(2)互いに譲歩を望む韓日
このように相対的に友好的な雰囲気で議論が進められたが、韓日両国は輸出規制措置を撤回しようという最終合意には至っていなかった。その背景には韓日関係が悪化して相互不信感が累積したうえ、文大統領の日本訪問をめぐる両国の感情争いのためという分析が出ている。
具体的に韓国は日本の輸出規制撤回を、日本は韓国政府の対抗カードだった世界貿易機関(WTO)提訴撤回および韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の完全な復元を要求した。互いにカードを合わせる過程のどの段階で議論がこじれたのかは確実でないが、外交関係者の間では誰が先に動くのかをめぐる駆け引きがあった可能性を提起する。輸出規制の撤回が先か、WTO提訴取り消しが先かの順序で異見があったということだ。
原則的には韓国のWTO提訴の原因となった日本の輸出規制が先に撤回されるのが筋だ。しかし日本は韓国との交渉で劣勢になるような姿で国内世論が悪化することを憂慮し、韓国が先に譲歩することを要求し、対立局面が解消されなかった可能性がある。
一部では輸出規制の1件だけを分離して解決しようとする韓国の接近法とは違い、日本は依然として強制徴用など過去の問題とこれを結びつけようとして結局、合意に至らなかったという見方も出ている。双方共に日本の輸出規制を解消する環境が見えたということには共感が形成されたが、これまで深まってきた葛藤のため不信感が強く「ディテール」を議論する過程で大きな障害になったとみられる。
(3)「ハイリスク・ローリターン」避けた文大統領
結局、韓日首脳会談を通じた「顕著な成果」を望んだ青瓦台の立場では、文大統領と菅首相が会って「輸出規制を撤回する」という合意文を読むことができない状況なら訪日できないという結論に至ったとみられる。
そうでなくても青瓦台内部では文大統領の訪日について「ハイリスク・ローリターン」という見方が多かったということだ。韓日の対立局面が韓国国内の反日情緒につながった状況で大統領が日本を訪問するのは世論の悪化につながる可能性が高い半面、訪日で韓国政府が得られる実益は明確でないとの理由からだ。
議論の終盤に出てきた相馬弘尚・駐韓国総括公使の不適切な発言も文大統領の訪日見送りに影響を及ぼした。これに関連して一部の青瓦台参謀陣は「事態を悪化させた日本で責任のある措置や訪日誘引策を提供しない状況で我々が訪日にこだわるような姿を演出すべきでない」という意見を提示したという。
19日午前まで最終決断を出さなかった文大統領は、訪日をめぐる世論悪化と不透明な首脳会談の成果などを総合的に熟考した末、この日午後に訪日を見送ることを決めた。
「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(1)
このように相対的に友好的な雰囲気で議論が進められたが、韓日両国は輸出規制措置を撤回しようという最終合意には至っていなかった。その背景には韓日関係が悪化して相互不信感が累積したうえ、文大統領の日本訪問をめぐる両国の感情争いのためという分析が出ている。
具体的に韓国は日本の輸出規制撤回を、日本は韓国政府の対抗カードだった世界貿易機関(WTO)提訴撤回および韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の完全な復元を要求した。互いにカードを合わせる過程のどの段階で議論がこじれたのかは確実でないが、外交関係者の間では誰が先に動くのかをめぐる駆け引きがあった可能性を提起する。輸出規制の撤回が先か、WTO提訴取り消しが先かの順序で異見があったということだ。
原則的には韓国のWTO提訴の原因となった日本の輸出規制が先に撤回されるのが筋だ。しかし日本は韓国との交渉で劣勢になるような姿で国内世論が悪化することを憂慮し、韓国が先に譲歩することを要求し、対立局面が解消されなかった可能性がある。
一部では輸出規制の1件だけを分離して解決しようとする韓国の接近法とは違い、日本は依然として強制徴用など過去の問題とこれを結びつけようとして結局、合意に至らなかったという見方も出ている。双方共に日本の輸出規制を解消する環境が見えたということには共感が形成されたが、これまで深まってきた葛藤のため不信感が強く「ディテール」を議論する過程で大きな障害になったとみられる。
(3)「ハイリスク・ローリターン」避けた文大統領
結局、韓日首脳会談を通じた「顕著な成果」を望んだ青瓦台の立場では、文大統領と菅首相が会って「輸出規制を撤回する」という合意文を読むことができない状況なら訪日できないという結論に至ったとみられる。
そうでなくても青瓦台内部では文大統領の訪日について「ハイリスク・ローリターン」という見方が多かったということだ。韓日の対立局面が韓国国内の反日情緒につながった状況で大統領が日本を訪問するのは世論の悪化につながる可能性が高い半面、訪日で韓国政府が得られる実益は明確でないとの理由からだ。
議論の終盤に出てきた相馬弘尚・駐韓国総括公使の不適切な発言も文大統領の訪日見送りに影響を及ぼした。これに関連して一部の青瓦台参謀陣は「事態を悪化させた日本で責任のある措置や訪日誘引策を提供しない状況で我々が訪日にこだわるような姿を演出すべきでない」という意見を提示したという。
19日午前まで最終決断を出さなかった文大統領は、訪日をめぐる世論悪化と不透明な首脳会談の成果などを総合的に熟考した末、この日午後に訪日を見送ることを決めた。
「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(1)
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