米国のロイド・オースティン国防長官が米軍８５００人に「欧州派兵待機」命令を下して警戒態勢を強化したと２４日（現地時間）、米国防総省が発表した。在ウクライナ米国大使館の職員家族の撤退命令を下した翌日に取られた措置だ。ロシアのウクライナ侵攻に備えて米国の地上軍介入が可視化する雰囲気だ。

◆「米軍８５００人、有事の際にはＮＡＴＯ即応部隊を支援」

米国防総省のジョン・カービー報道官はこの日定例記者会見を通じて「ジョー・バイデン大統領が派兵決定を下すことに備え、オースティン国防長官が米国本土の米軍８５００人に非常待機命令を発動した」とし「彼らは有事の際、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の即応部隊（ＮＲＦ）を支援することになるだろう」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻を受けてＮＲＦが稼動すれば、該当の米軍兵力がＮＲＦに直ちに参加することができるように備えろという命令だ。ＮＲＦは地上・空軍・特殊作戦軍４万人余りで構成されたＮＡＴＯの最精鋭多国籍軍だ。


この日派兵待機命令を受けた８５００人の米軍は戦闘旅団を含めて現役地上軍と装備を備えた医療・航空・輸送・情報および監視部隊だ。警戒態勢が強化されたことを受け、通常１０日以内に与えられる配備準備期間は５日以内に短縮された。

ただし、これら米軍はウクライナではなく、近隣の東欧に配備される展望だ。カービー報道官は「ロシアのウクライナ侵攻計画がバルト３国を含む東欧に拡大する可能性があると懸念しているＮＡＴＯ同盟国を安心させるための措置」としながら「東欧同盟国が支援を要請すれば彼らを支援する準備ができているという事実を明確に明らかにする」と述べた。

カービー報道官は欧州に駐留中の米軍が移動することになる可能性も排除しなかった。カービー報道官は「米国がＮＡＴＯの集団防衛条約である相互防衛条約第５条をどれほど神聖に思っているかを示す決定」と話した。

◆外信「米国の戦略修正シグナル」

外信はペンタゴンの今回の決定がこれまでロシアの威嚇的挑発にも節制された反応だけを示していたバイデン政府の立場転換を意味すると分析した。米国がこれまで強調してきた経済・金融制裁以外に米軍派兵という強力なカードでロシアを圧迫し、外交的解決策に出口を用意する戦略に旋回したということだ。ＮＹＴは「米国政府が今まで数回の会談と交渉を進めたが、ロシアの軍事的威嚇を阻止できなかった」としながら「バイデン政府が（協議と調整中心の）以前の戦略から抜け出している」と伝えた。ＣＮＮは「最近相次いだ外交的交流でいかなる突破口を見出すことができなかった米国が下した最も最近の措置」と強調した。

この日ホワイトハウスでも米軍派兵について言及があった。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は「米国はウクライナ危機に関連し、すべてのシナリオに備えた軍事計画を整えている」とし「シナリオには東欧に軍隊を派遣すること、ロシアがウクライナの国境を越える前に米軍を追加派兵することなどが含まれる」と述べた。続いて「米国は米軍の追加派兵の可能性を排除したことがなく、これは我々が持っているさまざまな非常計画の一つ」と述べた。

◆ロシア「米国とＮＡＴＯが緊張高揚」主張

これに先立ち、米国は前日在ウクライナ米国大使館の職員家族に撤退命令を下し、ロシア侵攻の可能性を水面上に引き上げた。ロイターは「この命令は米国がロシアの攻撃に備えているという最も明らかな信号」と診断した。英国政府も大使館職員の一部を撤収させることにした。これについてロシアは「米国とＮＡＴＯがウクライナに軍事的支援をしながら緊張を高めている」と非難して「ロシアはウクライナを侵略する計画がない」という主張を繰り返した。

一方、ウクライナ国防省の最新の資料によると、ロシアは現在ウクライナとの国境に１２万７０００人以上の兵力を配置した状態だ。ベラルーシとウクライナの国境には兵力を引き続き増強している。ＣＮＮは「米国はロシアがいつでも侵攻を始めることができる状況だと判断している」と伝えた。