米バイデン政権の対外政策が可視化し、世界の安保環境で地殻変動が起きている。3月に発表した国家安全保障戦略暫定指針でバイデン政権は国家安全保障ビジョンと政策のガイドラインとして同盟と多国間安全保障重視を提示し、脅威の対象として中国を明示した。
3月16日の韓米と日米の外相+国防相会談(2+2)をはじめ、4月16日の日米首脳会談、5月21日の韓米首脳会談、6月11日のG7首脳会議、14日にはNATO首脳会談が相次いで行われた。いまや米中戦略的競争の深化は避けられない時代的流れになっている。
◇「台湾問題」最も尖鋭な対立に注目
「中国の完全な統一は歴史的必然であり、台湾独立は行き止まりであり戦争を意味する」。6月24日に中国国防部の任国強報道官が定例会見で台湾接近を本格化している米国にした警告だ。
米国はすでに昨年3月に「台湾法」を制定して最新型F-16戦闘機80億ドル相当など先端兵器を提供しており、6日には米上院議員3人が軍輸送機で台湾を訪問し地対艦ハープーンミサイルを大挙輸出することにした。
これと関連し中国は、台湾問題は完全に中国内政であり、米国と台湾の間のいかなる形式の公式往来と軍事的連係に対しても決して座視しないとしている。
台湾国防部は先月15日に合計28機の中国軍用機が台湾の防空識別区域(ADIZ)に侵入したと明らかにしたが、これは台湾国防部が昨年から中国軍用機の接近状況を一般に公開し始めて最大規模だ。
香港の中国両岸アカデミーの発表によると、現在の台湾海峡の武力衝突危険指数は1950年代初めの蒋介石率いる国民党勢力が台湾に敗走した時の危険指数より高いという。中国の習近平主席は武力による台湾統一論を否定しないと公言する。
◇中国海警法施行と尖閣諸島領土紛争
一方、米中の戦略的競争が激しくなり領土紛争の様相が南シナ海と尖閣諸島で軍事的緊張の高まりとして表出されている。すでに中国の海軍力増強と積極的海洋進出は東アジアの安全保障に多大な影響を及ぼしている。
このようなタイミングで中国は2月から一方的に海警法施行を宣言した。中国が自国領土だと主張する海域を侵犯した外国船舶に対し武器使用を含むあらゆる措置の権限を付与している。一面では当然の措置に見えるかも知れない。
しかし中国の管轄海域に対する関係国との合意が成立していない状況で外国漁船などに対する中国海警の武器使用許容は、力による一方的現状変更を意味することになる。すなわち紛争海域での中国の海警法施行は次のようなグレーゾーン戦略の手段と解釈され多くの問題を引き起こす。
まず、一方的現状変更の既定事実化だ。
中国は海警法を利用して紛争海域や島しょで中国の国内法が適用されていることを主張する。該当地域に対する中国の主権を既定事実化する戦略だ。すでに尖閣諸島だけでなく、フィリピンとベトナムとの島しょ紛争があったが、これを中国の海警法を通じ一方的な合法化を主張していくだろう。
このため中国は2018年に海警を武警の隷下に再編して海軍作戦部隊としての役割を付与し、最近では海警法を通じて海警の組織体系と法的な面で武装力としての法的根拠を設けた。このような観点から見るなら以前と今後の領土紛争は性格が異なり、これを土台に領土主権の既定事実化に向けたより攻勢的な行動が増加するだろう。
2番目に、海警を政治的に利用したり、他の分野で譲歩を勝ち取るため戦略的に活用する可能性が懸念される。
特に域内国が米国の対中戦略に協力するのを防止または制裁するために海警を通じて危機を作る可能性が高い。最近バイデン政権がクアッドを中心に対中牽制を具体化し、中国は参加国に対する制裁を警告している。今後は海警を通じて軍事的圧迫を試みる可能性が注目される。
中国が南シナ海で中国の圧迫を排除するために東シナ海の尖閣諸島をめぐる紛争を持続しているという分析もある。すでに中国海警は事実上海軍の地位と能力を持っている。必要な時にはいつでも紛争解決において武力行使の口実にできる。
現在日中の尖閣諸島紛争が外交的対話と交渉より軍事的対立が深刻化していることが懸念されている。実際に中国海警船の接続水域航行は2019年に282日、2020年に333日と最多記録を更新しており、今年に入りすでに130日以上続いている。
海警船の規模も2012年には1000トン以上が40隻にすぎなかったが、2020年には131隻で大型化が進展し、2015年からは機関銃が搭載されている。米国はこうした中国の軍事的影響力拡大の動きを域内覇権競争と判断している。今後バイデン政権の対中政策の試金石になるという見通しも提起される。
4月16日の日米首脳会談の共同声明は「尖閣諸島施政権毀損」と「東シナ海での一方的な現状変更」「南シナ海での不法な海上活動」に反対することを明示したのに続き、「台湾海峡の平和と安定」と「両岸問題の平和的解決」を明記した。
特に台湾が明示されたのは、最近の中国の武力による台湾統一の脅威が1995年の第3次台湾海峡危機とは異なる様相を見せており、海警法は米国の介入の余地を与えないグレーゾーン戦略の直接的な手段になっているためだ。これと関連し最近尖閣諸島をめぐる海警局船舶の動線の裏に中国海軍の戦闘対備態勢が関連しているという分析もある。
