バイデン米大統領が北京冬季オリンピック(五輪)の「外交的ボイコット」に言及して以降、国際的に関連議論が活発に行われている。理由は新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧問題だ。
ブリンケン米国務長官はニューヨークタイムズ(NYT)に「同盟と五輪参加についてどう考えているかを議論中だ。対話が活発に行われている」と述べた。これに呼応するかのように英国、カナダ、オーストラリアなどからボイコットを検討中という海外の報道が次々と出ている。
◆韓国政府「言及する事項ない」と原則的立場
ところが米国の同盟である韓国は静かだ。バイデン大統領のボイコット発言について尋ねると、韓国外交部の当局者は「外国の首脳の発言については言及する事項がない」と述べた。また「政府は北京五輪が南北関係改善のための転機となり、北東アジアと世界平和・繁栄に寄与する契機になることを希望するという基本立場を堅持している」という従来の原則的な立場を繰り返した。続いて「北京五輪の外交的ボイコットに関連し、米国側から協議の要請を受けたことはない」と話した。
北京五輪ボイコットは精巧な戦略的判断の領域に属する。普遍的価値である人権を守護するための努力という点で参加の名分があるが、外交的に及ぼす影響も考慮しなければならない。政府の慎重な態度は理解できる。
しかし問題は現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権はこうした悩みや議論自体を避ける雰囲気という点だ。もちろん内部または水面下でどんな議論が行われているのかすべて把握することはできない。しかし文在寅政権が中国の人権問題に対して見せてきた立場を考慮すると、今回も似た態度を維持すると予想される。
◆韓米の声明から抜けた中国の人権…「わが政府の立場」
鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は5月25日の記者会見で、5・21韓米首脳共同声明に新疆ウイグル自治区の人権侵害などが明示されなかった理由を尋ねられると、「中国の問題については国際社会でいろいろと議論があるのは事実だが、韓中間の特殊関係に照らしてわが政府は中国内部の問題に対する具体的な言及をずっと自制してきた」と答えた。また「こうしたわが政府の立場が今回の共同声明にもそのまま反映された」と述べた。
韓国が望まなかったため中国人権関連の内容が韓米共同声明から抜けたという点を認めただけでなく、文在寅政権は普遍的価値の人権問題を韓中関係という特定のプリズムに合わせて眺めるという立場を公表したのと変わらない。
これに先立ち5月15日にも主要7カ国(G7)の外相がウイグル自治区の問題に深い遺憾を表したことについて政府の立場を尋ねると、外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は懸念や遺憾という言葉を使用せず「国際社会の動向に注目している」と答えた。
◆中国、首脳会談での文大統領の発言も歪曲したが…
さらに忘れてはならない「事件」が一つある。2019年12月に北京で開催された韓中首脳会談の直後、中国メディアは一斉に「文大統領が香港と新疆の問題は『中国の内政』と明らかにした」と速報した。中国外務省の耿爽報道官は直後の記者会見で「この表現は事実と符合する」として報道が事実という趣旨で答えた。
「中国の内政」というのは、内政だから第3国は干渉してはならないという意味であり、文大統領が香港やウイグル自治区の問題で中国を支持したと解釈するのに十分な内容だった。すると青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)は一歩遅れて「習近平主席が香港・新疆問題について『この問題は中国の内政問題』と説明し、これに対して文大統領は『習主席の言葉を聞いた』という趣旨の発言をしたにすぎない」と説明した。
青瓦台の説明通りなら、中国は相手国の首脳の発言を作り出して大々的に広報し、想像もしがたい外交的な欠礼を見せたということだ。しかし中国のこうした欠礼の後にも、韓国政府は依然として新疆問題さえ出てくれば公開的な発言を避けながら中国を刺激しないことに集中している。さらに鄭義溶外交長官は5月の記者会見で新疆ウイグル族人権弾圧について「中国内部の問題」と発言し、中国と似た表現を使用した。
