ロシアがウクライナを侵攻する場合、ウクライナの多数の主要都市が標的になる可能性があると、ブルームバーグ通信が２０日（現地時間）報じた。

◆キエフ、ハルキウ、オデッサ、ヘルソンなども標的

ブルームバーグによると、ウクライナ情勢に詳しい匿名の情報筋３人は「ウクライナ北東部のハルキウ、黒海北部（ウクライナ南部）の港町オデッサ、南部ドニエプル川河口の港町ヘルソンも攻撃を受けるおそれがある」と伝えた。特にウクライナ海上貿易の４分の３を担うオデッサ地域の港が攻撃を受ける場合、深刻な経済的被害が予想される。ウクライナ輸出入の７０％が海上を通じて行われている。ブルームバーグは「こうした見解はウクライナに隣接するロシア軍の兵力と行動の準備に基づいて出した内容」と伝えた。


これに先立ちウクライナの首都キエフについては、バイデン米大統領が１８日、「ロシアが２８０万人の市民が暮らすウクライナの首都キエフを攻撃するとみている」と述べた。オースティン米国防長官もこの日、ＡＢＣニュースのインタビューで「ロシア軍がキエフを占領するために非常に早く動いている。タンクがキエフに進入するのを見る可能性が高い」と述べた。

◆米記者「ロシア軍、侵攻継続の命令を実際に受けた」

米国ではロシア軍の侵攻関連情報が絶えず出ている。ＣＢＳのデビッド・マーティン記者はこの日、自社の時事番組「フェイス・ザ・ネーション」に出演し、「米情報当局はロシア軍が侵攻を進行しろという命令を実際に受けたと話している。（ロシアの）地上指揮官は戦場でどのような作戦を展開するかについて具体的な計画を立てている」と伝えた。

ブリンケン米国務長官もこの日、ＣＢＳのインタビューで「我々が見ているものはプーチン大統領が侵攻することにした決定」と話した。ブリンケン長官はウクライナ東部地域で親露武装勢力が起こした挑発、ウクライナの攻撃のように見せかける偽装作戦、ロシアとベラルーシの連合軍事訓練延長の発表などを事例に挙げた。

◆ロシア米大使館「モスクワなども危険、米国人は待避を」

ロシア国内でも不特定の主体による攻撃が懸念される。ロシアの米国大使館はこの日、ホームページに「報道によると、モスクワ、サンクトペテルブルク、ロシアーウクライナ国境付近など主要都市のショッピングモール、地下鉄駅など公共場所に対する攻撃の脅迫があった」と伝えた。これに対し現地米国人に「群衆を避ける」「個人の安全計画を検討する」「米国政府の支援に頼らない待避計画」など行動指針を伝えた。これに対しロシア外務省の報道官はテレグレムを通じて「米国が情報を伝えたのか。そうでなければこうした発表をどう理解すべきなのか」と反問した。

緊迫した状況が続いているが、ひとまずマクロン仏大統領の仲裁でバイデン米大統領とプーチン露大統領が２０日晩、首脳会談の開催に「原則的」に合意した状態だ。ただ、ロシアが会談時まで侵攻しないという条件が付いた。ブリンケン長官とラブロフ露外相が２４日に会って首脳会談を準備する予定という。