【コラム】台湾めぐり争う米中対決の火の粉、韓半島に飛ぶ(2)
3月16日の韓米と日米の外相+国防相会談(2+2)をはじめ、4月16日の日米首脳会談、5月21日の韓米首脳会談、6月11日のG7首脳会議、14日にはNATO首脳会談が相次いで行われた。いまや米中戦略的競争の深化は避けられない時代的流れになっている。
◇「台湾問題」最も尖鋭な対立に注目
「中国の完全な統一は歴史的必然であり、台湾独立は行き止まりであり戦争を意味する」。6月24日に中国国防部の任国強報道官が定例会見で台湾接近を本格化している米国にした警告だ。
米国はすでに昨年3月に「台湾法」を制定して最新型F-16戦闘機80億ドル相当など先端兵器を提供しており、6日には米上院議員3人が軍輸送機で台湾を訪問し地対艦ハープーンミサイルを大挙輸出することにした。
これと関連し中国は、台湾問題は完全に中国内政であり、米国と台湾の間のいかなる形式の公式往来と軍事的連係に対しても決して座視しないとしている。
台湾国防部は先月15日に合計28機の中国軍用機が台湾の防空識別区域(ADIZ)に侵入したと明らかにしたが、これは台湾国防部が昨年から中国軍用機の接近状況を一般に公開し始めて最大規模だ。
香港の中国両岸アカデミーの発表によると、現在の台湾海峡の武力衝突危険指数は1950年代初めの蒋介石率いる国民党勢力が台湾に敗走した時の危険指数より高いという。中国の習近平主席は武力による台湾統一論を否定しないと公言する。
◇中国海警法施行と尖閣諸島領土紛争
一方、米中の戦略的競争が激しくなり領土紛争の様相が南シナ海と尖閣諸島で軍事的緊張の高まりとして表出されている。すでに中国の海軍力増強と積極的海洋進出は東アジアの安全保障に多大な影響を及ぼしている。
このようなタイミングで中国は2月から一方的に海警法施行を宣言した。中国が自国領土だと主張する海域を侵犯した外国船舶に対し武器使用を含むあらゆる措置の権限を付与している。一面では当然の措置に見えるかも知れない。
しかし中国の管轄海域に対する関係国との合意が成立していない状況で外国漁船などに対する中国海警の武器使用許容は、力による一方的現状変更を意味することになる。すなわち紛争海域での中国の海警法施行は次のようなグレーゾーン戦略の手段と解釈され多くの問題を引き起こす。
まず、一方的現状変更の既定事実化だ。
中国は海警法を利用して紛争海域や島しょで中国の国内法が適用されていることを主張する。該当地域に対する中国の主権を既定事実化する戦略だ。すでに尖閣諸島だけでなく、フィリピンとベトナムとの島しょ紛争があったが、これを中国の海警法を通じ一方的な合法化を主張していくだろう。
このため中国は2018年に海警を武警の隷下に再編して海軍作戦部隊としての役割を付与し、最近では海警法を通じて海警の組織体系と法的な面で武装力としての法的根拠を設けた。このような観点から見るなら以前と今後の領土紛争は性格が異なり、これを土台に領土主権の既定事実化に向けたより攻勢的な行動が増加するだろう。
2番目に、海警を政治的に利用したり、他の分野で譲歩を勝ち取るため戦略的に活用する可能性が懸念される。
特に域内国が米国の対中戦略に協力するのを防止または制裁するために海警を通じて危機を作る可能性が高い。最近バイデン政権がクアッドを中心に対中牽制を具体化し、中国は参加国に対する制裁を警告している。今後は海警を通じて軍事的圧迫を試みる可能性が注目される。
中国が南シナ海で中国の圧迫を排除するために東シナ海の尖閣諸島をめぐる紛争を持続しているという分析もある。すでに中国海警は事実上海軍の地位と能力を持っている。必要な時にはいつでも紛争解決において武力行使の口実にできる。
現在日中の尖閣諸島紛争が外交的対話と交渉より軍事的対立が深刻化していることが懸念されている。実際に中国海警船の接続水域航行は2019年に282日、2020年に333日と最多記録を更新しており、今年に入りすでに130日以上続いている。
海警船の規模も2012年には1000トン以上が40隻にすぎなかったが、2020年には131隻で大型化が進展し、2015年からは機関銃が搭載されている。米国はこうした中国の軍事的影響力拡大の動きを域内覇権競争と判断している。今後バイデン政権の対中政策の試金石になるという見通しも提起される。
4月16日の日米首脳会談の共同声明は「尖閣諸島施政権毀損」と「東シナ海での一方的な現状変更」「南シナ海での不法な海上活動」に反対することを明示したのに続き、「台湾海峡の平和と安定」と「両岸問題の平和的解決」を明記した。
特に台湾が明示されたのは、最近の中国の武力による台湾統一の脅威が1995年の第3次台湾海峡危機とは異なる様相を見せており、海警法は米国の介入の余地を与えないグレーゾーン戦略の直接的な手段になっているためだ。これと関連し最近尖閣諸島をめぐる海警局船舶の動線の裏に中国海軍の戦闘対備態勢が関連しているという分析もある。
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