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【コラム】米中技術覇権競争の核に浮上した量子科学技術(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
専門家らは量子コンピュータが既存のスーパーコンピュータの性能を凌駕する「量子優位」に到達する時期を今後3年前後とみている。量子コンピュータはコンピュータ技術のゲームチェンジャーになるだろう。大規模演算と情報処理が必要なさまざまな科学技術分野の飛躍的発展を触発することもできる。米商務省は最近中国企業12社に対する量子コンピューティング技術の輸出制限を発表した。米国政府は量子コンピューティングを核心戦略技術に指定し技術格差を守るための努力を傾けている。

◇量子暗号通信は中国が世界最高水準

量子コンピュータはビッグテック企業を前面に出した米国が先導し中国が追撃する局面だが、量子暗号通信では中国がすでに世界最高水準というのが定説だ。量子暗号通信はもつれた光子対を利用して送信者と受信者の間に暗号キーを分配することが核心だ。量子は複製が不可能で盗聴やモニタリングを試みれば量子の状態が変わりすぐに感知できる。そのため盗聴が不可能な究極のセキュリティ通信とされる。中国はもつれ光子対を利用した有無線量子暗号通信技術で確実な優位を占めている。暗号を解くことが特技である量子コンピュータが矛ならば量子暗号通信は盾だ。量子情報科学が国家安全保障次元でも重要な理由だ。


中国が量子情報科学で米国を追撃しているのは科学技術全般に対する投資が莫大で、最近成果も急速に増えているためだ。中国はすでに科学分野の学術誌論文数で米国を追い抜いた。全世界の論文の5本に1本が中国発で、欧州全体と匹敵する。国家研究開発支出は年平均17.3%増加して急上昇し、数年以内に米国を凌駕すると予想される。中国の国内総生産(GDP)比の研究開発支出の割合は2.15%水準だが、韓国のGDP比の研究開発支出が4.55%(2020年)、日本が3.21%のため、韓国と日本の産業構造と似ていく中国は研究開発投資を増やし続けると予想できる。論文数と研究開発支出は研究開発活動の総量を計る指標だ。中国は近く世界で研究開発を最も多くする国になるだろう。

最近の中国の鋭い追撃をどのように見るべきなのか、米中覇権競争の狭間で韓国の戦略は何なのかに対し多くの議論が行われている。これまでの中国の追撃は主に技術ライフサイクルが短い産業部門で成功的だと評価される。インターネット商取引、オンラインゲーム、スマートフォンのような分野が代表的だ。相当な水準と評価される人工知能技術の場合、機械学習に必須のデータ量と機械学習を助ける人材規模、そして個人情報保護に対する概念が西欧の民主主義国とは違う国家体制が発展の動力として作用しただろう。

最近米国では米国イノベーション・競争法案(USICA)というスーパーパッケージ法案が上院を通過した。名前からして直接的な「中国の挑戦への対抗法案」などが含まれた。このパッケージの7件の細部法案のうち「エンドレス・フロンティア法」は科学技術研究開発に対する莫大な追加投資と米国版国策基本技術開発事業といえる政策を含んでいる。基礎科学に対する支援を担当してきた米国科学財団(NSF)を科学技術財団(NSTF)に改編する内容は米国科学界で賛否両論を巻き起こした。だがこうした動向が示唆するものは明らかだ。今日の尖鋭な科学技術競争で基礎科学と先端技術が別々にはいられないということだ。

◇「韓国、量子科学技術投資のタイミング5年逃す」

量子情報科学に戻ってみよう。遅い感はあるが11月16日に国家科学技術諮問会議量子技術特別委員会の初の会議が開かれた。韓国の量子情報科学水準は先導国との格差が大きいと評価される。研究コミュニティも大きくない。量子科学技術フォーラム議長を務めているソウル大学物理天文学部のパク・チェグン教授はある討論会で、「国内量子科学技術研究開発投資と専門人材は競争国に比べて非常に不足している」と指摘し、本格的な投資を始めるべきだった時期を「5年ほど逃したと判断される」と話した。量子特別委は「2030年代の量子技術4大強国入り」を目標に提示したが、量子情報科学分野は過去の追撃期の方式のまま応用技術開発を中心にした「速い2位戦略」が通じない。こうした点で韓国が持っている研究能力を冷徹に判断し中長期的な未来戦略を立てることが何より重要だ。国際協力戦略も必要だ。基礎科学と先端技術を合わせる包括的なアプローチ、そして果敢な投資が必須だ。

パク・サンウク/ソウル大学地球環境科学部教授


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