国家の生存と安全を保障する方法はいろいろある。自力による自主国防、2国間・多国間同盟、国連のような集団安全保障、似た安保環境・地域同士の多国間安保などだ。ほとんどの国がこれを重複して活用するが、同盟が最も好まれている。費用に対して保障性が高いからだ。強大国の勢力が重なる韓国では同盟がよい。自主国防で周辺国に対処すれば莫大な費用がかかる。集団安保、多国間安保は複数の国の利害関係が絡んで保障性が低い。それで同盟を通じて不足する自国の能力を補強し、脅威を減らしていくのが最善だ。
とはいえ、どの国とも同盟を組めるわけではない。同盟国を選択する場合、基本条件がある。追求する価値・理念が同じでなければいけない。自由民主主義と市場経済、公正と正義、人権など我々の憲法的価値に合ってこそ、持続・繁栄を保障することができる。共通の敵が必要だ。敵が変われば同盟の成立も難しいが、成立するとしても長くは続かない。国家利益の衝突・侵害の可能性が低い状況でなければいけない。頻繁な衝突は同盟でなく敵となる。
韓国は1953年7月23日に休戦を迎えた。李承晩(イ・スンマン)大統領は休戦に強く反対した。金日成(キム・イルソン)がいつかまた戦争を起こすと確信していたからだ。それで安全装置として韓米相互防衛条約を要求した。米国はこれ以上かかわることを望まなかったが、李大統領の粘り強い主張に譲歩し、1954年11月18日に相互防衛条約が発効、韓米同盟が誕生した。米国は韓国戦争(朝鮮戦争)当時、約180万人を派兵し、13万人以上の人命被害が発生した。それで血盟と呼ぶ。
◆韓国の繁栄を支えた韓米同盟
韓米同盟は大韓民国の近代史と共に歩んだ。70年前に地球上で最も貧しかった国が世界10大経済大国に成長し、民主化までも達成し、世界の模範国家になった。半導体・IT最強国となり、BTSをはじめとするK-POPとKドラマ、Kビューティー、韓国料理、韓国語学習など韓流ブームが地球村のあちこちで見られる。これは韓国人の優秀性が最も大きな理由だが、戦争再発のリスクから脱して平和が維持されたおかげでもある。韓半島(朝鮮半島)平和維持の防波堤が韓米同盟だった。
同盟はプラスの面ばかりではない。安全が保障される代わりに、同盟国の責任・役割のために自律性の制約が伴う。制約が嫌なら同盟を破棄すればよいが、その結果は自律性の制約よりはるかに過酷なものとなる。代表的な事例がフィリピンだ。共産主義反乱軍勢力は反米・自主を叫びながら米軍基地の弊害を浮き彫りにし、米軍の撤収を扇動した。92年に米軍駐留延長法案が否決されると、米軍は撤収し、同盟は破局を迎えた。その代償は厳しいものだった。
まず、米軍の撤収で生じた力の空白に中国が入ってきた。中国は自らの領海法で300万平方キロにのぼるフィリピンの海上を中国領海と宣言した。フィリピン海軍が自国の領海を侵犯した台湾の漁船に実弾射撃をし、漁民が死亡すると、中国が動いて軍事的圧力を加えた。フィリピンは屈辱的な謝罪をし、賠償責任まで負った。2つ目、米軍の撤収以降、フィリピン南部ミンダナオで共産反乱軍とムスリム反乱軍が分離独立を主張するなど内戦の混乱に陥った。今でも治安が不安定で海外旅行忌避地域だ。3つ目、米軍が撤収すると、フィリピン内の外国資本の60%が抜けて経済が破綻した。
1960年の韓国の1人あたりの国民所得は76ドル、フィリピンは250ドルだった。フィリピンはアジアで日本に次いで2番目の富国だった。2020年には韓国が3万2000ドル、フィリピンが3300ドルと逆転した。フィリピンの没落は独裁政権の無能・腐敗が主な要因だが、米軍の撤収が決定的だった。結局、2014年に米国と防衛条約をまた締結し、米軍の駐留を許容するなど再起に向けてもがいているが、容易ではないようだ。
