２０２１年ノーベル経済学賞はカリフォルニア州立大学（バークレー）のデヴィッド・カード教授（６５）、マサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）のヨシュア・アングリスト教授（６１）、スタンフォード大学のグイド・インベンス教授（５８）の３氏が受賞した。経済学の因果関係の実証分析研究のパラダイムを変えた学者たちだ。彼らは質問中心だった因果関係の実証分析を「自然実験」を通じて結論を導き出し、事例中心分析を可能にした。

スウェーデン王立科学アカデミー・ノーベル委員会は１１日（現地時間）、カード氏とアングリスト氏・インベンス氏がそれぞれ半分ずつノーベル経済学賞を受賞したと明らかにした。

ノーベル委員会は「今年の経済学受賞者は社会の多くの大きな質問に対する答えを無作為の実験や自然実験などを通して示してくれた」とし「労働市場に対する新たな洞察力を提供し、自然実験を通じて因果関係に対する結論をどのように引き出すことができるのかを示してくれた」と選定理由を明らかにした。


カード氏は「労働経済学に対する経験的貢献」が高く評価された。カード氏は自然実験を通じて最低賃金、移民、教育が労働市場に及ぼす影響について研究をした。カード氏はプリンストン大学の故アラン・クルーガー教授とともに１９９２年ニュージャージーとペンシルベニアの飲食店で最低賃金が労働市場に及ぼす研究について実験した。その結果、ニュージャージーの飲食店の最低賃金が１時間あたり４．２５ドルから５．０５ドルに上昇したにもかかわらず雇用には特別な影響を及ぼしていないことを証明した。一時この研究は、脈絡と経済状況に対する十分な考慮が行われないまま、韓国において最低賃金の急激な引き上げを主要内容とする所得主導成長論の理論的根拠に使用されたことがある。

アングリスト氏とインベンス氏は「因果関係分析に対する方法論的寄与」が認められて受賞につながった。ノーベル委員会は「１９９０年代から原因と結果に対する正確な結論を自然実験から導き出すことができる方法を証明した」とし「自然実験のデータは解釈しにくいが、彼らの研究のおかげで因果関係に対する洞察能力が向上した」と明らかにした。

アングリスト氏が書いた『Ｍａｓｔｅｒｉｎｇ　＇Ｍｅｔｒｉｃｓ　ｔｈｅ　Ｐａｔｈ　ｆｒｏｍ　Ｃａｕｓｅ　ｔｏ　Ｅｆｆｅｃｔ』を韓国語に翻訳した中央（チュンアン）大学経済学科のカン・チャンヒ教授は「アングリストの寄与は自然実験の状況は分析しにくいという既存のパラダイムを変えた」と説明した。

カン教授は「アングリストを通じて、自然実験を通した実証分析をするようになってやり方がシンプルになり、多くの人々が研究できるようになった」とし「実証分析への進入障壁を変え、シンプルな経済学科計量経済学が可能になるよう扉を開いた」と評価した。