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「イカゲームの緑色のジャージ、個性が抹殺された現代社会の個人を象徴」(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

映画『ボイス』では企業化されたボイスフィッシング組織の実体が作業服を着た大規模な職員の分業過程を通じてあらわになる。[写真 CJENM]

『イカゲーム』は鬼ごっこ「ムクゲの花が咲きました(「だるまさんが転んだ」に類似の遊び)やおはじきなど子どものころの遊びをサバイバルゲームに組み込んだ作品だ。子どものころの思い出を活かすコンセプトに合わせて、ファン監督は小学校の時に着ていた運動服の色、緑色を“召還”した。イルクンのジャンプスーツは当初はボーイスカウトの服装を構想していたが、衣装監督と資料写真を調べているうちに工場で仕事をする作業者の写真からインスピレーションを受けてこれに決めたという。

仮面の下に隠れて無慈悲な殺人を日常的に行うイルクンの衣装はそのような行為と相反する「ホットピンク」をあえて選んだ。「やさしくて滑稽で、あどけない子どもらしさが感じられる色である上、緑色との対比も印象的だった」という。「運動会に参加した子どもたちとテーマパークのスタッフの対比だと考えてくれればいい」としながらだ。ゲームを総指揮するフロントマンの仮面と衣装は『スターウォーズ』の悪党、ダース・ベイダーのオマージュ。「若干の人格を付与する仮面でありながら、その後ろにジュノとの事情もあり似合うと思った」。

『ボイス』ではユニフォームがボイスフィッシング組織の「胴体」であることを一瞬で分かるような装置として使われた。キム・ゴク、キム・ソン監督は公開前の懇談会で「ボイスフィッシングは依然としてその実体が掴みきれておらず、刑事から聞いた制限された情報を基に想像で実現した」とした。劇中のコールセンターが一日数百億ウォンがやり取りされる犯罪空間ということで、外部と断絶し統制された空間という設定だ。


チェ・ウィヨン衣装監督は「劇中、犯罪空間が廃屋となったショッピングセンターという設定の下、ショッピングセンターの作業服の概念から発想をふくらませた」としながら「統一された服装と規模感が与える恐怖を念頭に置いて衣装をデザインした」と話した。ユニフォームの赤い色感は「お金というものに頭がおかしくなった彼らの熱望・熱気を体現した」という。コールセンターが焦土化した場面ではこのような強烈な色感の人物群集が散り散りになりその混乱した有様が強調される効果も出した。

登場人物のユニフォームが目を引いた事例としては、世界的な興行に成功したNetflixスペインのオリジナルドラマ『ペーパー・ハウス』が代表的だ。この犯罪ドラマの中で人質犯の主人公の赤のジャンプスーツとサルバドール・ダリの仮面は昨年ハロウィーン衣装で人気を呼んだ。チェ・ウィヨン衣装監督は「規制と統制に対抗した混乱を与える装置として統一されたユニフォームの扮装がたびたび使われているようだ」と解釈した。映画ジャーナリストのキム・ヒョンソク氏は「作品を見ている人々もその服を着れば彼らの一員になりそうな気にさせられる」とし、ユニフォームの「同一視効果」が与える没入感を指摘した。


「イカゲームの緑色のジャージ、個性が抹殺された現代社会の個人を象徴」(1)

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