地球温暖化を防ぐために開かれた国連国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が13日に幕を下ろした。韓国は山林保護や土壌回復、メタンガス削減のための国際協約に参加したのはもちろん、温室効果ガス排出量を画期的に減らして究極的に石炭発電も行わないと約束した。だが、このような確約に国内外の反応は完全に冷笑的だ。特に温室効果ガスの排出削減と石炭発電の中断に関連する韓国政府の意欲的な目標を巡り現実性論争に火がついた。一部からはこれでは「気候悪党」を越えて「気候詐欺師」になってしまうのではないかという懸念まで出ている。なぜこのようになってしまったのか。COP26関連の核心争点と今後の波紋などに迫ってみたい。
◆2040年前までに石炭発電所廃止に参加
#今月1日(現地時間)、COP26首脳会議が開かれた英国グラスゴーのスコットランド・イベント・キャンパス(SEC)。演壇に立った文在寅(ムン・ジェイン)大統領は温室効果ガス排出削減に向けた野心に満ちた計画を語ってみせた。文大統領が提示したのは3つの約束と1つの提案。1つ目は「韓国の2030国家温室効果ガス排出削減目標〔国が決定する貢献(NDC)〕を引き上げて2018年比14%から40%以上削減する」というものだ。続いて「『国際メタン誓約』に加入してメタン削減にも積極的に努力する」と付け加えた。2つ目は森と土地に関することだった。文大統領は「『山林および土地利用に関するグラスゴー首脳宣言』を歓迎し、開発途上国の山林回復に積極的に協力する」とした。最後はエネルギー関連で「世界石炭使用削減の取り組みに参加し、2050年までにすべての石炭発電を廃止する」と明らかにした。あわせて文大統領は「青年気候サミット」の定例化を提案した。
#3日後の4日、COP26議長国・英国は韓国など40余カ国が石炭火力発電を中断するという『グローバル脱石炭転換宣言』に署名したと得意顔で発表した。宣言の核心は主要経済国の場合、遅くとも2030年代に、残りは2040年代に石炭発電所を閉鎖するということだった。韓国側の署名者は文勝煜(ムン・スンウク)産業部長官で文大統領はハンガリーに到着した状態だった。韓国の署名が伝えられると外信は一斉にこのニュースを大きく扱った。中国・インド・オーストラリアなど主要石炭消費国はもちろん、米国・日本まで参加しなかったからだ。米経済専門紙フォーブスは韓国の参加に「驚くべき発表」と評価した。
#韓国が2030年代に、すなわち遅くとも2039年には石炭発電所を閉鎖することにした宣言に参加したというニュースが伝えられると、韓国内のメディアと専門家の間には大きな波紋が広がった。2050年カーボンニュートラル(炭素中立)を目標にした韓国政府はその時までに石炭発電所を段階的に閉鎖するというのが従来の方針だったためだ。これについて政府は「クリーンエネルギーへの転換を支持するものであり、脱石炭の時点に同意したことはない」「方向性に同意したもので、合意事項にすべて従うということではない」と釈明した。政府がこのように主張するにはそなりに理由がある。この宣言は石炭発電廃止時点を主要経済国の場合は2030年代、残りの国家は2040年代と明示したが、条項末に「または、その後できるだけはやく(or as soon as possible thereafter)」という但し書きが存在するためだ。
だが、宣言の根本趣旨は先進国は2039年、残りは2049年までに石炭発電を中断しようということだ。但し書き条項があるにはあるが、これは最大限努力したがやむを得ない場合には最大限はやく達成しろという意味で捉えなければならない。これを言い訳に2050年まで石炭発電を継続するというのは「耳を覆って鈴を盗む」行為だといえる。脱石炭宣言の根本趣旨を守れる自信がないのであれば最初から署名しないのが正しいやり方だ。
◆海外メディア「韓国、信頼失った」批判
このように韓国政府が宣言文のインクが乾かないうちからこれに反するようなことを言うので海外メディアは直ちにこれを報じた。英国BBCは「今回の宣言内容は重要な懸案」としながら「それでも韓国政府は脱石炭時点を『2030年代または、できるだけはやい時期』とある条項を照れ笑いして前面に出しながら2049年にこれを中止しようとする」と批判した。ユーロニュースも「韓国は宣言に署名しながらもさっと手を引こうとして信頼を失っている」と伝えた。
