「パンデミックの最も深い憂いの中でも韓国では肉やトイレットペーパー、ペットの飼料を買い占める姿を目にすることはない。

その代わり、彼らは新しい慣習を発達させた。それは早朝５時からデパートの外で長い列に並んで９５００ドル（約１０８万円）のシャネルのカバンを買うこと」。

ブルームバーグ通信は１５日（現地時間）、韓国の大型デパート、特に名品ブランド「シャネル」に集中して起きている「オープンラン」（デパートのオープン前に列に並んで待機すること）をこのように描写した。特に同通信は、韓国の２０３０世代を中心に名品消費が発達している背景には住宅価格急騰など変化した経済環境があると指摘した。


通信は「名品消費ブームは新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）の拡大で海外ショッピングが制限され、若干のお金が残ることになって起こった」とし「シャネルコリアは今年特定品目の価格を４度引き上げたが、これはより多くの需要を呼び起こした」と分析した。

通信とのインタビューに応じた３１歳のチョさんはシャネルの価額上昇に関連して「価格が上昇し続けているので今が一番安い」と話した。希望の商品を手に入れることが徐々に難しくなり、シャネルのような名品ショッピングにより多くの人が集まっているようだとチョさんは付け加えた。

また、通信はシャネルがこのような購入ブームの中で需要を抑制し、リセール（購入した新商品を高値で再販する行為）を防ぐために財布やカバンなど製品群のうち客一人あたり一つの製品群だけを購入できるようにする政策を実施している点にも言及した。シャネルコリアはシャネルの代表製品のうち「クラシックバッグ」と「ココハンドルバッグ」のうち一つだけ購入できるように制限しているが、このような現象を過熱の効果として光を当てた。

通信は２０３０世代が名品消費ブームに集まる現象を取り上げて、文在寅（ムン・ジェイン）大統領政府以降、急騰した韓国の住宅価格がその背景にあると分析した。通信は「２０３０世代は住宅価格の急騰を受けて住居価格を支払うことはできないと感じている」とし「その代わり、彼らは今を楽しむことができることにお金を使っている」とした。いわゆる「ＹＯＬＯ（Ｙｏｕ　Ｏｎｌｙ　Ｌｉｖｅ　Ｏｎｃｅ、人生は一度きりだから現在を楽しもうという意味）」現象を指摘する。

続いて同通信は「ＫＢ金融グループによると、文大統領が執権した２０１７年６億７００万ウォン（約５８００万円）だったソウルのマンションの平均価格は２倍以上高騰し、１１月基準１２億４０００万ウォンになった」とし「月平均収入が３００万ウォンの２０３０世代にとってこれは大きな負担」と分析した。

あわせて通信はシャネルが来年も価格を引き上げる可能性があると展望する専門家の意見を伝えた。通信は「２０１７年７月、小型のシャネルミニフラップバッグは３２４万ウォンだった。現在は５３９万ウォンで６６％上昇した」とし「同じ期間、ＫＯＳＰＩ（韓国総合株価指数）は２５％上昇した」と指摘した。