大田のある農協を訪れた農民がいくらも残っていない尿素肥料を購入している。農家に肥料を供給するこの農協は組合員に限り1人当たり肥料販売数量を1袋に制限している。フリーランサー キム・ソンテ
9日の政府と産業界などによると、政府合同取締班は民間輸入業者が保有していた尿素3000トンを見つけた。韓国政府はこのうち700トンを尿素水へすぐ転換することにした。これで2100トンほどの尿素水を生産できる。
尿素水に入る尿素含有量は31.8~33.2%で、単純計算すれば尿素1トンから尿素水3トンを作ることができる。このうち車両用の2000トンも生産工程に投じて尿素水に転換する計画だ。約6000トンの追加供給が可能となる格好だ。韓国政府は来週ベトナムから車両用尿素200トンを輸入する。ここにオーストラリアから調達することにした尿素水2万7000リットルは計画通りなら11日に到着する。国会韓国中南米議会外交フォーラム代表団が年末までの供給を約束された1200トンの尿素水もある。国防部もこの日、国防部が保有する尿素水予備分210トンを民間に供給できると明らかにした。
韓国政府がこれまでに確保した尿素をすべて尿素水に転換し、ここにオーストラリアやメキシコから調達する尿素水と国防部の予備分をすべて合わせると概ね8037トンを確保したとの計算ができる。業界で推定する韓国のディーゼル自動車の1日平均使用尿素水が約900トンという点を考慮すれば8~9日分の使用量だ。
だが追加確保が至急だという指摘が出る。中国の尿素輸出再開や輸入先多角化のような根本的な対策は設けられていないためだ。大規模な量が確保されない場合、産業界全般だけでなく日常への影響が現実化する可能性が大きい。
「尿素水大乱」が続く場合、物流・交通に続き火力発電所にまで広がる可能性も大きくなっている。この日野党「国民の力」の韓茂景(ハン・ムギョン)議員が発電会社5社から得た資料によると、発電5社のうち3社で尿素水在庫が1カ月分しか残っていなかった。蔚山(ウルサン)・東海(トンヘ)火力発電所を運営する東西発電は4日基準で335トンの尿素水を備蓄している。東西発電が火力発電のために昨年使った尿素水は5611トンだ。月平均使用量は478トンに達した。これを基準とすれば尿素水335トンは22日で消費する量だ。
火力発電は窒素酸化物排出量を減らすのに尿素水やアンモニア水を使用する。窒素酸化物排出基準を超過すれば改善命令、課徴金賦課、操業停止の順で行政処分が下される。発電所の稼動に尿素水が必須という意味だ。排出量基準を合わせられなければ暖房のための電力が必要な冬季に一部発電所の稼動中断にまで続きかねない。
三千浦(サムチョンポ)・嶺東(ヨンドン)火力発電所を管理する韓国南東発電は1月から10月までに4865トンの尿素水を使用した。三千浦火力発電所と嶺東火力発電所が保有する尿素水は4日基準で258トンだ。10月までの使用量が続くと考えると約16日で尿素水の在庫が底をつく。
南東発電関係者は「尿素水が不足すれば窒素酸化物排出量が許可基準を超えるほかなく、発電停止に至る恐れがある」と説明した。
産業通商資源部関係者は「火力発電所のうち尿素水を使用するのは全体の10%を少し超える。他の火力発電所は尿素水がなくても稼動でき、冬季の電力使用量を考慮して管理している」と明らかにした。
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