ポン監督は「アジアにファンクラブを作るなら、私と濱口さんが会長を巡って死闘を繰り広げる」という監督に日本の巨匠黒沢清を挙げた。濱口監督は大学院の恩師である黒沢監督の昨年のヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞作『スパイの妻』の脚本を手掛けた。ポン監督は黒沢監督の『CURE』(1997)が『殺人の追憶』の犯人キャラクターに影響を与えたと話した。「シナリオを書く時に会いたいが会うことができなかった連続殺人犯を『CURE』の殺人魔を見て解消した。あきれるほど異常なセリフ、人を狂わせるそれらのことは忘れることはできない」としながらだ。濱口監督は「『殺人の追憶』は大傑作で『CURE』は20世紀日本映画の最高作品の一つ」として2作品の接点に興奮を隠せない様子だった。
ポン監督は「もしこの席にホン・サンス監督がいたら本人も影響されたとよく話しているフランスのヌーベルバーグ巨匠エリック・ロメールについて話していたかもしれない」とし「今日、『偶然と想像』にロメール感があった。ホン監督のことが脳裏をよぎった」と話した。「ロメールはまねしたい監督」という濱口監督は「ロメールはシナリオそのものが一種の演技者に対する演出になる。彼が使う言葉は説明するためのセリフではなく、話者の人物を表わしている」としながら「ホン監督も『正しい日 間違えた日』をロカルノ映画祭で観て『真の現代の巨匠だ』と思った」と話した。
ポン監督は濱口監督が前作『ハッピーアワー』などで非職業俳優の「素人っぽさ」を熟練俳優との繊細なアンサンブルによって描いたノウハウについても尋ねた。濱口監督が「非職業俳優の演技の習慣がないのがいい。職業俳優もそこから刺激を受けて内面から引き出せる部分が現れてくる」とし、ポン監督にキャスティング基準について質問するとポン監督は「そのまま演技を上手にやってくれる人が最高」と答えて笑った。「私が想像したニュアンスを俳優たちが正確にやってくれるように願う気持ちがある一方で、同時にまた予想できないことで私を驚かせてほしいという矛盾した欲があります。クリント・イーストウッド監督と会う機会がありましたが、引き止めて聞くことができなかったものの、大俳優が監督になった場合はいわゆる話す演技指導になりはしないかと思います。私のような場合は演技のお願い、演技の泣訴、…演じてほしいと喚き散らしますが」(ポン・ジュノ)
客席からはポン監督自身が考える弱点を尋ねる質問も出てきた。「私は毎瞬間不安なので、どこにどのように逃げるか、さまざまな回避的な考えをする過程で、それを観客が良い、おもしろい、変だ、特異だ、独創的だ、などなど豊かに解釈してくれることにただ感謝ばかり」と話したポン監督は「それが弱点でもあり、自分自身を特に信頼していないのでかえって武器になったりもする。映画を作っていると、この映画が私の手を離れたり、私の思考や体、頭よりもはるかに大きくなってしまったと感じたりする時があり、その地点に達するとかえって不安がなくなる」と答えた。
日本の次世代巨匠に会ったポン・ジュノ監督「ソン・ガンホがよろしくと言っていた」(1)
ポン監督は「もしこの席にホン・サンス監督がいたら本人も影響されたとよく話しているフランスのヌーベルバーグ巨匠エリック・ロメールについて話していたかもしれない」とし「今日、『偶然と想像』にロメール感があった。ホン監督のことが脳裏をよぎった」と話した。「ロメールはまねしたい監督」という濱口監督は「ロメールはシナリオそのものが一種の演技者に対する演出になる。彼が使う言葉は説明するためのセリフではなく、話者の人物を表わしている」としながら「ホン監督も『正しい日 間違えた日』をロカルノ映画祭で観て『真の現代の巨匠だ』と思った」と話した。
ポン監督は濱口監督が前作『ハッピーアワー』などで非職業俳優の「素人っぽさ」を熟練俳優との繊細なアンサンブルによって描いたノウハウについても尋ねた。濱口監督が「非職業俳優の演技の習慣がないのがいい。職業俳優もそこから刺激を受けて内面から引き出せる部分が現れてくる」とし、ポン監督にキャスティング基準について質問するとポン監督は「そのまま演技を上手にやってくれる人が最高」と答えて笑った。「私が想像したニュアンスを俳優たちが正確にやってくれるように願う気持ちがある一方で、同時にまた予想できないことで私を驚かせてほしいという矛盾した欲があります。クリント・イーストウッド監督と会う機会がありましたが、引き止めて聞くことができなかったものの、大俳優が監督になった場合はいわゆる話す演技指導になりはしないかと思います。私のような場合は演技のお願い、演技の泣訴、…演じてほしいと喚き散らしますが」(ポン・ジュノ)
客席からはポン監督自身が考える弱点を尋ねる質問も出てきた。「私は毎瞬間不安なので、どこにどのように逃げるか、さまざまな回避的な考えをする過程で、それを観客が良い、おもしろい、変だ、特異だ、独創的だ、などなど豊かに解釈してくれることにただ感謝ばかり」と話したポン監督は「それが弱点でもあり、自分自身を特に信頼していないのでかえって武器になったりもする。映画を作っていると、この映画が私の手を離れたり、私の思考や体、頭よりもはるかに大きくなってしまったと感じたりする時があり、その地点に達するとかえって不安がなくなる」と答えた。
日本の次世代巨匠に会ったポン・ジュノ監督「ソン・ガンホがよろしくと言っていた」(1)
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