先月2日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は、中国の王毅外交部長との会談のために、中国福建省厦門に行った。厦門は、台湾に近距離で向かい合う沿岸都市で鄭長官の就任後初の出張だった。「北京会談は防疫状況上難しく、厦門は韓国と直行便があった」というのが、当時の政府当局者の説明だった。台湾をめぐり、米中の激しい神経戦が繰り広げられる中、米国を刺激しかねない行動だという懸念が出ていた。
一方、それからわずか1カ月余り経った21日(現地時間)、韓米首脳会談の共同声明には台湾海峡と南シナ海問題を記載し、台湾問題に関して米国の方に歩み寄る姿勢を示した。韓国政府は過去にも「両岸関係の発展を支持する」という原則的立場は何度も示したが、「台湾」に関するメッセージを出したことはほとんどない。これより前に、2014年に朴槿恵(パク・クネ)政府当時、韓中首脳会談の共同声明に「台湾は中国の領土という中国の立場に十分な理解と尊重を示す」とし、中国政府の「1つの中国」の原則を再確認した程度がすべてだ。
韓米首脳会談の「台湾海峡」をめぐり余震が続いている。米国が会談終盤まで共同声明に必ず入れるように主張したのに対し、中国は共同声明について「火遊び」で「内政干渉」だと敏感に反応している。このような台湾海峡問題に文在寅(ムン・ジェイン)政府が踏み込んだだけに、今後どっちつかずの態度を見せた場合、外交的惨事につながりかねないという提言が出ている。
◆「1つの中国」の爆発力、台湾海峡
台湾海峡は、中国大陸と台湾の間にある長さ400キロメートル、幅150~200キロメートル程度の海域だ。中国と台湾の関係を意味する「両岸関係」(Cross-Strait)も台湾海峡を間に置いて双方が向かい合っているという意味だ。海峡の中間線は、中国と台湾を分ける事実上の軍事境界線だ。
しかし、中国は、これにこだわらず軍艦と軍用機を随時出している。台湾が自国の領土だから台湾海峡も当然自国の近海という論理だ。「脱中国」と「台湾独立」を掲げる蔡英文台湾総統は先月15日、バイデン大統領の代表団に会い、「中国が台湾周辺の海と上空で地域の平和と安定を脅かしている」と吐露した。台湾も中国の軍事行動に戦闘機などを出して対抗している。
米国はどちらの国であれ、この海域を独占してはならず、誰もが自由に航行することができなければならないと主張している。これにより、自国の艦艇を台湾海峡に送り、海域を通過する「航行の自由」作戦を展開し、昨年だけで12度、バイデン政権が発足したことしに入ってからも、5回行われた。トランプ政権時代から月1回の割合で増えたことになる。
◆「中国の台湾の侵攻説」も続く
外交界ではバイデン政権になってワシントン内で中国の台湾侵攻の可能性が比重を置いて検討されているという話が出ている。中国の台湾侵攻説は最近始まったことではないが、米シンクタンクなどで、実際に米国が中国の侵攻から台湾を守りきることができるか検討する「ウォーゲーム」なども持続的に行われている。ことし3月、米インド太平洋司令官の聴聞会でも、中国が予想よりも早く台湾を侵攻する能力を備え、6年以内に実際に行動に出る可能性が提起された。
米国が日本とは52年ぶりに、韓国とは史上初めて首脳会談共同声明に台湾を必ず明記しようと主張したのもこれと無関係ではない。同じ脈絡で、米国が主導するクアッド(Quad)が、今は軍事的性格を隠しているが、事実上、台湾海峡をめぐる潜在的米中衝突に備える目的もあるという分析が出ている。
実際、米国では1979年に中国修交に基づいて台湾と断交する前に、「台湾関係法」を作り、有事の際に議会が参戦を勧誘し、軍事的介入の可能性を置いた。
ただし、台湾海峡をめぐる緊張が米中ともに国内の政治的目的に応じたジェスチャーで終わるという見方もある。また、台湾が世界最大の半導体ファウンドリー(受託生産)メーカーのTSMCを保有しているだけに、どちらも容易に台湾を刺激することができないという分析だ。エコノミストは1日付の記事で、「TSMCは米中の双方にとって必要不可欠な存在」とし、中国が台湾に侵攻した場合、世界の半導体市場に及ぼす影響を指摘した。
専門家は、韓国が米中間の戦略的あいまいな態度を止めたのは鼓舞的だが、外交の原則が情勢に応じて朝令暮改のような印象を与えないのがカギだと指摘する。牙山(アサン)政策研究所のジェームズ・キム専任研究委員は、「米国が韓日に対する拡張抑止力提供を強化するなど同盟中心の安全保障協力に集中する中、韓国がここから離脱する動きを見せてはならない」とし「今回の韓米首脳会談の共同声明が長く具体的だったのは、それだけ米国としては韓国の次期政府などでも一貫性のある姿勢を見せることを望むと言うサイン」と分析した。
