先月9日、日本公営放送NHKは朝の番組で化粧品会社DHCの吉田嘉明会長(80)の人種差別発言について報道した。放送される直前、DHCのホームページには会長名義のこうした文章が掲載されていた。「NHKは幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系で、日本の朝鮮化の『元凶』だ」。
吉田会長の主張は荒唐無稽だ。「出演者についても学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系」とし「日本の中枢を担っている人たちの大半がコリアン系で占められているのは、日本国にとって非常に危険だ」と主張した。SNSなどでこうした発言に対する批判が続いたが、会社側はこれについていかなる謝罪もしていない。
日本で2016年6月に「ヘイトスピーチ解消法」(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が発効してから5年を迎えた。しかし日本国内のヘイトスピーチは表現方式が変わっただけで減っていないという指摘が続いている。特にその間、新しく表面化したのがDHCなど企業のヘイトスピーチ問題だ。企業のトップが企業のホームページや営業所を通じて嫌悪発言をする場合、これを処罰する規定がないという点も、従来の法の問題として挙げられている。
参議院議員会館では26日、関連法施行5周年を迎え、これまでの成果と今後の課題を点検する席が用意された。出席者の師岡康子弁護士は「ヘイトスピーチ解消法を通じて、2012年から15年まで年間約100件にのぼった嫌韓集会が10分の1に減るなどの効果があった」と明らかにした。関連市民団体の集計によると、2014年に120件まで増えた嫌韓集会は法案が発効した2016年には42件、2019年には21件、昨年は9件と大幅に減少した。
「ヘイトスピーチ解消法」とは「本邦外出身者」に対する差別発言を対象とするが、実際には在特会など極右団体による在日韓国人への無差別攻撃を防ぐために作られた。処罰規定がない「理念法」だが「ヘイトスピーチは違法」という点を明白にすることで変化をもたらしたという評価だ。いくつかの自治体がこの法に基づいて嫌韓集会の許可を拒否した。2019年末には神奈川県川崎市がヘイトスピーチを繰り返す個人・団体に対して最大50万円の罰金を科すことができる条例を制定した。自治体の条例に実際に処罰規定を入れたのは川崎市が初めてだった。
この法に基づき特定集団や個人の公開的なヘイトスピーチは減少したが、ネット上で匿名による差別発言はむしろ増えているという指摘もある。特に数年前までは表れなかった「企業のヘイトスピーチ」が社会問題に浮上した。法の制定にもかかわらず、企業が堂々と嫌韓メッセージを発信するほど日本社会内の反韓感情が強まっていると解釈される
代表的な嫌韓企業DHCの吉田会長は2016年からホームページなどに「在日(韓国人・朝鮮人)は祖国へ帰ればよい」などの嫌韓発言を載せている。昨年11月には突然、ライバル企業のサントリーを「CMに起用されているタレントはほぼ全員がコリアン系」「チョントリーと揶揄されている」と非難した。「チョントリー」とは韓国系に対する差別表現「チョン」にサントリーの「トリー」を合成した言葉だ。
2019年の売上高が1104億円の上場企業フジ住宅も社員教育として「韓国はねつ造する国」「在日は死ね」などの内容が入った文書を職員に数年間配布してきたことが明らかになった。同社で勤務していた在日韓国人職員が2016年、会社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こすと、「恩をあだで返す」と誹謗した。
5年間の法廷争いの末、地裁は昨年、人格権侵害などでフジ住宅と同社の今井光郎会長に慰謝料100万円の支払いを命じる判決を下した。今井会長は右翼史観を反映させた「新しい歴史教科書」採択運動に率先した代表的な右翼経営者だ。東京だけで60余りホテルを運営するアパグループの元谷外志雄社長(78)も自身の極右書籍をホテルに置いて販売し、論議を呼んだ。
全国的な事業を展開する企業によるヘイトスピーチの場合、社会的な波及力は大きいが、地方条例に基づく処罰などはないのが現実だ。嫌韓問題を集中的に取材してきたジャーナリストの安田浩一氏は「会社側は社主の意見にすぎないとして一線を画そうとするが、会社ホームページを通じてすればそれは明白な企業の問題」とし「こうした会社の存続を許してもよいのか議論する必要がある」と述べた。地方自治体でなく中央政府レベルで個人・団体・企業などの差別行為を包括的に禁止・処罰する新しい法を作るべきという主張だ。
企業の問題であるだけに消費者が積極的に動くべきという意見もある。DHCの場合、現在日本国内の21の自治体と災害発生時に栄養剤・化粧品を供給する協定を締結しているが、このうち5カ所がDHCの差別発言を批判し、協定中断の意思を伝えたという。「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の有田芳生参院議員(立憲民主党)は「自治体が嫌悪発言企業と提携するかどうかが今後の有権者の評価対象になるだろう」と述べた。
