公正取引委員会は29日、大韓航空とアシアナ航空が一部発着枠返却、輸送権再配分などを履行する条件付きで結合を承認するものと暫定結論を下した。27日、大韓航空の整備士がエンジンテストセルでエアバスA330のエンジンを整備している。キム・サンソン記者
公取委はこの日、「結合を通じて寡占が形成される両社の路線を減らし、これを他の航空会社に渡すようにすることが核心内容」と明らかにした。米州、欧州、中国、日本などの路線の一部が再分配すべき路線に含まれた。
シェアが100%である完全独占路線は10路線だ。仁川(インチョン)空港発着路線ではロサンゼルス、ニューヨーク、シアトル、シドニー、バルセロナが含まれる。釜山(プサン)発着路線では名古屋、青島などの路線が結合を通じて独占が形成されると判断した。これらの路線は再分配が避けられないというのが公取委の判断だ。
大韓航空とアシアナが重複運航する路線は2019年基準で国際線65路線、国内線11路線だ。公取委は結合する両社のシェア合計が50%以上で市場1位の事業者が含まれる場合に競争制限性があるとみる。ただ公取委は輸送権を外資系航空会社に渡すものではないと線を引いた。輸送権は航空自由化がなされていないEUなどとの国同士の協議を通じて決めた航空機運航権限だ。例えば仁川からロンドンには週17便の運航可能な輸送権があり、この輸送権は国内の航空会社にだけ譲渡できる。公取委は路線再分配が行われるまで運賃引き上げを制限し、サービスと供給を縮小するのを禁止させる内容の措置もともに下した。
変数は米国とEUの競争当局だ。これらは韓国公取委とは違い路線再分配が完了してこそ企業結合を承認できるという立場だ。今月初めにEUの競争当局がスペイン1位のイベリア航空と3位のエアヨーロッパの企業結合審査過程で高い基準を提示したのも不確実性が大きい部分だ。
大韓航空とアシアナ航空としては余剰人材活用に対する悩みが大きくなった。新型コロナウイルスで利用客が急減している状況に国内空港のスロットと輸送権返却で業務がさらに減ると予想されるためだ。「(合併による)人為的構造調整は絶対にない」(ウ・ギホン大韓航空代表)と釘を刺した状況で2万6000人に達する両社社員をそのまま維持する妙手が出せるのか不透明だ。現在としては休職規模を増やしたり新規採用凍結を延長する可能性もある。現在大韓航空は社員の半分ほど、アシアナ航空は80%が休職状態だ。
韓国系格安航空会社(LCC)はうきうきしている。どの路線を再配分するのかはまだ公開されていないが、大韓航空とアシアナ航空が事実上独占していた米州と欧州などの中長距離路線にLCCが進出する余地が大きくなったためだ。
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