北朝鮮が通信線復元に対する露骨な「合同訓練請求書」を韓国と米国に同時に取り出した。「韓米合同訓練は短くて3カ月、長くて1年ほど準備期間が必要であるため、今の状況での延期は事実上中止を意味する」〔パク・ウォンゴン梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科教授〕という見解が優勢な中で8月の合同訓練を延期した場合、韓国・米国・北朝鮮がそれぞれ得るものと失うものは何かを比べてみた。
◆韓国、南北関係進展機会vs同盟リスク
韓国の損失は比較的はっきりしている。合同訓練を延期する場合、任期末に北朝鮮と対話を再開することができる雰囲気を醸し出すことが可能だ。
特に、秋になれば各党の選挙戦が行われ、すでに国内政治的には大統領選挙モードに入る。韓国政府の立場では大統領選挙が迫るほど南北首脳会談など大型イベントを企てるには負担であるうえ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府当時、大統領選挙を約2カ月ほど残して実現した2007年10・4首脳会談のように後続措置につながらない中途半端な会談に終わる懸念もある。南北関係進展を推進させるなら今がベストタイミングということだ。
だが、このためにジョー・バイデン政府を説得する過程で同盟間に亀裂が入る危険性がある。5月21日、韓米首脳が会談後に出した共同声明には「われわれは同盟の抑制態勢強化を約束して、合同軍事準備態勢維持の重要性を共有する」とする部分が盛り込まれたが、合同訓練は合同軍事準備態勢維持の核心であるためだ。
何よりも合同訓練を延期した場合、北朝鮮がこれにどれほど呼応するのか予想しにくい。金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委副部長は1日の談話で「数日間、私は南朝鮮軍(韓国軍)と米軍の合同軍事演習が予定通りに強行される可能性があるという気分の悪い話を聞き続けている」とした。合同訓練の延期を「対話の条件」に掲げたのではなく、「当然やってはならないこと」として捉えているといえる。
峨山(アサン)政策研究院の車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)首席研究委員は「ひとまず韓国の立場としては対話が一時的に開かれる効果はあり、一歩踏み込んで米朝対話再開にはずみをつける環境も整えることができる」とし「だが、今回指揮所演習ができなければ実機動演習はさらに実施が難しくなるが、韓米間に、特に在韓米軍実務次元では不信が増幅される恐れがある」と指摘した。
◆米国、「やるだけやった」名分vs防衛力ダメージを放置
米国の場合、合同訓練を延期する場合、「すべての対北政策は同盟である韓国の意見を重視する」というバイデン政府の同盟尊重基調を忠実に履行するところを見せることができる。
また、北朝鮮が対話に呼応できる柔軟な条件を用意すると同時に「やるだけやった」という名分を得ることもできる。バイデン政府はすでに北朝鮮に条件のつけない対話を数回提案した。加えて今回合同訓練まで延期したのに北朝鮮が応じない場合、制裁と圧迫中心の対北政策の運用にさらに傍点をつける名分が大きくなるといえる。
それでも米国にとって、合同訓練の延期カードは得よりはも失のほうが大きく見えるのは事実だ。まず「対話用インセンティブはない」という従来の立場を自ら破ることになる。交渉開始前からすでに北朝鮮に主導権を奪われる恐れがある。
特に合同訓練を北朝鮮との対話と連係させたのはドナルド・トランプ政府からだ。2018年6月12日シンガポール米朝首脳会談後に当時のトランプ大統領は合同訓練を「挑発的な戦争の練習」として非難し、その後訓練は引き続き縮小して実施された。
バイデン政府も北朝鮮との対話のために合同訓練を連係させるなら、トランプ政府の基調を受け継いで損なわれた合同準備態勢をそのまま放置する姿勢のように相手の目に映りかねない。
元外交部韓半島(朝鮮半島)平和交渉本部長の金ホン均(キム・ホンギュン)氏は「北朝鮮問題をこれ以上悪化させないように管理しようとする次元でアプローチするバイデン政府としては『対話の機会が巡ってきたのに蹴ってしまうのか』という側面ではやや困った立場かもしれない」と診断した。引き続き「だが、もともと合同訓練は例年的防御的訓練であり、北朝鮮に対する誘引策も、処罰手段にもなり得ない」とし「初めからこれを連係させたトランプ政府が誤りだが、バイデン政府もこれを断ち切ることができず、韓米がインセンティブを提供して北朝鮮を動かすようにするトランプ式公式に再び戻ることになるなら大きな負担にならざるを得ない」と話した。