韓米同盟も危機を迎えている。政治的ポピュリズムに揺れ、血盟という言葉が薄れるほど信頼が崩れた。特定勢力が自主・反米を叫び、米大使官邸の塀を越え、在韓米軍の撤収を扇動している。
◆戦作権は作戦効率性の問題
この勢力は韓米同盟を冷戦同盟だとして同盟破棄を煽る。54年の締結時点で見ると冷戦同盟であるのは事実だ。しかし90年代初めに冷戦が終息し、韓米同盟は新たに発展してきた。特に2013年に韓米同盟60周年を迎え、従来の軍事同盟から「21世紀包括的戦略同盟」に変わった。自由民主主義・市場経済を共有する価値同盟、信頼を基礎に政治・経済・社会に拡大した信頼同盟、地域と世界の平和に共に寄与する平和構築同盟に進化した。韓米同盟が冷戦同盟であるのではなく、彼らの思考が冷戦時代に閉じ込められているのだ。
また彼らは韓国軍が戦時作戦指揮権(戦作権)を米軍に譲ったことで軍事主権がない属国だと叫ぶ。軍事主権に関する無知の結果だ。軍事主権は戦作権でなく部隊指揮権一切を意味し、国軍統帥権者である大統領にある。ここには人事・情報・作戦・軍需・監察など10余りの指揮権が存在する。その中で戦時作戦に限定された指揮権が戦作権だ。これは戦時指揮体系一元化と統合作戦レベルでいつでも再設定される。ドイツは90年の統一までNATO連合司令官を務める米軍に戦作権を委任した。当時、西ドイツの軍隊は米軍司令官の戦時作戦統制を受けた。今も似ている。このためにドイツ軍が米軍に従属するという話はしない。戦作権は軍事主権でなく作戦効率性の問題であるからだ。
米軍の駐留は無期限であり、毎年1兆ウォンを超える駐留費を強要するなど、米国の地位を云々しながら不公正を叫んだりもする。これも事実の歪曲だ。在韓米軍の駐留は無期限でない。韓米間のどちらの当事国でも同盟条約の解除を通知すれば1年後に自動終息する。また、ドイツ・日本など米軍駐留国は駐留費用を分担している。韓米同盟は核の傘の提供はもちろん、平時戦争抑止、平和維持費用効果と有事の際に増援される300兆ウォン規模の先端戦力、70万人の兵力支援などを考慮すると、世界最高レベルの保障保険となる。
【韓半島平和ウォッチ】韓日米安保協力への主導的参加を宣言すべき(2)
とはいえ、どの国とも同盟を組めるわけではない。同盟国を選択する場合、基本条件がある。追求する価値・理念が同じでなければいけない。自由民主主義と市場経済、公正と正義、人権など我々の憲法的価値に合ってこそ、持続・繁栄を保障することができる。共通の敵が必要だ。敵が変われば同盟の成立も難しいが、成立するとしても長くは続かない。国家利益の衝突・侵害の可能性が低い状況でなければいけない。頻繁な衝突は同盟でなく敵となる。
韓国は1953年7月23日に休戦を迎えた。李承晩(イ・スンマン)大統領は休戦に強く反対した。金日成(キム・イルソン)がいつかまた戦争を起こすと確信していたからだ。それで安全装置として韓米相互防衛条約を要求した。米国はこれ以上かかわることを望まなかったが、李大統領の粘り強い主張に譲歩し、1954年11月18日に相互防衛条約が発効、韓米同盟が誕生した。米国は韓国戦争(朝鮮戦争)当時、約180万人を派兵し、13万人以上の人命被害が発生した。それで血盟と呼ぶ。
◆韓国の繁栄を支えた韓米同盟
韓米同盟は大韓民国の近代史と共に歩んだ。70年前に地球上で最も貧しかった国が世界10大経済大国に成長し、民主化までも達成し、世界の模範国家になった。半導体・IT最強国となり、BTSをはじめとするK-POPとKドラマ、Kビューティー、韓国料理、韓国語学習など韓流ブームが地球村のあちこちで見られる。これは韓国人の優秀性が最も大きな理由だが、戦争再発のリスクから脱して平和が維持されたおかげでもある。韓半島(朝鮮半島)平和維持の防波堤が韓米同盟だった。