当初から脱原発の基調の中で2039年までに石炭発電をやめるのは不可能だと専門家は声をあげてきた。2019年現在、石炭発電量比重は全体の40.4%。これに対して新再生エネルギーは6.5%にすぎない。原発まで廃止した状態で20年以内に石炭発電を新再生エネルギーに転換するのは、韓国が置かれている環境上、不可能だということだ。
環境分野の用語に「グリーンウォッシング(greenwashing)」がある。環境を象徴するグリーン(green)と汚いところを隠すという意味のホワイトウォッシング(whitewashing)が合体したもので、「環境保護に取り組んでいる」と約束しながら何もしない「偽装環境主義者」を称する。今回、韓国が脱石炭宣言に署名しても守らなければグリーンウォッシング国家になってしまう公算が大きい。
そうでなくても韓国はすでに「気候悪党」(Climate Villain)と言われている。国民一人あたりの温室効果ガス排出量が米国・カナダとともに世界最高であるうえ、最近も継続して増加しているためだ。環境専門家の会合クライメート・アクション・トラッカー(CAT)は2016年、サウジ・オーストラリア・ニュージーランドとともに韓国を気候悪党だとした。このため、ある環境専門家は「韓国が脱石炭宣言を守らなければ気候悪党を越えて『気候詐欺師』と言われることになるだろう」と懸念した。
任期が半年も残っていない文大統領が20~30年後の脱石炭を約束をしたことに対して論争も激しい。一部では国際社会から好評を受けようとして責任の負えない約束を乱発していると指摘されている。このため「文大統領が環境問題でいい顔ばかりしている」という批判も出ている。
とにかく韓国が信頼を失えば深刻な後遺症に苦しめられる恐れがある。実際、欧州連合(EU)が今後炭素国境税を賦課して韓国に不利益を与える可能性もある。炭素国境税はいい加減な温室効果ガス規制で炭素排出が多い国の輸出品に賦課する一種の関税だ。EUは領域内企業の場合、炭素排出量を削減するために大きな費用を負担する反面、これを疎かにする国には費用を減らすことができて価格競争で有利だと主張する。このような立場から見ると、韓国が脱石炭宣言をしっかり守らなければ報復次元で高率の炭素国境税を浴びる可能性が少なくない。
【コラム】韓国「グリーンウォッシング」論争…「気候詐欺師」になる憂慮も(2)
◆2040年前までに石炭発電所廃止に参加
#今月1日(現地時間)、COP26首脳会議が開かれた英国グラスゴーのスコットランド・イベント・キャンパス(SEC)。演壇に立った文在寅(ムン・ジェイン)大統領は温室効果ガス排出削減に向けた野心に満ちた計画を語ってみせた。文大統領が提示したのは3つの約束と1つの提案。1つ目は「韓国の2030国家温室効果ガス排出削減目標〔国が決定する貢献(NDC)〕を引き上げて2018年比14%から40%以上削減する」というものだ。続いて「『国際メタン誓約』に加入してメタン削減にも積極的に努力する」と付け加えた。2つ目は森と土地に関することだった。文大統領は「『山林および土地利用に関するグラスゴー首脳宣言』を歓迎し、開発途上国の山林回復に積極的に協力する」とした。最後はエネルギー関連で「世界石炭使用削減の取り組みに参加し、2050年までにすべての石炭発電を廃止する」と明らかにした。あわせて文大統領は「青年気候サミット」の定例化を提案した。
#3日後の4日、COP26議長国・英国は韓国など40余カ国が石炭火力発電を中断するという『グローバル脱石炭転換宣言』に署名したと得意顔で発表した。宣言の核心は主要経済国の場合、遅くとも2030年代に、残りは2040年代に石炭発電所を閉鎖するということだった。韓国側の署名者は文勝煜(ムン・スンウク)産業部長官で文大統領はハンガリーに到着した状態だった。韓国の署名が伝えられると外信は一斉にこのニュースを大きく扱った。中国・インド・オーストラリアなど主要石炭消費国はもちろん、米国・日本まで参加しなかったからだ。米経済専門紙フォーブスは韓国の参加に「驚くべき発表」と評価した。
