北朝鮮の党創建75周年閲兵式で公開された新型ICBM「火星16」
北朝鮮の国内向けメディアの朝鮮中央テレビは先月31日、軍講習会参加者のための国務委員会演奏団公演に関する報道で、「火星15型」と推定されるICBMがTELから発射されるような場面を報道した。
NKニュースのコリン・ズウォーク氏は2日、ツイッターにこの映像を載せた後、「固定台が下ろされてすぐに発射される」とし「2017年11月(火星15型)試験発射当時とは異なる」と指摘した。続いて「(実際の発射場面というよりは)北朝鮮が危機状況でどのように(ミサイルを)発射したいかを見せる場面」というカーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ上級研究員の意見も紹介した。
北朝鮮は2017年11月23日の「火星15型」試験発射当時、TELを利用してミサイルを運んだが、運搬後にはミサイルを車両から分離して別の台の上から発射したと、軍当局は把握している。
北朝鮮がミサイル技術を改良してTEL発射能力を保有した可能性もあるが、この日に公開された映像は実際の試験発射を撮影したというより、従来の映像を再編集した可能性が高いとみられる。韓日米軍事当局が2017年11月以降、北朝鮮の長距離ミサイル試験発射の兆候を確認していないからだ。
北朝鮮大学院大のキム・ドンヨプ教授は「合成ではなく、火星15型発射当時の実際の場面を選別的に編集した映像である可能性が高い」とし「公演中に少しだけ挿入された映像であるだけに、軍の士気を高めるための内部用とみられる」と説明した。
映像の真偽とは関係なく、ICBM関連の映像がこの時点に公開された背景にも関心が集まる。北朝鮮は27日の南北通信線復元後、1日に金与正(キム・ヨジョン)副部長名義の談話で韓米連合訓練の中断を公開的に要求した。微妙な時点にICBM関連映像が北朝鮮メディアに登場したことをめぐり、北朝鮮の要求が貫徹されない場合は武力示威をする可能性があるという分析も出ている。
北朝鮮がTELからICBMを発射する技術を保有したかどうかをめぐっては、韓国国内でも議論があった。実際、2019年に北朝鮮のTEL技術をめぐり青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)、国防部、国家情報院の説明は微妙に違った。
合同参謀本部は「(北の)ICBMは現在TELで発射が可能なレベルにまで高度化されている」(2019年10月、当時のキム・ヨンファン合同参謀本部情報本部長の国会国防委での発言)とし、青瓦台は「ICBMはTELでの発射は難しい」(2019年11月、当時の鄭義溶国家安保室長)と説明した。
続いて国家情報院までが国会情報委員会に「北は発射台を置いた後にICBMを発射するが、これも結局は移動式」と報告したという伝言(2019年11月、当時の李恩宰自由韓国党議員兼情報委員会幹事)があり、混乱が深まった。
青瓦台は当時、別の報道参考資料を出し、「青瓦台と国防部、国家情報院は北のTELでのICBM発射可否について同じ立場を持っている。北はICBMをTELから直接発射するには技術的に完全でないと判断している」という結論を出したが、一部では北朝鮮の軍事脅威を縮小しているという指摘もあった。
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