中国武漢で始まった肺炎が新型コロナという名で世の中に登場する直前、中国は米国との貿易戦争を休戦する協定を締結した。2年前のこの時期(2020年1月15日)だ。「第1段階貿易協定」と呼ばれるこの休戦協定の核心は、中国が今後2年間に日常的な貿易取引以外に米国産2000億ドル分を追加で購入するという約束だ。その2年が過ぎた。
中国は約束を守ったのだろうか。公式資料はまだないが、昨年11月までの米国の統計(ピーターソン研究所)によると、中国の購買物量は約束物量の60%をやや上回る。その後、昨年12月末まで1カ月間に中国が電光石火のように輸入を増やしたという報道はない。結局、中国は約束の履行に失敗した。中国の弁解は新型コロナによる天災地変のためというものだ。しかし新型コロナの震源地でありながらも他国に比べて短期間で経済の反騰に成功したと主張する中国ではなかったのか。
さらに農産物・エネルギー・工業製品・サービスなど各分野に割り当てられた購買物量は、最初から市場の需要とは関係がない人為的なものだった。中国政府の購買約束と貿易戦争の休戦を交換したのだ。購買約束で中国が稼いだ2年間という休戦の時間は終わった。協定の履行に失敗した中国を米国はどう扱うだろうか。
◆米中貿易戦争は結局「体制戦争」
米国通商交渉の歴史に詳しい人なら、米国が協定の履行をどれほど重視するかについて無数の事例を羅列することができる。協定不履行を理由に相手国に高強度市場開放圧力を加えてきた米国だ。中国はその米国に引っかかった。米国は何をするだろうか。高関税か。経済制裁か。2022年から米国と中国はまた貿易戦争を始めるのか。
購買約束の履行を守るために中国に期間延長を認める緩和政策も可能だ。融和政策は米国内の激しい反発に直面するだろう。民主党と共和党の極端な対立にもかかわらず「中国叩き」は超党派的な合意がある唯一の部分だ。圧倒的多数の有権者が中国に冷たい反応を見せる。こうした政治地形で中国に対する融和的なジェスチャーは想像しにくい。同時に、中国の約束不履行は米国の決起を試すものかもしれない。
それで中国に対する圧力がさらに強まる可能性が高い。高関税に言及しながら未購買分の早期購買圧力を加えることも考えられる。第1段階の合意にもかかわらず、米国は中国からの輸入品の3分の2に対して依然として高関税を維持している。中国製品に対する高関税が自身の支持基盤である庶民層の市場バスケット物価を高めたとトランプ前大統領を非難したバイデン大統領はホワイトハウスの主人になった後、トランプ前大統領が築いた高関税障壁をそのまま維持しているのに注目する必要がある。
2年前の米中合意は第1段階の合意だった。たとえ中国が購買約束をまともに履行したとしても、米中間対立の根本的な原因は消えなかった。両国が貿易戦争をする根本的な理由は共産党主導の非市場経済のためだ。規模が大きい国営企業が経済インフラを独占し、外国企業に対する差別的規制によって中国企業に有利になった。この公正でない状況のため、デジタル大転換期に中国ビッグテック企業は急成長した。21世紀の石油と呼ばれるビッグデータを大量に持つ中国は、人工知能(AI)・顔認識・第5世代(5G)移動通信技術を安保分野に結びつけている。
◆米中、第2段階交渉をする名分ない
米中貿易戦争は技術戦争と軍事戦争に続いて結局は体制戦争につながる。米中覇権競争の複合構図だ。貿易合意後の過去2年間、中国共産党の経済統制権はさらに強まった。サイバー空間を掌握する中国ビッグテック企業の自立権は極度に弱まった。体制の安定性という至上目標の下、異見は認められない。デジタル時代にふさわしくない中国規制システムの落後性を指摘したアリババの馬雲(ジャック・マー)氏が象徴的だ。
米国は交渉を通じて中国との貿易問題を解消できるだろうか。強気のトランプ大統領に対しても「数字は可能だが、システムは交渉の対象でない」と断固として一線を画した中国だ。第1段階合意という表現はそれで同床異夢だった。2020年11月、目の前に近づいた選挙を意識して自身の支持階層に「私だけが中国を屈服させることができた」と主張したかったトランプ大統領。米国の高まる高関税障壁を避けたい習近平主席。この2つの間の利害計算が絶妙に合致したのが第1段階合意だった。
西欧体制との激突を宣言した習近平主席には、中国のシステムを交渉テーブルに載せる第2段階交渉はあり得ない。トランプ大統領は自身の支持者に第1段階より興味深い第2段階の封切りが迫っていることを予告したくてたまらなかった。そのトランプ大統領は退場した。バイデン大統領が中国を扱う形は異なる。