米国「北京五輪外交的ボイコットを同盟と議論」…韓国「話すことない」(2)
ブリンケン米国務長官はニューヨークタイムズ(NYT)に「同盟と五輪参加についてどう考えているかを議論中だ。対話が活発に行われている」と述べた。これに呼応するかのように英国、カナダ、オーストラリアなどからボイコットを検討中という海外の報道が次々と出ている。
◆韓国政府「言及する事項ない」と原則的立場
ところが米国の同盟である韓国は静かだ。バイデン大統領のボイコット発言について尋ねると、韓国外交部の当局者は「外国の首脳の発言については言及する事項がない」と述べた。また「政府は北京五輪が南北関係改善のための転機となり、北東アジアと世界平和・繁栄に寄与する契機になることを希望するという基本立場を堅持している」という従来の原則的な立場を繰り返した。続いて「北京五輪の外交的ボイコットに関連し、米国側から協議の要請を受けたことはない」と話した。
北京五輪ボイコットは精巧な戦略的判断の領域に属する。普遍的価値である人権を守護するための努力という点で参加の名分があるが、外交的に及ぼす影響も考慮しなければならない。政府の慎重な態度は理解できる。
しかし問題は現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権はこうした悩みや議論自体を避ける雰囲気という点だ。もちろん内部または水面下でどんな議論が行われているのかすべて把握することはできない。しかし文在寅政権が中国の人権問題に対して見せてきた立場を考慮すると、今回も似た態度を維持すると予想される。
◆韓米の声明から抜けた中国の人権…「わが政府の立場」
鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は5月25日の記者会見で、5・21韓米首脳共同声明に新疆ウイグル自治区の人権侵害などが明示されなかった理由を尋ねられると、「中国の問題については国際社会でいろいろと議論があるのは事実だが、韓中間の特殊関係に照らしてわが政府は中国内部の問題に対する具体的な言及をずっと自制してきた」と答えた。また「こうしたわが政府の立場が今回の共同声明にもそのまま反映された」と述べた。
韓国が望まなかったため中国人権関連の内容が韓米共同声明から抜けたという点を認めただけでなく、文在寅政権は普遍的価値の人権問題を韓中関係という特定のプリズムに合わせて眺めるという立場を公表したのと変わらない。
これに先立ち5月15日にも主要7カ国(G7)の外相がウイグル自治区の問題に深い遺憾を表したことについて政府の立場を尋ねると、外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は懸念や遺憾という言葉を使用せず「国際社会の動向に注目している」と答えた。
◆中国、首脳会談での文大統領の発言も歪曲したが…
さらに忘れてはならない「事件」が一つある。2019年12月に北京で開催された韓中首脳会談の直後、中国メディアは一斉に「文大統領が香港と新疆の問題は『中国の内政』と明らかにした」と速報した。中国外務省の耿爽報道官は直後の記者会見で「この表現は事実と符合する」として報道が事実という趣旨で答えた。
「中国の内政」というのは、内政だから第3国は干渉してはならないという意味であり、文大統領が香港やウイグル自治区の問題で中国を支持したと解釈するのに十分な内容だった。すると青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)は一歩遅れて「習近平主席が香港・新疆問題について『この問題は中国の内政問題』と説明し、これに対して文大統領は『習主席の言葉を聞いた』という趣旨の発言をしたにすぎない」と説明した。
青瓦台の説明通りなら、中国は相手国の首脳の発言を作り出して大々的に広報し、想像もしがたい外交的な欠礼を見せたということだ。しかし中国のこうした欠礼の後にも、韓国政府は依然として新疆問題さえ出てくれば公開的な発言を避けながら中国を刺激しないことに集中している。さらに鄭義溶外交長官は5月の記者会見で新疆ウイグル族人権弾圧について「中国内部の問題」と発言し、中国と似た表現を使用した。
米国「北京五輪外交的ボイコットを同盟と議論」…韓国「話すことない」(2)
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