#韓国が2030年代に、すなわち遅くとも2039年には石炭発電所を閉鎖することにした宣言に参加したというニュースが伝えられると、韓国内のメディアと専門家の間には大きな波紋が広がった。2050年カーボンニュートラル(炭素中立)を目標にした韓国政府はその時までに石炭発電所を段階的に閉鎖するというのが従来の方針だったためだ。これについて政府は「クリーンエネルギーへの転換を支持するものであり、脱石炭の時点に同意したことはない」「方向性に同意したもので、合意事項にすべて従うということではない」と釈明した。政府がこのように主張するにはそなりに理由がある。この宣言は石炭発電廃止時点を主要経済国の場合は2030年代、残りの国家は2040年代と明示したが、条項末に「または、その後できるだけはやく(or as soon as possible thereafter)」という但し書きが存在するためだ。
だが、宣言の根本趣旨は先進国は2039年、残りは2049年までに石炭発電を中断しようということだ。但し書き条項があるにはあるが、これは最大限努力したがやむを得ない場合には最大限はやく達成しろという意味で捉えなければならない。これを言い訳に2050年まで石炭発電を継続するというのは「耳を覆って鈴を盗む」行為だといえる。脱石炭宣言の根本趣旨を守れる自信がないのであれば最初から署名しないのが正しいやり方だ。
◆海外メディア「韓国、信頼失った」批判
このように韓国政府が宣言文のインクが乾かないうちからこれに反するようなことを言うので海外メディアは直ちにこれを報じた。英国BBCは「今回の宣言内容は重要な懸案」としながら「それでも韓国政府は脱石炭時点を『2030年代または、できるだけはやい時期』とある条項を照れ笑いして前面に出しながら2049年にこれを中止しようとする」と批判した。ユーロニュースも「韓国は宣言に署名しながらもさっと手を引こうとして信頼を失っている」と伝えた。
当初から脱原発の基調の中で2039年までに石炭発電をやめるのは不可能だと専門家は声をあげてきた。2019年現在、石炭発電量比重は全体の40.4%。これに対して新再生エネルギーは6.5%にすぎない。原発まで廃止した状態で20年以内に石炭発電を新再生エネルギーに転換するのは、韓国が置かれている環境上、不可能だということだ。
環境分野の用語に「グリーンウォッシング(greenwashing)」がある。環境を象徴するグリーン(green)と汚いところを隠すという意味のホワイトウォッシング(whitewashing)が合体したもので、「環境保護に取り組んでいる」と約束しながら何もしない「偽装環境主義者」を称する。今回、韓国が脱石炭宣言に署名しても守らなければグリーンウォッシング国家になってしまう公算が大きい。
そうでなくても韓国はすでに「気候悪党」(Climate Villain)と言われている。国民一人あたりの温室効果ガス排出量が米国・カナダとともに世界最高であるうえ、最近も継続して増加しているためだ。環境専門家の会合クライメート・アクション・トラッカー(CAT)は2016年、サウジ・オーストラリア・ニュージーランドとともに韓国を気候悪党だとした。このため、ある環境専門家は「韓国が脱石炭宣言を守らなければ気候悪党を越えて『気候詐欺師』と言われることになるだろう」と懸念した。
任期が半年も残っていない文大統領が20~30年後の脱石炭を約束をしたことに対して論争も激しい。一部では国際社会から好評を受けようとして責任の負えない約束を乱発していると指摘されている。このため「文大統領が環境問題でいい顔ばかりしている」という批判も出ている。
とにかく韓国が信頼を失えば深刻な後遺症に苦しめられる恐れがある。実際、欧州連合(EU)が今後炭素国境税を賦課して韓国に不利益を与える可能性もある。炭素国境税はいい加減な温室効果ガス規制で炭素排出が多い国の輸出品に賦課する一種の関税だ。EUは領域内企業の場合、炭素排出量を削減するために大きな費用を負担する反面、これを疎かにする国には費用を減らすことができて価格競争で有利だと主張する。このような立場から見ると、韓国が脱石炭宣言をしっかり守らなければ報復次元で高率の炭素国境税を浴びる可能性が少なくない。
【コラム】韓国「グリーンウォッシング」論争…「気候詐欺師」になる憂慮も(2)
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