5月、アウディ・フォルクスワーゲン・コリアが、気候変動の深刻さと炭素低減の必要性を知らせるために開催した展示会「ゴー・トゥー・ゼロ」に電気自動車バッテリーのリサイクル工程を表現したモデルが展示されている。[中央フォト]
起亜がSKイノベーションと廃バッテリーのリサイクルプロジェクトを最初に適用するEV6[写真 起亜]
9日、業界によると、廃バッテリーのリサイクル技術開発に最も積極的なのは、米国のレッドウッド・マテリアルズ(以下、レッドウッド)だ。すでにグローバル電気自動車1位のテスラと協力し、ニッケル・リチウム・コバルトのような原材料を回収している。7億ドル(約769億円)以上の投資を既に受けている。レッドウッドの投資家リストには、アマゾンや、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏などが名を連ねている。JBストラウベル最高経営責任者(CEO)は「確保した資金で米国内の地位を強化し、北米や欧州などに新規施設を建設する」と述べた。ストラウベルCEOはテスラの創業メンバーでもある。テスラの最高技術責任者(CTO)を務め、2017年にレッドウッドを創業し、2019年にテスラから出てレッドウッド事業に専念している。
テスラも廃バッテリーのリサイクルに積極的だ。テスラは先月公開した年間戦略レポート「2020テスラ・インパクト・レポート」で「自己リサイクル技術で廃バッテリーの素材の92%を回収することができるようになった」と公表した。テスラは昨年末、ネバダ州のギガファクトリーに自社のバッテリーセルリサイクル設備の第1段階設置を完了した。電気自動車専門メディアのエレクトリックは「テスラが最大の原材料生産企業になることができる」と評した。
フォルクスワーゲンもバッテリーの原材料回収率を現在の60%から95%に増やす研究を進めている。今年初め、ドイツのバッテリーリサイクル関連試験工場の稼動を開始した。ヘルベルト・ディースCEOは6日(現地時間)、ドイツ・ミュンヘンIAAモビリティ2021でバッテリーパックを家庭用電力センターや急速充電器など新たな用途でリサイクルすることを発表した。
韓国では、現代自動車グループがSKイノベーション(以下、SKイノ)と手を取り合い、電気自動車バッテリーのリサイクル研究を進めている。両社は、起亜(キア)のEV6にバッテリーのリサイクル技術を最初に適用する。起亜とSKイノは既に1年間の実証作業を経ている。起亜は、廃バッテリーをセル単位に分解し、SKイノがリチウム・ニッケル・コバルトなどの陽極材用金属資源を回収し、電気自動車のバッテリーにリサイクルする方法だ。SKイノのキム・チョルジュン戦略本部長は「廃バッテリーのリサイクルを通じて、温室効果ガスの発生や国土の環境的負担も軽減することができる」と述べた。SKイノは、廃バッテリーのリチウムを高純度の水酸化リチウムの形で回収する技術を開発し、54件の特許を出願した。同社は、2025年には年間30GWh(キロワット時、アイオニック5ロングレンジ約41万台分)のバッテリーをリサイクルし、約3000億ウォンの利益を得ることを期待している。
LGエネルギーソリューションも2018年からオーストラリアの廃バッテリー処理業者インバイロストリームと新たなバッテリーを生産する循環事業を進めている。今年5月、LGとゼネラル・モーターズ(GM)が合同で設立したアルティウム・セルズ(Ultium Cells)が、カナダのリチウムイオンバッテリーのリサイクル業者リ・サイクル(Li-Cycle)とバッテリーのリサイクル契約を結んだ。サムスンSDIは、廃バッテリーのリサイクル専門企業のソンイルハイテクなど国内企業と協業中だ。
韓国産業研究院によると、電気自動車のバッテリーが占めるコストは30~40%程度だ。そのうち、国内のバッテリー製造業者の主力製品であるリチウムイオン系の場合、リチウム・ニッケル・コバルトなどの原材料価格がバッテリーの価格の約60%を占めている。
問題は、原材料価格の高騰だ。韓国鉱物資源公社によると、8日現在、昨年の平均価格に比べてリチウムの価格は243%、ニッケルは43%、コバルトは60%近く上昇した。産業研究院のチョ・チョル博士は「自動車やバッテリー製造業者の立場から、中長期的にリサイクル技術を活用した原材料の確保が重要になるだろう」と述べた。また、「廃バッテリー活用事業が活性化すれば、バッテリーの製造コストを下げ、結果的に電気自動車の価格を下げることができる」と付け加えた。
ブルームバーグ通信は24KWh級のバッテリーパックをリサイクルすれば、1個あたり約900ドルの売上を上げることができると分析した。アイオニック5ロングレンジモデル(72.6KWh)の廃バッテリー1つで約315万ウォンの利益になるわけだ。市場調査会社SNEリサーチは昨年4000億ウォン水準だった世界の電気自動車のバッテリーのリサイクル市場が2030年には12兆ウォン、2040年には87兆ウォンに達するものと予想した。
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