【コラム】米国、EU・インドなどと連携で中国への圧力加速(2)
中国は約束を守ったのだろうか。公式資料はまだないが、昨年11月までの米国の統計(ピーターソン研究所)によると、中国の購買物量は約束物量の60%をやや上回る。その後、昨年12月末まで1カ月間に中国が電光石火のように輸入を増やしたという報道はない。結局、中国は約束の履行に失敗した。中国の弁解は新型コロナによる天災地変のためというものだ。しかし新型コロナの震源地でありながらも他国に比べて短期間で経済の反騰に成功したと主張する中国ではなかったのか。
さらに農産物・エネルギー・工業製品・サービスなど各分野に割り当てられた購買物量は、最初から市場の需要とは関係がない人為的なものだった。中国政府の購買約束と貿易戦争の休戦を交換したのだ。購買約束で中国が稼いだ2年間という休戦の時間は終わった。協定の履行に失敗した中国を米国はどう扱うだろうか。
◆米中貿易戦争は結局「体制戦争」
米国通商交渉の歴史に詳しい人なら、米国が協定の履行をどれほど重視するかについて無数の事例を羅列することができる。協定不履行を理由に相手国に高強度市場開放圧力を加えてきた米国だ。中国はその米国に引っかかった。米国は何をするだろうか。高関税か。経済制裁か。2022年から米国と中国はまた貿易戦争を始めるのか。
購買約束の履行を守るために中国に期間延長を認める緩和政策も可能だ。融和政策は米国内の激しい反発に直面するだろう。民主党と共和党の極端な対立にもかかわらず「中国叩き」は超党派的な合意がある唯一の部分だ。圧倒的多数の有権者が中国に冷たい反応を見せる。こうした政治地形で中国に対する融和的なジェスチャーは想像しにくい。同時に、中国の約束不履行は米国の決起を試すものかもしれない。
それで中国に対する圧力がさらに強まる可能性が高い。高関税に言及しながら未購買分の早期購買圧力を加えることも考えられる。第1段階の合意にもかかわらず、米国は中国からの輸入品の3分の2に対して依然として高関税を維持している。中国製品に対する高関税が自身の支持基盤である庶民層の市場バスケット物価を高めたとトランプ前大統領を非難したバイデン大統領はホワイトハウスの主人になった後、トランプ前大統領が築いた高関税障壁をそのまま維持しているのに注目する必要がある。
2年前の米中合意は第1段階の合意だった。たとえ中国が購買約束をまともに履行したとしても、米中間対立の根本的な原因は消えなかった。両国が貿易戦争をする根本的な理由は共産党主導の非市場経済のためだ。規模が大きい国営企業が経済インフラを独占し、外国企業に対する差別的規制によって中国企業に有利になった。この公正でない状況のため、デジタル大転換期に中国ビッグテック企業は急成長した。21世紀の石油と呼ばれるビッグデータを大量に持つ中国は、人工知能(AI)・顔認識・第5世代(5G)移動通信技術を安保分野に結びつけている。
◆米中、第2段階交渉をする名分ない
米中貿易戦争は技術戦争と軍事戦争に続いて結局は体制戦争につながる。米中覇権競争の複合構図だ。貿易合意後の過去2年間、中国共産党の経済統制権はさらに強まった。サイバー空間を掌握する中国ビッグテック企業の自立権は極度に弱まった。体制の安定性という至上目標の下、異見は認められない。デジタル時代にふさわしくない中国規制システムの落後性を指摘したアリババの馬雲(ジャック・マー)氏が象徴的だ。
米国は交渉を通じて中国との貿易問題を解消できるだろうか。強気のトランプ大統領に対しても「数字は可能だが、システムは交渉の対象でない」と断固として一線を画した中国だ。第1段階合意という表現はそれで同床異夢だった。2020年11月、目の前に近づいた選挙を意識して自身の支持階層に「私だけが中国を屈服させることができた」と主張したかったトランプ大統領。米国の高まる高関税障壁を避けたい習近平主席。この2つの間の利害計算が絶妙に合致したのが第1段階合意だった。
西欧体制との激突を宣言した習近平主席には、中国のシステムを交渉テーブルに載せる第2段階交渉はあり得ない。トランプ大統領は自身の支持者に第1段階より興味深い第2段階の封切りが迫っていることを予告したくてたまらなかった。そのトランプ大統領は退場した。バイデン大統領が中国を扱う形は異なる。
【コラム】米国、EU・インドなどと連携で中国への圧力加速(2)
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