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「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

日本の輸出規制撤回のための韓日実務協議に障害物となったのは結局、両国間の葛藤と信頼不足だった。写真は2019年8月に開かれた日本輸出規制措置関連の政府・与党・青瓦台状況点検会議。

連日の悪材料で対立局面が長期化する状況でも議論は少しずつ進展した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の日本訪問が見送られるまでの過程のことだ。韓日両国は、文大統領が訪日して菅義偉首相と首脳会談を開催する案について、1カ月間ほどマラソン協議を行った。結果的に文大統領の訪日は実現しなかったが、両国が首脳会談の議題とする懸案を点検・調整しながら深みのある実務協議が行われたのは不幸中の幸いだったというのが、政府の内部的な評価だ。

首脳会談が開催される場合、韓日は▼慰安婦・強制徴用被害など過去の問題▼日本政府の福島汚染水放流▼日本の輸出規制措置--を3大懸案に設定して議論する予定だった。複数の消息筋によると、特にこのうち輸出規制問題については韓日間の隔たりがかなり解消され、規制自体が撤廃される可能性まで議論が進展したという。

韓日協議の過程に詳しい情報筋は「輸出規制措置の場合、その始まりだった2019年の状況から最近の状況まで総体的かつ具体的に議論され、確実な進展といえるほどの成果もあった」と説明した。しかし十分ではなかったため、文大統領の訪日は結局、見送られた。その過程をたどってみよう。


(1)論理が先行した解除の名分

日本経済産業省は2019年7月1日、高純度フッ化水素(エッチングガス)、フッ化ポリイミド、フォトレジストの3品目に関する輸出規制措置を発表した。従来これらの品目に3年単位で「包括許可」措置を更新し、輸出審査の免除を受けてきたが、韓国に輸出するたびに個別許可を受けるよう規制を大幅に強化した。特に輸出規制対象だった3つの品目は半導体とディスプレーの生産に必要な核心素材であり、サムスン電子、SKハイニックス、LGディスプレイなど韓国企業の立場では青天の霹靂だった。

日本は1カ月後の2019年8月には韓国をホワイトリスト(輸出審査優待国措置)国から除外し、露骨な「韓国叩き」に入った。日本が2度の輸出規制を断行して前に出した対外的な名分は「輸出管理などの理由」と「安全保障上の懸念」だった。韓国が日本から輸入した戦略物資をまともに管理していないため北朝鮮などに入る可能性があるということだった。

しかしこれは表面的な理由にすぎず、その裏には2018年10月の強制徴用被害者が提起した損害賠償訴訟で韓国大法院(最高裁)が原告勝訴判決を出したことに対する不満があった。過去の問題による政治的な対立を日本が輸出規制報復で経済的対立に置き換えたということだ。

しかし明確でなかった日本の名分は、韓国企業が輸出規制対象3品目に対して着実に個別許可実績を増やしたことで、その基盤がさらに弱まった。個別許可承認実績が増えるにつれ、日本から韓国に渡った戦略物資の管理・運用の安定性が公式的統計で確認されたからだ。もう一つの原因に挙げた「安全保障上の懸念」もバイデン米政権の主導で韓日米3カ国安全保障協力が強化される状況では主張しにくくなった。

このように日本が輸出規制措置を断行しながら前に出した2つの名分はこの2年間にかなり弱まり、韓国政府はこうした論理を前に出して日本側と実務協議に入った。日本も以前よりも葛藤が深まった過去の問題、国際原子力機関(IAEA)など国際社会にボールが渡った福島汚染水問題とは違い、輸出規制問題については比較的開かれた心で議論に臨んだという。

外交筋は「事実上、輸出規制措置を撤回するための一種の『ロードマップ』を構成し、これに対する具体的な協議を進めるほど双方の隔たりは狭まった」と伝えた。


「輸出規制撤廃」最後の峠を越えられず…文大統領の訪日見送りの背景(2)

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