一日3万人まで増えていた日本の新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染者が最近200人前後に急減した。一日3000~4000人まで急増した韓国と違い、日本のコロナ状況が見違えるように改善されると、このような違いが生じた原因を巡りさまざまな分析や主張が登場している。
日本が韓国産コロナ診断キットを使わない唯一の国であり、それによってデルタ株ウイルス感染者を突き止めることができないという「診断キット不良説」が出てきた。高額なコロナ検査費用(約2万円)のせいで無症状や軽症患者はコロナ検査を受けにくいという「検査量縮小説」もある。日本でデルタ株が消えたという「コロナ自滅説」まで登場した。このような主張のほとんどは科学的な根拠が不足しているか事実関係さえ確認していないものだ。
ファクトを調べれば日本は韓国産診断キットを輸入して使っている。セルフチェック用として韓国産診断キットを購入することができる。ただし医療用診断機器として輸入していないので医療機関で使わないでいるだけだ。日本は米国や欧州産の診断キットを使っていて、デルタ株感染者を突き止められないという主張も荒唐無稽な話だ。
人口100万人あたりのコロナ検査件数をみると日本は22万件で世界では141位ほどと低いほうだ。しかし韓国の30万7000件(126位)と比較すると絶対的検査量に伴う感染者減少効果はそれほど大きくない可能性もある。日本国立遺伝学研究所が主張したデルタ株ウイルスのゲノムエラーに伴う自滅説もまだ仮設の域を出ていない。自己複製エラーによって自滅するという主張とは逆に、実際に多くの人が感染する優勢株になった。ウイルスが消えたというのは不可能に近いという反論もある。
公衆衛生学的に検討が必要な主張もある。両国が接種したワクチンの種類が違うという意見だ。コロナワクチン接種完了率は日本(77.2%)と韓国(79.0%)に大きな差がないという点で注目するに値する。韓国は接種初期にアストラゼネカ(AZ)ワクチンを主に使ったが、日本はファイザーとモデルナワクチンだけを接種した。接種6カ月以降、急激な中和抗体の減少が発生するアストラゼネカとは違い、日本はファイザーとモデルナの感染予防効果がまだ維持されていると分析する。実際、最近の感染者と死亡者の多数が高齢者とアストラゼネカ突破感染者(ブレイクスルー感染)という韓国の状況を考慮すれば関連性が高い。
韓日両国の10代の接種率の違いが最近の防疫状況を説明する原因の一つという見解もある。日本の10代接種率は68.7%だが韓国は15.4%にすぎない。しかし、これら年齢層は全体人口で占める規模が小さいうえに、休校など移動および接触水準に関しても感染者減少の主要因としてみるにはまだ科学的根拠が足りない。
日本でコロナに感染した後に回復して自然免疫を得た人が多くなったという「自然感染形成論」を主張する人もいる。米国ワシントン大学医大傘下の保健指標評価研究所(IHME)は今年5月に世界のコロナ死亡者数が公式統計数値の倍以上になるという研究結果を発表した。日本の場合、コロナ死亡者の公式統計数値は1万390人となっているが、実際の推定死亡者は10万8320人で10倍以上の違いが生じているという。全国的な大規模疫学調査の実施とその結果に基づいてこそ具体的な原因と要因を明らかにできる。
さまざまな見解は科学の発展に必要で、推奨すべきことだ。それに対する冷徹な批判と検証を経てこそ、科学的主張ははじめて社会の発展に活用することができる。軽率な主張や政治的意図によって科学を誤用して不当な被害を招いた歴史的事例は多い。日本の感染者数急減に対する主張を濾過しなければならない理由だ。
チェ・ジェウク/高麗(コリョ)大学医大予防医学科教授
◆外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
日本が韓国産コロナ診断キットを使わない唯一の国であり、それによってデルタ株ウイルス感染者を突き止めることができないという「診断キット不良説」が出てきた。高額なコロナ検査費用(約2万円)のせいで無症状や軽症患者はコロナ検査を受けにくいという「検査量縮小説」もある。日本でデルタ株が消えたという「コロナ自滅説」まで登場した。このような主張のほとんどは科学的な根拠が不足しているか事実関係さえ確認していないものだ。
ファクトを調べれば日本は韓国産診断キットを輸入して使っている。セルフチェック用として韓国産診断キットを購入することができる。ただし医療用診断機器として輸入していないので医療機関で使わないでいるだけだ。日本は米国や欧州産の診断キットを使っていて、デルタ株感染者を突き止められないという主張も荒唐無稽な話だ。
人口100万人あたりのコロナ検査件数をみると日本は22万件で世界では141位ほどと低いほうだ。しかし韓国の30万7000件(126位)と比較すると絶対的検査量に伴う感染者減少効果はそれほど大きくない可能性もある。日本国立遺伝学研究所が主張したデルタ株ウイルスのゲノムエラーに伴う自滅説もまだ仮設の域を出ていない。自己複製エラーによって自滅するという主張とは逆に、実際に多くの人が感染する優勢株になった。ウイルスが消えたというのは不可能に近いという反論もある。
公衆衛生学的に検討が必要な主張もある。両国が接種したワクチンの種類が違うという意見だ。コロナワクチン接種完了率は日本(77.2%)と韓国(79.0%)に大きな差がないという点で注目するに値する。韓国は接種初期にアストラゼネカ(AZ)ワクチンを主に使ったが、日本はファイザーとモデルナワクチンだけを接種した。接種6カ月以降、急激な中和抗体の減少が発生するアストラゼネカとは違い、日本はファイザーとモデルナの感染予防効果がまだ維持されていると分析する。実際、最近の感染者と死亡者の多数が高齢者とアストラゼネカ突破感染者(ブレイクスルー感染)という韓国の状況を考慮すれば関連性が高い。
韓日両国の10代の接種率の違いが最近の防疫状況を説明する原因の一つという見解もある。日本の10代接種率は68.7%だが韓国は15.4%にすぎない。しかし、これら年齢層は全体人口で占める規模が小さいうえに、休校など移動および接触水準に関しても感染者減少の主要因としてみるにはまだ科学的根拠が足りない。
日本でコロナに感染した後に回復して自然免疫を得た人が多くなったという「自然感染形成論」を主張する人もいる。米国ワシントン大学医大傘下の保健指標評価研究所(IHME)は今年5月に世界のコロナ死亡者数が公式統計数値の倍以上になるという研究結果を発表した。日本の場合、コロナ死亡者の公式統計数値は1万390人となっているが、実際の推定死亡者は10万8320人で10倍以上の違いが生じているという。全国的な大規模疫学調査の実施とその結果に基づいてこそ具体的な原因と要因を明らかにできる。
さまざまな見解は科学の発展に必要で、推奨すべきことだ。それに対する冷徹な批判と検証を経てこそ、科学的主張ははじめて社会の発展に活用することができる。軽率な主張や政治的意図によって科学を誤用して不当な被害を招いた歴史的事例は多い。日本の感染者数急減に対する主張を濾過しなければならない理由だ。
チェ・ジェウク/高麗(コリョ)大学医大予防医学科教授
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