現代（ヒュンダイ）車グループがロボットを利用した危険物質点検と物流の自動化事業を加速する。６月に買収したロボットメーカーのボストン・ダイナミクスのロボット技術を活用する。ボストン・ダイナミクスは１０日、ロボット犬、ヒューマノイド、倉庫の自動化のための車輪ロボットなどを公開した。

ボストン・ダイナミクスのロバート・プレイター最高経営責任者（ＣＥＯ）はこの日、オンラインメディア懇談会を開き、「現代車グループが追求するモビリティの未来は、ボストン・ダイナミクスの目標と完全に一致する」とし「現代車の製造・供給分野の専門性は、ボストン・ダイナミクスの事業拡大と成長にとって大きな助けになる」と述べた。

また、プレイターＣＥＯはボストン・ダイナミクスが開発した３つのロボットプラットフォーム「スポット」「ストレッチ」「アトラス」を公開した。ＣＥＯは「現代車グループと協力し、技術面で今後の製品ロードマップを策定し、どんな新たな能力と機能は未来のロボットプラットフォームで最大の価値を創出するか、模索する計画だ」と述べた。


スポットは、ロボット犬だ。自動車などの生産設備の点検と警戒保安用に活用することができる。２０２０年夏に発売され、ボストン・ダイナミクスの初の商用ロボットになった。自らデータを収集して分析することができ、移動性に優れ、化学工場・原子力施設など人のアクセスが困難な危険区域を点検するために活用できる。ボストン・ダイナミクスのアーロン・サンダース最高技術責任者（ＣＴＯ）は「数百台のスポットが世界の作業現場に投入され、任務を遂行している」とし、スポットの動きとデータ処理能力は、競争モデルよりも精巧だ」と述べた。

ストレッチは倉庫の自動化のために設計されたロボットだ。サンダースＣＴＯは「毎年５０００億個の箱が人の手によって移動しているが、トラックから荷物を下す作業は、倉庫業務の中で最も頻繁に負傷が発生する作業」とし「ストレッチがトラックの貨物下車を完全に習得すれば、パレットの構成、注文に合わせた貨物分類のような倉庫作業に適用する計画」と述べた。

ボストン・ダイナミクスは、来年下半期のストレッチ商用化を目標としている。プレイターＣＥＯは「最新ロボットのストレッチは倉庫の自動化のために特別に製作され、最初の作業はトラックやコンテナの箱を下すこと」とし「毎年５０００億個以上の箱が手動で移動しており、絶え間ない繰り返しと過重負荷により倉庫業務の中で最も頻繁に負傷が発生する作業で、ストレッチがその問題を解決することができる」と述べた。

二足歩行するロボット「アトラス」も登場した。２８個の油圧関節を備えた高１．５メートル、重さ８９キログラムの人の形に似た製品だ。リアルタイムで周辺状況の認識と解釈が可能で、これに基づいて自ら動作を調整する。歩くのはもちろん、走ったりジャンプしたり、複雑な体操の動作も可能だ。サンダースＣＴＯは「アトラスは、世界で最も躍動的なヒューマノイドロボット」とし「これを研究プラットフォームとしてヒューマノイドのハードウェア、ソフトウエア技術の限界を越えるために努力する」と述べた。しかし、当面は商用化の計画はないと述べた。

一方、プレイターＣＥＯは最近、テスラがヒューマノイドロボットの開発計画を発表したことについて、「新たな企業がロボット市場に参入する理由は、この市場がかなり大きな潜在価値を持っていることを証明している」とし「非常に励みになる」と述べた。また、「弊社は、数十年の間、うまくバランスを取って精巧に操作し、高い移動度を持つロボットを開発してきた」とし「このような経験と現代車の心強いサポートが加わり、今後の成長はより早まるだろう」と強調した。テスラのイーロン・マスクＣＥＯは先月「テスラＡＩデー」に、独自に開発した「テスラボット」を公開した。

この日、ボストン・ダイナミクスのロボット紹介について、現代車グループは、「ロボットの歩行技術は、すなわち自律走行技術である上、製造や物流の現場を効率化するためにも必要」とし「今後、人命救助・案内サービスに必要なヒューマノイドロボット事業も拡大する」と説明した。鄭義宣（チョン・ウィソン）会長は２０１９年に役員との会話で、「未来事業の５０％は自動車、３０％は都心航空モビリティ（ＵＡＭ）、２０％はロボット工学が担う」と述べている。