米紙ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）が佐渡金山の国連教育科学文化機関（ユネスコ）世界文化遺産登録について集中的に扱った。日本が強制徴用の歴史は隠したまま登録を狙っているという点を明確にしながらだ。

ＮＹＴは２１日（現地時間）、「日本は金鉱の歴史を見せようとしている。ただ、すべてを見せようとしているわけではない」と題するの記事で「佐渡金山は日本を２世紀半間治めた『将軍』に珍貴な鉱物を捧げる役割を果たしてきた。だが、佐渡金山の歴史には暗い部分がある」と指摘した。「第２次世界大戦の間、日帝植民治下で韓国人１５００人が徴集されて労働した事実」としながらだ。

ＮＹＴは佐渡金山付近に住む５０歳の地域民がこのような強制動員歴史に対してほとんど知らずにいたと伝えて「日本ではこのような歴史がほぼ忘れられているか、すべて過ぎ去ったことのようにとらえることがたびたびあるが、韓国では日帝３５年強占期が残した傷が今も生々しく残る」と説明した。また「（佐渡金山の葛藤により）戦争が終わって７５年以上過ぎた後も、韓日は日本が植民支配の被害をしっかり謝罪して真実に基づいて振り返っているかを巡り、再び対立している」と指摘した。


これに先立ち、先月日本政府は佐渡金山の登録申請を決めたが、登録時期を江戸時代（１６０３～１８６８年）に限定するという意図を隠さなかった。朝鮮人が強制的に連れて行かれて過酷な環境下で炭鉱労働に苦しめられた１９４０年代太平洋戦争時期はきれいに取り除いたまま歴史的価値を認めてもらおうという一種の「トリック」だ。

ＮＹＴも「佐渡金山は１２世紀から運営されてきたが、ユネスコ登録は江戸時代の鉱山歴史に集中している」と説明した。

また「地域民は佐渡金山が文化遺産に指定されて新たに観光客が流入することを希望している」として鉱山内展示物などを紹介したが、「壁には数百年にわたる鉱山の歴史を説明する年表が展示されているが、韓国人労働者に対する言及はたった２行だけだった。強制労働であることを示す内容もなかった」と伝えた。

ＮＹＴは「世界遺産に登録しながら、時期を江戸時代に限定するのは日本の文化的遺産に（かえって）害を及ぼす」という歴史学者の見解も紹介した。日本の鉱山史を研究してきたオーストラリア・メルボルン大学のデビッド・パーマー副教授は「歴史の全体を語ってこそ該当国家の歴史を尊重すると言うことができる」と話した。

ＮＹＴは韓国だけでなく日本の学者も佐渡金山で朝鮮人強制労役が行われた点を確認しているとも伝えた。戦時の朝鮮人労役についての著書が何冊かある日本の歴史学者の竹内康人氏は「日本政府と佐渡金山を所有した三菱の記録によると、１９４０～４５年の間に韓半島から少なくとも１５００人の労働者が徴集された。１００人を越える朝鮮人労働者が脱出しようとした記録を確認したが、これは強制労役が行われていたという証拠」と話した。

その間、日本は強制徴用の辛い歴史がある佐渡金山の世界文化遺産登録へ試みを撤回するよう求める韓国の要求に「一方的主張」という立場を一貫して取ってきた。まるで韓国が一人で主張しているという態度だった。日本の佐渡金山トリック登録を防ぐためには積極的な国際世論戦が必須だが、ＮＹＴの報道はこのような韓国の努力に正当性がある点を示す一つの資料になる。

これに先立ち、日本は２０１５年軍艦島など近代産業施設を文化遺産に登録する時も太平洋戦争前の１８５０～１９１０年代に時期を限定しようとしたがユネスコから制止を受けた。当時ユネスコは「完全な歴史」（ｆｕｌｌ　ｈｉｓｔｏｒｙ）を記録しなければなければならないと勧告し、日本は強制労役の事実を認めて情報センターなどを作って被害者を賛えるという約束をした後に登録に成功した。

だが、このような約束をしっかりと履行せず、昨年７月ユネスコから警告を受け、是正の有無に対して今年末までにユネスコに回答を提出しなければならない。このような前例があるため、今回の佐渡金山登録過程で時期を江戸時代に限定しようとする試みも、結局国際社会の抵抗に直面するのではないかという見方もある。中国やロシアなどはすでにこのような日本の試みに反対する立場を公式に明らかにしている。