韓国政府が米国主導の北京冬季オリンピック(五輪)「外交的ボイコット」に一線を画する姿だ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はオーストラリア訪問中の13日、「米国などどの国からも(ボイコット)参加の勧誘を受けたことはなく、韓国政府も検討しないない」と明らかにした。とはいえ、代表団派遣を決定したわけではないというのが政府の立場だが、大統領の直接的な発言は重みが異なる。
正答はない。米中がこのように激しく対立する状況で、ボイコットに参加をする側も参加しない側も得失が明確だ。いかなる選択をしても失うものはあり、どちらが損失が少ないかという問題だ。
米国は直ちに「ボイコット決定前に同盟と協議した」とし、露骨に不快感を表明した。こうした反応を政府も予想できなかったわけではない。したがってそれによる結果も受け入れればよい。ただ、政府の立場には重要な部分が見えない。それは人権だ。
◆青瓦台「平和五輪への寄与は道理」
青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官は文大統領の発言直後の14日、ラジオ番組に出演してこのように述べた。
「我々は平昌(ピョンチャン)冬季五輪を開催した独特な位置にいる。韓半島(朝鮮半島)状況が厳しかった時期に、平昌五輪に北朝鮮の参加を引き出すことで韓半島の平和を作り出す動力になった。北京五輪も韓半島平和の五輪になることを望んでいる。直前の五輪を開催した国として、そのために寄与する道理と義務もあると考える」。
朴首席秘書官の発言のどこにも、米国が外交的ボイコットの理由とする新疆ウイグル自治区の反人道犯罪など中国の人権問題に対する悩みは見られない。
韓国政府に対しては、北京五輪に北朝鮮を引き込んで平和の「雰囲気」を演出することだけが道理、義務であり、普遍的な価値の人権を守護して増進することは道理と義務ではないかという質問が出るしかない。他国の人権問題に対しては声を高めながらも、北朝鮮と中国の人権問題に対しては特に小さくなる姿を見せてきた文政権であるため、なおさらだ。
これに関連して16日、外交部当局者に対し、ボイコットを検討していないは米国が提起した人権問題に同意しないからか、それとも中国国内の人権問題に対する米国の認識に同意するがそれより大きな国益がかかっているからかと尋ねた。
この当局者は「政府代表団の出席も現在のところ何も決定していない。したがって現段階では人権問題のために、これに対する立場のために我々がどう検討している、検討していないと話す段階ではないようだ」と答えた。
◆ボイコット拒否のフランス「人権糾弾は続ける」
米国が反人道犯罪を理由に挙げた以上、人権問題に対する判断が出てこそボイコットするかどうかも決定できる。ところが代表団の出席が決定していないため中国の人権問題に対する検討についても話す時ではないというのは矛盾だ。
フランスは違った。ブランケール仏教育相は9日、五輪ボイコットについて否定的な立場を明らかにしながらも、中国の人権侵害を糾弾する声を引き続き出していくと明らかにした。
フランス検察は7月、新疆ウイグル族の強制労働被害に関連する多国籍企業への捜査に着手した。捜査を担当したのは「反人道犯罪担当チーム」だった。フランスが中国内の人権問題を眺める視点を表す例だ。
青瓦台が言う「直前開催国」としての道理と義務が何かも分からない。平昌直前に冬季五輪を開催したロシア(ソチ)はドーピング問題で国際オリンピック委員会(IOC)の制裁を受け、平昌五輪に国家資格で選手団も派遣できなかった。次期開催国は閉会式で五輪旗を受けるハイライトに登場するが、直前開催国には特別な役割が期待されていない。
◆あまりにも違う2018年vs2022年
また、平昌五輪が開催された2018年と現在の情勢はあまりにも違う。
当時は核武力完成に到達したと判断した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が米国との交渉に関心を見せるための手段として平昌を選択し、米国も呼応した。トランプ政権は連合訓練延期など文大統領の提案を受け入れ、北朝鮮が外に出やすい環境を作った。
技術的な側面を見ても、米国がその多くの制裁を例外にしていなければ、政府が力を注いだイベントの金剛山(クムガンサン)合同文化祭や馬息嶺(マシクリョン)スキー場共同練習から北朝鮮代表団の韓国訪問まで円滑に行われるのは不可能だったはずだ。
しかし現在は違う。北朝鮮はIOCの制裁で北京冬季五輪に自国の所属として選手団も送ることができない。すでにボイコットを宣言したため米国の官僚は誰も出席しない。北京五輪が米朝間の関与の機会になるのかという質問に「考慮する価値がない質問」(15日、ランバート米国務副次官補)という返答するのが現実だ。
ボイコットに参加しないことはあり得るが、その理由が五輪ということだけで当時の状況と同一視して「平昌アゲイン」を追求するためなら、これは大きな外交的誤謬につながりかねない。それが文政権の「終戦宣言急発進」のためならなおさらだ。
