フィギュアスケート史上初めて五輪で４回転半ジャンプのクワッドアクセルを試みた「フィギュアの帝王」羽生結弦は結局全人未踏の高地に上がることはできなかった。

羽生は１０日に行われた北京冬季五輪フィギュアスケート男子シングルフリーで１８８．０６点を得た。技術点９９．６２点、芸術点９０．４４点、減点２点を合算した点数だ。

ショートプログラムで９５．１５点を得て８位にとどまった羽生はフリープログラムでの点数を加え２８１．２１点で五輪を終えることになった。個人最高点の３２２．５９点にははるかに及ばない点数だ。だが羽生は演技を終えた後に両手を挙げて明るい微笑を浮かべた。


アクセルは前に跳躍するジャンプで他のジャンプより半周多く回って着地する。空中で４回転半しなければならない４回転半ジャンプはフィギュア専門家から「物理的に人間がこなすのは難しい技術」という評価を受ける。それだけ超人的な力と飛距離、滞空時間が必要だ。

すでに２０１４年のソチ大会、２０１８年の平昌（ピョンチャン）大会と２回の冬季五輪で金メダルを取った羽生は、今回の大会を控え４回転半ジャンプに挑戦状を投げつけた。五輪３連覇より「史上初の４回転半ジャンプ成功」に焦点を合わせて大会を準備した。

簡単ではなかった。実戦と公開練習で一度も完璧に着地できなかった。フリー演技直前に体をほぐす時も２度４回転半ジャンプを試みたがいずれも失敗した。それでも羽生は４回転半ジャンプに向けた意志を曲げなかった。

羽生は競技開始後最初のジャンプで迷うことなく４回転半ジャンプを試みた。高く跳躍して４回転半したが、着地でバランスを崩して転倒した。結局アンダーローテーション（回転不足）の判定を受け１点減点された。

無理な試みは次のジャンプにまで影響を及ぼした。２番目のジャンプの課題である４回転サルコウも着地して転倒した。しかし羽生はすぐ「帝王」の風格を取り戻した。トリプルアクセル―トリプルループのコンビネーションに続き、トリプルフリップを軽く成功させた。クワッドトウループ―トリプルトウループのコンビネーションとクワッドトウループ―シングルオイラー―トリプルサルコウのコンビネーションもきれいにやり遂げた。最後のジャンプであるトリプルアクセルもやはり軽く着地した。

羽生は３回のスピンとステップシークエンス、コレオシークエンスまで予定された演技をすべて終えた後、万感が交錯する微笑で観衆にあいさつした。自身最後となるかもしれない五輪で最後まで意味ある挑戦をしたことに満足するようだった。競技を中継したＳＢＳのクァク・ミンジョン解説委員は「着地には失敗したが、五輪で初めて４回転半ジャンプの試みを見ただけでも意味ある瞬間だ。羽生が金メダルを取れなくても、彼が最高の選手だったという事実は長く記憶されるだろう」とした。