朴槿恵（パク・クネ）前大統領は自身が弾劾されたことについて「嘘はしばらく人々の目を覆い、耳をふさいで世の中をだますことができるだろうが、時間が過ぎれば真実がその姿を必ず現す」と主張した。１審裁判後に判決の不当性を主張する支持者の手紙には「形式的には合法的な姿をしていても、実質的に正当性がなければこれを法治主義とは言えない」と答えた。中央日報が３０日に入手した朴前大統領の書簡集『恋しさは誰にでも生まれるものではありません』には、弾劾の不当性への言及が多かった。

「セウォル号７時間」に関連し、朴前大統領は「その日は私の体調が良くなかったので（青瓦台）官邸で関連報告を受けた。セウォル号が沈没した当時の状況に関連し、私に対する奇怪なデマと悪意の謀略があったが、私は真実の力を信じていたので沈黙していた」と書いた。

朴前大統領は書簡集で弾劾を呼んだ国政壟断事件やセウォル号沈没事故に関連し、具体的な事実関係や背景の説明をする代わりに「後日の歴史の法廷で真実が明らかになる」「多くの時間が経過すればどれが真実かが明らかになるだろう」とした。


過去に自身に対する検察の捜査を指揮した尹錫悦（ユン・ソクヨル）国民の力大統領候補には直接言及しなかった。ただ「憎悪の対象である尹錫悦がチョ・グクの妻を起訴するとはどういう意味なのか」を尋ねる支持者の手紙に、「ある人を評価する際、その人が歩んできた道をとどってみればその人がどういう人かが分かるという。嘘は一部の人をしばらくだますことができても、すべての人を永遠にだますことはできない」と答えた。

朴前大統領が支持者と交わした獄中書信を集めた『恋しさは誰にでも生まれるものではありません』は第１章「２０１７年－天が崩れた年」、第２章「２０１８年－限りなく待つこと｣、第３章「２０１９年－希望を見た」、第４章「２０２０年－そして、まだ」で構成されている。以下は書簡集の主な内容。

◆弾劾関連＝「『正義と真実は必ず明らかになり、正道を歩かない者は結局、天が滅びさせる。歴史がこれを証明している』という言葉のように、黙々と耐え続けていればいつかは真実が明らかになると考える」（７１ページ）

「私が多くの不名誉を甘受しながらも週４回行われる殺人的な裁判日程に耐えたのは、司法府が真実で是是非非を判断するという一抹の信頼のためだった。しかしそのような私の期待とは違い、とんでもない理由で追加拘束令状を発行するのを見て、決められた結論のための要式行為という判断がついた。したがってこれ以上そのような裁判所が進める裁判に参加するのは意味がなく煩わしいと考え、弁護人に私の意思を明らかにした。真実は後日の歴史の法廷で明らかになると考える」（３５ページ）

◆セウォル号関連＝「セウォル号が沈没したその日の状況はあまりにも衝撃的であり、当時の状況を思い出すのは本当につらい。（中略）セウォル号が沈没した当時の状況に関連し、私に対する奇怪なデマと悪意の謀略があったが、私は真実の力を信じたので沈黙していた。隠そうとしたものもなく、隠す理由もない。今後、多くの時間が過ぎれば、何が真実かが明らかになると考える」（１６３ページ）

◆「尹錫悦検察」のチョ・グク前長官捜査関連＝（「憎悪の対象の尹錫悦がチョ・グクを捜査する理由が分からない」という支持者の手紙に対し）「チョ・グク長官の聴聞会に関する話は多くの国民の手紙でよく知っている。（中略）ある人を評価する際、その人が歩んできた道をたどってみれば、その人がどういう人かが分かるという。自分の足跡については本人が最もよく知っている。嘘が人々を、それも一部の人をしばらくだますことができても、すべての人を永遠にだますことはできない。人をだまそうとするほど深い嘘にはまってしまう平凡な道理を知らない人が国の仕事をすることはできないと考える。あなたが言うようにトンネルが終わる出口があるはず」（１９９ページ）

◆在任中の統治関連＝「大統領でありながら目立った巨大な建築物や華麗なランドマークなどを建てなかった、少しでも国民がより良い生活を送り、幸せになれるようにする政策を用意して執行しようと努力した」（４８ページ）

◆任期後の各種懸案関連＝「嘘はしばらく人々をだますことができても永遠にだますことはできない。李明博（イ・ミョンバク）前大統領の拘束を聞いて残念だった」（６６ページ）

「私もここで公務員１人が北朝鮮海域で射殺され、遺体を燃やされて捨てられたことを聞いた。（中略）いかなる理由であれ、今回の北朝鮮の蛮行は許されない反倫理的な犯罪だと考える」（２８４ページ）

◆その他＝（体重が３０キロ台に減ったことについて）「ここ拘置所では外部の飲食品の搬入が認められない。私の体重が３０キロ台に落ちたというが、それほど体重が落ちた事実はない。おそらく誰かが間違えて誇張した話が伝わったようだ」（２７６ページ）