特に今は任期末だ。北朝鮮を引き込んで次期政権に対話ムードを譲り渡すという青瓦台の意図とは正反対に、「韓国は米中間で選択をしてしまった」という大きな負担だけを押しつけることになるかもしれない。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はオーストラリア訪問中の13日、「米国などどの国からも(ボイコット)参加の勧誘を受けたことはなく、韓国政府も検討しないない」と明らかにした。とはいえ、代表団派遣を決定したわけではないというのが政府の立場だが、大統領の直接的な発言は重みが異なる。
正答はない。米中がこのように激しく対立する状況で、ボイコットに参加をする側も参加しない側も得失が明確だ。いかなる選択をしても失うものはあり、どちらが損失が少ないかという問題だ。
米国は直ちに「ボイコット決定前に同盟と協議した」とし、露骨に不快感を表明した。こうした反応を政府も予想できなかったわけではない。したがってそれによる結果も受け入れればよい。ただ、政府の立場には重要な部分が見えない。それは人権だ。
◆青瓦台「平和五輪への寄与は道理」
青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官は文大統領の発言直後の14日、ラジオ番組に出演してこのように述べた。
「我々は平昌(ピョンチャン)冬季五輪を開催した独特な位置にいる。韓半島(朝鮮半島)状況が厳しかった時期に、平昌五輪に北朝鮮の参加を引き出すことで韓半島の平和を作り出す動力になった。北京五輪も韓半島平和の五輪になることを望んでいる。直前の五輪を開催した国として、そのために寄与する道理と義務もあると考える」。
朴首席秘書官の発言のどこにも、米国が外交的ボイコットの理由とする新疆ウイグル自治区の反人道犯罪など中国の人権問題に対する悩みは見られない。
韓国政府に対しては、北京五輪に北朝鮮を引き込んで平和の「雰囲気」を演出することだけが道理、義務であり、普遍的な価値の人権を守護して増進することは道理と義務ではないかという質問が出るしかない。他国の人権問題に対しては声を高めながらも、北朝鮮と中国の人権問題に対しては特に小さくなる姿を見せてきた文政権であるため、なおさらだ。
これに関連して16日、外交部当局者に対し、ボイコットを検討していないは米国が提起した人権問題に同意しないからか、それとも中国国内の人権問題に対する米国の認識に同意するがそれより大きな国益がかかっているからかと尋ねた。
この当局者は「政府代表団の出席も現在のところ何も決定していない。したがって現段階では人権問題のために、これに対する立場のために我々がどう検討している、検討していないと話す段階ではないようだ」と答えた。
◆ボイコット拒否のフランス「人権糾弾は続ける」
米国が反人道犯罪を理由に挙げた以上、人権問題に対する判断が出てこそボイコットするかどうかも決定できる。ところが代表団の出席が決定していないため中国の人権問題に対する検討についても話す時ではないというのは矛盾だ。
フランスは違った。ブランケール仏教育相は9日、五輪ボイコットについて否定的な立場を明らかにしながらも、中国の人権侵害を糾弾する声を引き続き出していくと明らかにした。
フランス検察は7月、新疆ウイグル族の強制労働被害に関連する多国籍企業への捜査に着手した。捜査を担当したのは「反人道犯罪担当チーム」だった。フランスが中国内の人権問題を眺める視点を表す例だ。
青瓦台が言う「直前開催国」としての道理と義務が何かも分からない。平昌直前に冬季五輪を開催したロシア(ソチ)はドーピング問題で国際オリンピック委員会(IOC)の制裁を受け、平昌五輪に国家資格で選手団も派遣できなかった。次期開催国は閉会式で五輪旗を受けるハイライトに登場するが、直前開催国には特別な役割が期待されていない。
◆あまりにも違う2018年vs2022年
また、平昌五輪が開催された2018年と現在の情勢はあまりにも違う。
当時は核武力完成に到達したと判断した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が米国との交渉に関心を見せるための手段として平昌を選択し、米国も呼応した。トランプ政権は連合訓練延期など文大統領の提案を受け入れ、北朝鮮が外に出やすい環境を作った。
技術的な側面を見ても、米国がその多くの制裁を例外にしていなければ、政府が力を注いだイベントの金剛山(クムガンサン)合同文化祭や馬息嶺(マシクリョン)スキー場共同練習から北朝鮮代表団の韓国訪問まで円滑に行われるのは不可能だったはずだ。
しかし現在は違う。北朝鮮はIOCの制裁で北京冬季五輪に自国の所属として選手団も送ることができない。すでにボイコットを宣言したため米国の官僚は誰も出席しない。北京五輪が米朝間の関与の機会になるのかという質問に「考慮する価値がない質問」(15日、ランバート米国務副次官補)という返答するのが現実だ。
ボイコットに参加しないことはあり得るが、その理由が五輪ということだけで当時の状況と同一視して「平昌アゲイン」を追求するためなら、これは大きな外交的誤謬につながりかねない。それが文政権の「終戦宣言急発進」のためならなおさらだ。
特に今は任期末だ。北朝鮮を引き込んで次期政権に対話ムードを譲り渡すという青瓦台の意図とは正反対に、「韓国は米中間で選択をしてしまった」という大きな負担だけを押しつけることになるかもしれない。
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