慶北大学病院陰圧集中治療室での重症患者診療。[写真 大邱広域市]
最初のボタンである「検査(Test)」から問題だ。防疫当局が弘大(ホンデ)居酒屋・クラブに続き、現代百貨店貿易センター店など首都圏の集団感染発生地訪問者に新型コロナ検査を勧め、選別検査所に毎日のように人々が寄り集まっている。2~3時間程度の列が作られるかと思えば、検査者が急激に増え、検体採取用キット(綿棒)が品切れになったりもした。このため、7日、ソウル江南区(カンナムグ)保健所選別診療所では検査が一時中断された。
検査の遅延より大きな問題は、保健所と地方自治体人材の体力が枯渇しているという点だ。猛暑の中で保護服を着たまま一日中検査にまい進している医療スタッフだけでなく、彼らを補助する行政人材が脱力直前だ。ソウルのある保健所の行政職員Aさんは「1年以上骨身を削って働いてきたが、先が見えなくてさらに絶望的だ」と話した。「追跡(Trace)」も同じだ。感染者発生の時、疫学調査官と補助要員が感染者の移動経路を追跡して密接接触者を選び出し早期に隔離しなければならない。だが、若年層を中心にした散発的な感染が増え、疫学調査に過負荷がかかった。ソウル市の場合、新規感染者の半分程度の感染経路が分からない。
そもそも疫学調査人材自体が足りないのが問題だ。連日1000人以上の感染者が発生しているが、全国の疫学調査官は400人余りだ。感染病予防法にしたがって人口10万人以上の市・郡・区は1人以上の疫学調査官を雇用する必要がある。国民の力のイ・ジョンソン議員がこの日公開した資料によると、人口10万人以上156市・郡・区の中で疫学調査官がいない市・郡・区は27カ所(20%)に達する。
感染力が強いデルタ株の確認に時間が長くかかる点も防疫を難しくする要因だ。アルファ・ベータ・ガンマ変異株の場合、PCR(遺伝子)検査で一度に変異の有無を確認できるが、デルタはまだだ。そうするうちに検査からデルタ株の確認まで少なくとも3~4日がかかる。チョン・ウンギョン疾病管理庁長はこの日、記者会見で「デルタ株の場合には私たちが市中に販売されている試薬に対して評価したところ、正確度が80%で低く使い難い」として「圏域センター(5科所)や疾病庁で変異ウイルスを分析している」と話した。
「治療(Treat)」も問題とされる。当局は一日新規感染者2000人発生に備えて重症感染者の隔離病床を準備していると説明する。首都圏の重症患者の専用病床は311個が残っている。新規感染者が急増したことに比べ、重症患者は増えずまだ余裕がある。
だが、20~30代感染者が新規の半分程度を占め、無症状・軽症患者を隔離する生活治療センターが飽和状態になっている。7日午後8時を基準に空席がソウル640病床、京畿374病床、仁川178病床などだ。当局は第3次大流行が収まり、運営停止となっていた生活治療センターを再開するなど対応に乗り出しているが、感染者がこの傾向で増えれば2~3日内に軽症感染者は自宅治療が余儀なくされる状況になりかねない。
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