また、中国の鋭い感情をなだめるためのカードも必要だと助言する。亜洲(アジュ)大学米・中政策研究所のキム・フンギュ所長は「米国が主導する脱中国のフレームに参加することによる付随的結果は、現政府が想像するよりも大きくなる可能性がある」とし「韓国としては外交的一貫性を維持することが相当な挑戦になるだろう」と分析した。
一方、それからわずか1カ月余り経った21日(現地時間)、韓米首脳会談の共同声明には台湾海峡と南シナ海問題を記載し、台湾問題に関して米国の方に歩み寄る姿勢を示した。韓国政府は過去にも「両岸関係の発展を支持する」という原則的立場は何度も示したが、「台湾」に関するメッセージを出したことはほとんどない。これより前に、2014年に朴槿恵(パク・クネ)政府当時、韓中首脳会談の共同声明に「台湾は中国の領土という中国の立場に十分な理解と尊重を示す」とし、中国政府の「1つの中国」の原則を再確認した程度がすべてだ。
韓米首脳会談の「台湾海峡」をめぐり余震が続いている。米国が会談終盤まで共同声明に必ず入れるように主張したのに対し、中国は共同声明について「火遊び」で「内政干渉」だと敏感に反応している。このような台湾海峡問題に文在寅(ムン・ジェイン)政府が踏み込んだだけに、今後どっちつかずの態度を見せた場合、外交的惨事につながりかねないという提言が出ている。
◆「1つの中国」の爆発力、台湾海峡
台湾海峡は、中国大陸と台湾の間にある長さ400キロメートル、幅150~200キロメートル程度の海域だ。中国と台湾の関係を意味する「両岸関係」(Cross-Strait)も台湾海峡を間に置いて双方が向かい合っているという意味だ。海峡の中間線は、中国と台湾を分ける事実上の軍事境界線だ。
しかし、中国は、これにこだわらず軍艦と軍用機を随時出している。台湾が自国の領土だから台湾海峡も当然自国の近海という論理だ。「脱中国」と「台湾独立」を掲げる蔡英文台湾総統は先月15日、バイデン大統領の代表団に会い、「中国が台湾周辺の海と上空で地域の平和と安定を脅かしている」と吐露した。台湾も中国の軍事行動に戦闘機などを出して対抗している。
米国はどちらの国であれ、この海域を独占してはならず、誰もが自由に航行することができなければならないと主張している。これにより、自国の艦艇を台湾海峡に送り、海域を通過する「航行の自由」作戦を展開し、昨年だけで12度、バイデン政権が発足したことしに入ってからも、5回行われた。トランプ政権時代から月1回の割合で増えたことになる。
◆「中国の台湾の侵攻説」も続く
外交界ではバイデン政権になってワシントン内で中国の台湾侵攻の可能性が比重を置いて検討されているという話が出ている。中国の台湾侵攻説は最近始まったことではないが、米シンクタンクなどで、実際に米国が中国の侵攻から台湾を守りきることができるか検討する「ウォーゲーム」なども持続的に行われている。ことし3月、米インド太平洋司令官の聴聞会でも、中国が予想よりも早く台湾を侵攻する能力を備え、6年以内に実際に行動に出る可能性が提起された。
米国が日本とは52年ぶりに、韓国とは史上初めて首脳会談共同声明に台湾を必ず明記しようと主張したのもこれと無関係ではない。同じ脈絡で、米国が主導するクアッド(Quad)が、今は軍事的性格を隠しているが、事実上、台湾海峡をめぐる潜在的米中衝突に備える目的もあるという分析が出ている。
実際、米国では1979年に中国修交に基づいて台湾と断交する前に、「台湾関係法」を作り、有事の際に議会が参戦を勧誘し、軍事的介入の可能性を置いた。
ただし、台湾海峡をめぐる緊張が米中ともに国内の政治的目的に応じたジェスチャーで終わるという見方もある。また、台湾が世界最大の半導体ファウンドリー(受託生産)メーカーのTSMCを保有しているだけに、どちらも容易に台湾を刺激することができないという分析だ。エコノミストは1日付の記事で、「TSMCは米中の双方にとって必要不可欠な存在」とし、中国が台湾に侵攻した場合、世界の半導体市場に及ぼす影響を指摘した。
専門家は、韓国が米中間の戦略的あいまいな態度を止めたのは鼓舞的だが、外交の原則が情勢に応じて朝令暮改のような印象を与えないのがカギだと指摘する。牙山(アサン)政策研究所のジェームズ・キム専任研究委員は、「米国が韓日に対する拡張抑止力提供を強化するなど同盟中心の安全保障協力に集中する中、韓国がここから離脱する動きを見せてはならない」とし「今回の韓米首脳会談の共同声明が長く具体的だったのは、それだけ米国としては韓国の次期政府などでも一貫性のある姿勢を見せることを望むと言うサイン」と分析した。
また、中国の鋭い感情をなだめるためのカードも必要だと助言する。亜洲(アジュ)大学米・中政策研究所のキム・フンギュ所長は「米国が主導する脱中国のフレームに参加することによる付随的結果は、現政府が想像するよりも大きくなる可能性がある」とし「韓国としては外交的一貫性を維持することが相当な挑戦になるだろう」と分析した。
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