同盟はプラスの面ばかりではない。安全が保障される代わりに、同盟国の責任・役割のために自律性の制約が伴う。制約が嫌なら同盟を破棄すればよいが、その結果は自律性の制約よりはるかに過酷なものとなる。代表的な事例がフィリピンだ。共産主義反乱軍勢力は反米・自主を叫びながら米軍基地の弊害を浮き彫りにし、米軍の撤収を扇動した。92年に米軍駐留延長法案が否決されると、米軍は撤収し、同盟は破局を迎えた。その代償は厳しいものだった。
まず、米軍の撤収で生じた力の空白に中国が入ってきた。中国は自らの領海法で300万平方キロにのぼるフィリピンの海上を中国領海と宣言した。フィリピン海軍が自国の領海を侵犯した台湾の漁船に実弾射撃をし、漁民が死亡すると、中国が動いて軍事的圧力を加えた。フィリピンは屈辱的な謝罪をし、賠償責任まで負った。2つ目、米軍の撤収以降、フィリピン南部ミンダナオで共産反乱軍とムスリム反乱軍が分離独立を主張するなど内戦の混乱に陥った。今でも治安が不安定で海外旅行忌避地域だ。3つ目、米軍が撤収すると、フィリピン内の外国資本の60%が抜けて経済が破綻した。
1960年の韓国の1人あたりの国民所得は76ドル、フィリピンは250ドルだった。フィリピンはアジアで日本に次いで2番目の富国だった。2020年には韓国が3万2000ドル、フィリピンが3300ドルと逆転した。フィリピンの没落は独裁政権の無能・腐敗が主な要因だが、米軍の撤収が決定的だった。結局、2014年に米国と防衛条約をまた締結し、米軍の駐留を許容するなど再起に向けてもがいているが、容易ではないようだ。
韓米同盟も危機を迎えている。政治的ポピュリズムに揺れ、血盟という言葉が薄れるほど信頼が崩れた。特定勢力が自主・反米を叫び、米大使官邸の塀を越え、在韓米軍の撤収を扇動している。
◆戦作権は作戦効率性の問題
この勢力は韓米同盟を冷戦同盟だとして同盟破棄を煽る。54年の締結時点で見ると冷戦同盟であるのは事実だ。しかし90年代初めに冷戦が終息し、韓米同盟は新たに発展してきた。特に2013年に韓米同盟60周年を迎え、従来の軍事同盟から「21世紀包括的戦略同盟」に変わった。自由民主主義・市場経済を共有する価値同盟、信頼を基礎に政治・経済・社会に拡大した信頼同盟、地域と世界の平和に共に寄与する平和構築同盟に進化した。韓米同盟が冷戦同盟であるのではなく、彼らの思考が冷戦時代に閉じ込められているのだ。
また彼らは韓国軍が戦時作戦指揮権(戦作権)を米軍に譲ったことで軍事主権がない属国だと叫ぶ。軍事主権に関する無知の結果だ。軍事主権は戦作権でなく部隊指揮権一切を意味し、国軍統帥権者である大統領にある。ここには人事・情報・作戦・軍需・監察など10余りの指揮権が存在する。その中で戦時作戦に限定された指揮権が戦作権だ。これは戦時指揮体系一元化と統合作戦レベルでいつでも再設定される。ドイツは90年の統一までNATO連合司令官を務める米軍に戦作権を委任した。当時、西ドイツの軍隊は米軍司令官の戦時作戦統制を受けた。今も似ている。このためにドイツ軍が米軍に従属するという話はしない。戦作権は軍事主権でなく作戦効率性の問題であるからだ。
米軍の駐留は無期限であり、毎年1兆ウォンを超える駐留費を強要するなど、米国の地位を云々しながら不公正を叫んだりもする。これも事実の歪曲だ。在韓米軍の駐留は無期限でない。韓米間のどちらの当事国でも同盟条約の解除を通知すれば1年後に自動終息する。また、ドイツ・日本など米軍駐留国は駐留費用を分担している。韓米同盟は核の傘の提供はもちろん、平時戦争抑止、平和維持費用効果と有事の際に増援される300兆ウォン規模の先端戦力、70万人の兵力支援などを考慮すると、世界最高レベルの保障保険となる。
【韓半島平和ウォッチ】韓日米安保協力への主導的参加を宣言すべき(2)
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