。人生の意味を無視し、単に生存にしがみつく者に囲まれればゾンビとなる。ゾンビに噛みつかれないようにゾンビを殺そうとしてゾンビになっていく。単なる生存だけに執着し続けていればゾンビとなる。


【コラム】ゾンビにならないために=韓国(2)

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