吉田会長の主張は荒唐無稽だ。「出演者についても学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系」とし「日本の中枢を担っている人たちの大半がコリアン系で占められているのは、日本国にとって非常に危険だ」と主張した。SNSなどでこうした発言に対する批判が続いたが、会社側はこれについていかなる謝罪もしていない。
日本で2016年6月に「ヘイトスピーチ解消法」(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が発効してから5年を迎えた。しかし日本国内のヘイトスピーチは表現方式が変わっただけで減っていないという指摘が続いている。特にその間、新しく表面化したのがDHCなど企業のヘイトスピーチ問題だ。企業のトップが企業のホームページや営業所を通じて嫌悪発言をする場合、これを処罰する規定がないという点も、従来の法の問題として挙げられている。
参議院議員会館では26日、関連法施行5周年を迎え、これまでの成果と今後の課題を点検する席が用意された。出席者の師岡康子弁護士は「ヘイトスピーチ解消法を通じて、2012年から15年まで年間約100件にのぼった嫌韓集会が10分の1に減るなどの効果があった」と明らかにした。関連市民団体の集計によると、2014年に120件まで増えた嫌韓集会は法案が発効した2016年には42件、2019年には21件、昨年は9件と大幅に減少した。
「ヘイトスピーチ解消法」とは「本邦外出身者」に対する差別発言を対象とするが、実際には在特会など極右団体による在日韓国人への無差別攻撃を防ぐために作られた。処罰規定がない「理念法」だが「ヘイトスピーチは違法」という点を明白にすることで変化をもたらしたという評価だ。いくつかの自治体がこの法に基づいて嫌韓集会の許可を拒否した。2019年末には神奈川県川崎市がヘイトスピーチを繰り返す個人・団体に対して最大50万円の罰金を科すことができる条例を制定した。自治体の条例に実際に処罰規定を入れたのは川崎市が初めてだった。
この法に基づき特定集団や個人の公開的なヘイトスピーチは減少したが、ネット上で匿名による差別発言はむしろ増えているという指摘もある。特に数年前までは表れなかった「企業のヘイトスピーチ」が社会問題に浮上した。法の制定にもかかわらず、企業が堂々と嫌韓メッセージを発信するほど日本社会内の反韓感情が強まっていると解釈される
代表的な嫌韓企業DHCの吉田会長は2016年からホームページなどに「在日(韓国人・朝鮮人)は祖国へ帰ればよい」などの嫌韓発言を載せている。昨年11月には突然、ライバル企業のサントリーを「CMに起用されているタレントはほぼ全員がコリアン系」「チョントリーと揶揄されている」と非難した。「チョントリー」とは韓国系に対する差別表現「チョン」にサントリーの「トリー」を合成した言葉だ。
2019年の売上高が1104億円の上場企業フジ住宅も社員教育として「韓国はねつ造する国」「在日は死ね」などの内容が入った文書を職員に数年間配布してきたことが明らかになった。同社で勤務していた在日韓国人職員が2016年、会社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こすと、「恩をあだで返す」と誹謗した。
5年間の法廷争いの末、地裁は昨年、人格権侵害などでフジ住宅と同社の今井光郎会長に慰謝料100万円の支払いを命じる判決を下した。今井会長は右翼史観を反映させた「新しい歴史教科書」採択運動に率先した代表的な右翼経営者だ。東京だけで60余りホテルを運営するアパグループの元谷外志雄社長(78)も自身の極右書籍をホテルに置いて販売し、論議を呼んだ。
全国的な事業を展開する企業によるヘイトスピーチの場合、社会的な波及力は大きいが、地方条例に基づく処罰などはないのが現実だ。嫌韓問題を集中的に取材してきたジャーナリストの安田浩一氏は「会社側は社主の意見にすぎないとして一線を画そうとするが、会社ホームページを通じてすればそれは明白な企業の問題」とし「こうした会社の存続を許してもよいのか議論する必要がある」と述べた。地方自治体でなく中央政府レベルで個人・団体・企業などの差別行為を包括的に禁止・処罰する新しい法を作るべきという主張だ。
企業の問題であるだけに消費者が積極的に動くべきという意見もある。DHCの場合、現在日本国内の21の自治体と災害発生時に栄養剤・化粧品を供給する協定を締結しているが、このうち5カ所がDHCの差別発言を批判し、協定中断の意思を伝えたという。「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の有田芳生参院議員(立憲民主党)は「自治体が嫌悪発言企業と提携するかどうかが今後の有権者の評価対象になるだろう」と述べた。
この記事を読んで…