金日成(キム・イルソン)主席が1949年2月にモスクワを訪問し、スターリン元旧ソ連共産党書記長に贈った花瓶。高さ65センチ、幅35センチの大きさの花瓶にスターリン書記長の肖像画が入っている。北朝鮮は当時、ソ連に贈り物と共に贈り物の目録と写真集「スターリン大元帥への贈り物図解集」を作成して提供した。中央日報統一文化研究所は創設50周年を迎えて入手した「図解録」を公開した。キム・ヒョンドン記者
北朝鮮は「金主席が生前、各国首脳から7万1000点ほどの贈り物を受けた」とし、平安北道(ピョンアンブクド)妙香山(ミョヒャンサン)麓の国際親善展覧館に展示している。スターリンが金主席に贈った列車(48年12月)と乗用車、中国の毛沢東国家主席が贈った列車(53年11月)などがある。北朝鮮はこれを金主席の偉大性の宣伝に活用しているが、金主席がスターリンに贈り物をした事実が公開されたのは今回が初めてだ。
匿名を求めた脱北者は「北朝鮮では『地球上に政治家は金日成、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)だけ』と宣伝している」とし「金主席がスターリンに贈り物を準備したのは今回初めて知った」と話した。
A3サイズの厚い画用紙を利用して手作業で制作した図解集は全30ページ分量。贈り物の目録と写真が掲載され、制作者の人的事項などがハングルで説明されている。また厚い画用紙の間には写真説明をタイピングした薄い紙を入れ、写真が紙に付かないようにしている。
図解録によると、北朝鮮が準備した贈り物は本箱、事務用テーブル、3段箪笥、2段箪笥、テーブル、文箱、鏡台、屏風、座布団、寝台など事務室および居間・寝室用の家具26種・36点。当時、北朝鮮の高位層または特権層が使用する高級家具セットで、北朝鮮は図解集に贈り物を配置した事務室と居間、寝室サンプルの写真も入れた。「小市民」出身のチェ・ヨンヘ氏ら11人が制作した。
特に図解録の最初のページにはスターリンの肖像を磁器に彫った花瓶を掲載した。北朝鮮は貨物列車に贈り物を載せてモスクワに運んだという。しかし現在、贈り物がどこにあるかは確認されていない。
韓国戦争専門家のパク・ミョンリム延世大国際大学院教授は「金主席は北朝鮮政権樹立(48年9月9日)後、49年2月22日に初めてソ連を公式訪問した」とし「当時スターリンとの会談で軍事および経済支援を要請し、スターリンの歓心を買うために金主席側が最善を尽くして贈り物を準備したとみられる」と説明した。
実際、金主席は同年3月5日、朴憲永(パク・ホンヨン)副首相らを同伴してスターリンに会った席で、ソ連の軍需および経済援助を要請した。中央日報が別に入手した当時の会談対話録(ロシア外務省保管資料)によると、金主席は4000万ー5000万ドル相当の借款を希望した。スターリンはルーブルで支援するという意向を伝えたが、金主席は「米ドル」を要求した。また金主席は北朝鮮ーソ連間の航空運航、ソ連語教師の派遣のほか、阿吾地(慶興郡(キョンフングン)とロシア・ウラジオストク近隣のクラスキノ(安重根義士が断指同盟をしたところ)間の56キロの鉄道連結も要請した。
会談でスターリンは韓国軍と在韓米軍の兵力現況に関心を見せ、金主席は空軍・海軍の支援を要請したという。その後、双方は実務協議を経て同年3月11日、工場設備関連の借款と清津(チョンジン)港のソ連海軍一時的駐留、朝ソ航空運輸会社設立、朝ソ鉄道建設など4000万ドル相当の支援を骨子とする「朝ソ両国間の経済的及び軍事的協力に関する協定」を締結した。これは金の価格を基準に現在では12億8980万ドル(約1兆5400億ウォン、約1500億円)に相当する。
アン・ビョンミン韓半島経済協力院長は「北朝鮮はソ連に『友好及び相互援助条約』の締結を主張したが、米国を意識したソ連の反対で経済文化交流協定を締結した」とし「同協定に基づき豆満江(ドゥマンガン)駅とハサン駅を連結する鉄道を建設し、ロシアのハサン駅が51年から業務を開始した」と説明した。
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