金与正の「合同訓練延期」請求書…文・バイデン・金の「得失」比較すると(2)
◆韓国、南北関係進展機会vs同盟リスク
韓国の損失は比較的はっきりしている。合同訓練を延期する場合、任期末に北朝鮮と対話を再開することができる雰囲気を醸し出すことが可能だ。
特に、秋になれば各党の選挙戦が行われ、すでに国内政治的には大統領選挙モードに入る。韓国政府の立場では大統領選挙が迫るほど南北首脳会談など大型イベントを企てるには負担であるうえ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府当時、大統領選挙を約2カ月ほど残して実現した2007年10・4首脳会談のように後続措置につながらない中途半端な会談に終わる懸念もある。南北関係進展を推進させるなら今がベストタイミングということだ。
だが、このためにジョー・バイデン政府を説得する過程で同盟間に亀裂が入る危険性がある。5月21日、韓米首脳が会談後に出した共同声明には「われわれは同盟の抑制態勢強化を約束して、合同軍事準備態勢維持の重要性を共有する」とする部分が盛り込まれたが、合同訓練は合同軍事準備態勢維持の核心であるためだ。
何よりも合同訓練を延期した場合、北朝鮮がこれにどれほど呼応するのか予想しにくい。金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委副部長は1日の談話で「数日間、私は南朝鮮軍(韓国軍)と米軍の合同軍事演習が予定通りに強行される可能性があるという気分の悪い話を聞き続けている」とした。合同訓練の延期を「対話の条件」に掲げたのではなく、「当然やってはならないこと」として捉えているといえる。
峨山(アサン)政策研究院の車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)首席研究委員は「ひとまず韓国の立場としては対話が一時的に開かれる効果はあり、一歩踏み込んで米朝対話再開にはずみをつける環境も整えることができる」とし「だが、今回指揮所演習ができなければ実機動演習はさらに実施が難しくなるが、韓米間に、特に在韓米軍実務次元では不信が増幅される恐れがある」と指摘した。
◆米国、「やるだけやった」名分vs防衛力ダメージを放置
米国の場合、合同訓練を延期する場合、「すべての対北政策は同盟である韓国の意見を重視する」というバイデン政府の同盟尊重基調を忠実に履行するところを見せることができる。
また、北朝鮮が対話に呼応できる柔軟な条件を用意すると同時に「やるだけやった」という名分を得ることもできる。バイデン政府はすでに北朝鮮に条件のつけない対話を数回提案した。加えて今回合同訓練まで延期したのに北朝鮮が応じない場合、制裁と圧迫中心の対北政策の運用にさらに傍点をつける名分が大きくなるといえる。
それでも米国にとって、合同訓練の延期カードは得よりはも失のほうが大きく見えるのは事実だ。まず「対話用インセンティブはない」という従来の立場を自ら破ることになる。交渉開始前からすでに北朝鮮に主導権を奪われる恐れがある。
特に合同訓練を北朝鮮との対話と連係させたのはドナルド・トランプ政府からだ。2018年6月12日シンガポール米朝首脳会談後に当時のトランプ大統領は合同訓練を「挑発的な戦争の練習」として非難し、その後訓練は引き続き縮小して実施された。
バイデン政府も北朝鮮との対話のために合同訓練を連係させるなら、トランプ政府の基調を受け継いで損なわれた合同準備態勢をそのまま放置する姿勢のように相手の目に映りかねない。
元外交部韓半島(朝鮮半島)平和交渉本部長の金ホン均(キム・ホンギュン)氏は「北朝鮮問題をこれ以上悪化させないように管理しようとする次元でアプローチするバイデン政府としては『対話の機会が巡ってきたのに蹴ってしまうのか』という側面ではやや困った立場かもしれない」と診断した。引き続き「だが、もともと合同訓練は例年的防御的訓練であり、北朝鮮に対する誘引策も、処罰手段にもなり得ない」とし「初めからこれを連係させたトランプ政府が誤りだが、バイデン政府もこれを断ち切ることができず、韓米がインセンティブを提供して北朝鮮を動かすようにするトランプ式公式に再び戻ることになるなら大きな負担にならざるを得ない」と話した。
金与正の「合同訓練延期」請求書…文・バイデン・金の「得失」比較すると(2)
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