LPG値の不満が反政府デモに…カザフスタン「非常事態」宣言 [写真=Pixabay]
5日(現地時間)、ロシア官営タス通信やロイター通信などによると、カシムジョマルト・トカエフ大統領は最大都市アルマトイと首都ヌルスルタン(旧アスタナ)など全国に非常事態を宣言して夜間外出禁止措置を発動した。この日、アルマトイでは数千人のデモ隊が市の庁舎や大統領官邸などに乱入したほか、他の都市でもデモ隊が政府機関を攻撃した。
6日にはデモが激化して死亡者が続出した。外信は軍の発砲でデモ隊数十人が射殺されたほか、デモ鎮圧に投入された軍と警察13人も亡くなったと報じた。1000人余りが負傷し、400人余りが病院で治療を受けていると外信は伝えた。
デモ隊がアルマトイ空港を掌握し、空港利用客が足止めを食らった。アシアナ航空によると、5日アルマトイに到着したアシアナ航空旅客機の搭乗客や乗務員ら70人余りも空港庁舎を出ることができず、6日午前になってホテルに移動した。
非常事態宣言にもかかわらずデモが激化すると、トカエフ大統領は同盟を結んでいるロシアが主導する集団安保条約機構(CSTO)に助けを求めた。ロシアは空輸部隊を派遣した。ニューヨーク・タイムズはロシア空輸部隊がカザフスタンに到着してデモ鎮圧作戦に投入されたと伝えた。アルメニア政府もCSTO所属の平和維持軍をカザフスタンに派遣すると明らかにした。CSTOは旧ソ連に属したロシア・ベラルーシ・アルメニア・カザフスタン・タジキスタン・キルギスタンなど6カ国が2002年に結成した軍事・安全保障協力体だ。
カザフスタンのデモは新年に入って車両用液化石油ガス(LPG)価格が2倍に引き上げられたことに不満を抱いた人々が2日に路上に集まり始めながら拡大した。政府は価格上限制を通じて生産単価より低い価格で供給していたLPGに対する補助金を段階的に廃止する作業を新年初日に終えた。すると主要都市でLPG価格が2倍に引き上げられて全般的な物価急騰が予想されるようになると、2日から抗議デモが始まった。
ロシアの一部メディアは5日、「カザフスタンで全国規模のデモが触発されたのは来週行われるロシアと米国・北大西洋条約機構(NATO)間のリレー会談を控え、ロシアの注意力を乱すための外部勢力の扇動」と主張し、外部勢力に米国を挙げた。トカエフ大統領も「カザフスタンは外国で徹底的にトレーニングを受けたテロリストの攻撃を受けたスケープゴートになった」とし、今回のデモをテロだと規定した。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官はこの日の記者会見で「米国はカザフスタンのデモ隊が平和的にその意見を表現し、当局は冷静にデモ隊を落ち着かせるよう呼びかけたい」とし「米国が背後だというロシアの一部のクレイジーな主張は完全な偽りであり、ロシアが数年前から繰り返してきたフェイク情報プレーの一部であることを明確に伝える」と話した。
各外信は今回の事態がカザフスタンの古い政治勢力図と関連があるという分析を出している。2019年退いたナザルバエフ初代大統領勢力の長期独裁と専横、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)事態などで悪化した経済難に対する国民の不満がエネルギー価額上昇事件を機に爆発したという見方だ。ナザルバエフ前大統領は1991年から28年間の長期執権して退いた後、安保会議議長職を務めて影響力を行使してきた。トカエフ大統領も彼の勢力に分類される。
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