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毒杯となった東京五輪、選手に罪はない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

東京オリンピック

開幕(7月23日)まで2カ月も残っていない東京オリンピック(五輪)をめぐり世界で「なぜ開催を強行するのか」という声が出ている。開催国の日本でも開催に反対する声が多い。

朝日新聞は26日付の紙面で「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」と題した社説を掲載した。朝日新聞は東京五輪のスポンサーだ。同紙は「五輪が国民の生命と健康を脅かしかねない」と主張した。

スポニチアネックスは26日、インターネット版の記事で「日本政府はもっと国民の声に真摯に耳を傾けるべき」とし「国内世論の大半が中止または再延期を求めているにもかかわらず、IOCも政府も依然として聞く耳を持たない。コロナ下で五輪を開く意義も、『安心安全』の根拠も示せないまま、強引に開催に突き進む今の姿からは、もはや国民の理解を得ることは諦めたような傲慢さすら感じる」と伝えた。


日本の一日の新型コロナ新規感染者数は25日基準で3901人。日本政府は東京など10都道府県に緊急事態宣言を出していて、来月まででこれを延長する予定だ。日本のワクチン接種比率は3.9%で世界最低水準にある。ロイター通信は、ニュージーランド政府の公衆保健顧問マイケル・ベーカー氏(オタゴ大教授)が「いま五輪を開催すれば多くの人が命を失うだろう」と警告した、と伝えた。

世界的に新型コロナ、そしてその変異ウイルスが大流行している。人々が大規模に移動して集まる五輪の開催は致命的という指摘だ。さらに日本が新型コロナ防疫に事実上完全に失敗した姿を見せている。

米国政府は25日、日本に対して「渡航中止」勧告地域に指定した。しかし東京五輪には米国選手団を送ると伝えた。日刊ゲンダイDIGITALは「日本へは行くな。でも五輪は大丈夫。こんな理屈が通るのか」と指摘した。IOCのトーマス・バッハ会長は「五輪の夢のために我々は犠牲を払わなければいけない」と発言し、油を注いだ。

こうした状況で我々が注目すべき点は別にある。五輪を準備する選手たちだ。

東京五輪の代表に選ばれた選手は過去5年間、厳しい時間を過ごした。東京五輪は予定より1年延期され、新型コロナの大流行で世界は混沌としている。選手は海外合宿どころか普段の練習場所の体育館、鎮川(ジンチョン)選手村の使用までが制限される状況で、苦労して練習場所を探し、汗を流してきた。

アマチュア種目、よく「不人気種目」と呼ばれるスポーツをする選手は、4年に一度の五輪で最も大きなスポットライトを受ける。ほとんどのスポーツ選手は20代で全盛期を迎え、徐々にピークから下り坂をたどる。キャリアで五輪の舞台に立つ機会は少ない。

その貴重な時期に「五輪をするのか」「なぜ強行するのか」「日本で開催する五輪は潰れればいい」などという声を聞くのは選手にとって過酷だ。先月、鎮川選手村で開催された東京五輪D-100メディアデーでフェンシング代表のク・ボンギル選手はこう語った。

「周囲から五輪を必ずしなければいけないのかという声をよく聞く。選手ではない立場なのでそう言うのだろうが、私たちには人生がかかっている。スポーツ選手なら誰でも五輪の舞台を踏むことを望む」。

日本政府とIOCが容易に五輪中止を決定できないのは五輪にかかる費用があまりにも大きいからだ。IOCが巨額の資金を握ることになったのは五輪で若さと情熱を見せる偉大なスポーツ選手がいたからだ。

新型コロナで五輪がふらつく状況で最も大きな打撃を受けたのは、当惑した表情で戦々恐々とする菅義偉首相ではない。五輪を夢見てきた世界の若い選手たちだ。

24歳の「老将」体操スター、シモーネ・バイルス選手(米国)は「五輪が1年延期されたことで、さらに練習を積んで高難度の技を身につけることができた」とし、一部の男子選手しかできない超高難度の演技を成功させて話題になった。水泳の池江璃花子選手(日本)はこの1年間、白血病を乗り越えて代表選手のタイトルを獲得する人間勝利のドラマを見せた。

この1年間、最悪の状況の中でも世界の選手たちが奇跡のようなスポーツ精神を見せた半面、IOCと日本政府は信頼できる安全な大会基盤を準備するのに完全に失敗した。それでもお金の計算ばかりしている。

その結果、東京五輪はすでに開催国、参加国ともに祭典ではなく、悩み、ジレンマになった。この5年間、歯を食いしばって努力してきた選手にいったい何の罪があるのだろうか。



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