3月にソウル市など複数の自治体が外国人労働者に対する新型コロナウイルス義務検査行政命令を下すと外国人社会は大きくざわめいた。人種差別ではないのかという抗議が相次ぎ、主要国の大使館が抗議したことでなかったことになった。一騒動で終わったが、これを通じて韓国国内の外国人労働市場がどれだけ二極化しているのか、その現実が明確に表れた。
自国民が主にホワイトカラー職に従事する駐韓米国商工会議所、30カ国以上の欧州各国の大使らの抗議でソウル市は急いで命令を勧告に変更した。多くの専門職外国人と外国人投資企業役員社員は韓国の立場では招聘された人材だ。韓国政府が10年ほど前から世界的な人材誘致に向け多くの努力をしてきたが成果は芳しくない。長期滞在外国人は60%増えたが、専門人材の滞在資格者は昨年末現在4万3000人で2010年と比べむしろ減った。
第4次産業革命時代に人工知能(AI)人材確保に向けた国同士の競争は激しい。韓国のAI専門人材は世界の専門人材の0.5%にすぎない。海外のAI専門人材が韓国に流入するより、韓国の人材が海外に流出している。
KAISTなどでAI専門大学院設立を推進しながら教授要員確保に困難を経験している。グーグルで年俸5億ウォンをもらっていた博士が韓国の大学にくれば硬直的な号俸制のため年俸が1億ウォンに減る。海外で活動する韓国人グローバル人材の韓国誘致に向けては住宅、子女の教育費などが解決されなければならない。成果と能力と連係した報償体系が確立されてこそグローバル人材を韓国に誘致できる。
◇外国人が農村地域と産業団地支える
製造業・農業・漁業分野で働く外国人労働者は命令が勧告に変わっても新型コロナウイルス診断検査を受けるほかない。特に外国人日雇い労働者の間で感染者が続出しているためだ。国家人権委員会が人権侵害の素地があるとして行政命令撤回を勧告したが、農村地域や産業団地のように外国人が主に低熟練職種で働いている自治体が行政命令を実質的に施行できる理由だ。ほとんどが低熟練人材である外国人労働者は昨年5月基準で84万8000人だ。韓国人就業者の3%水準だ。彼らに韓国での就労は人生逆転の機会だ。低熟練外国人労働者は自国でもらえる給与の10倍以上を韓国で稼ぐことができる。
韓国人の雇用を奪うという労働界などの反対を受け韓国は1990年代初めに産業研修生制度を利用して低熟練外国人労働者を中小製造業分野などに導入し始めた。実際には労働者だが研修生扱いをしているという内外の批判で産業研修生制度は一定期間の研修後に労働者として扱う制度に変わり廃止された。そのため2004年に産業研修生制度は非専門人材に滞在資格を与える雇用許可制に代替されこれまで運営されている。
新型コロナウイルス発生後の労働市場の状況として、低熟練外国人労働者が韓国人の雇用を奪うよりは、むしろ外国人労働者なくしては支えられない部門が韓国経済に多いということが通貨危機以降に改めて確認された。昨年新型コロナウイルスにより農漁村への外国人労働者流入が大きく減り、日当が70~80%上昇したが韓国人の代替人材を求めるのはとても難しかった。寒い冬にビニールハウスに住んで死亡した外国人労働者の事例で見るように、長時間労働など劣悪な労働と住宅環境に耐えられる韓国人労働者は多くない。基礎工程産業など中小製造業や4つの言語で作業案内放送をしなければならない建設業も事情は同様だ。
◇出生率0.9…移民者積極的に受け入れなくては
2020年の出生率が0.9以下に落ち、閉鎖的労働市場を対外的に開放して海外から移民を積極的に受け入れるべきという主張が提起されているが進む道は長い。
訪問就業や海外同胞滞在者として入ってくる同胞労働者が外国人労働者で最も多い。韓国の状況に不慣れで、韓国語での意思疎通もまともにできない移民3・4世代の同胞が大多数だ。彼らに対する体系的な滞在支援はない。海外同胞ではない低熟練外国人の就業経路である雇用許可制を管理する官庁は雇用労働部の雇用政策局ではなく国際協力官の所属だ。
雇用許可制は事業所の移動を制限するという理由から労働界と一部市民団体、外国人労働者は改善を要求している。同胞外国人に対しては事業所の移動を自由に許容していることも改善要求の背景になっている。だが低熟練外国人労働者の事業所移動を自由に認める国はない。外国人労働者が自由に事業所を移動できるようになれば現在の勤務先の事業所に賃金引き上げを要求したり、少しでも賃金を多く払う別の事業所に移り労働市場を不安にさせる素地があるためだ。
韓国に来れば人生逆転の機会をつかめるが、就業斡旋にともなう手数料を労働者は負担しない。職業斡旋にともなう手数料負担をなくすという趣旨で民間斡旋機関の紹介を基本的に排除した。その上で使用者の労働者選抜権も制限している。これも外国人労働者定着の障害だ。
違法滞在者が急速に増えているのも問題だ。2020年末現在の違法滞在者は39万人で、合法的就業者の半分近い人数だ。厳格な滞在管理が必要だが、取り締まりや自発的出国誘導には限界がある。現在の外国人労働者導入制度だけでは韓国の労働市場の外国人労働者に対する需要を満たせないということを示唆している。
一時的滞在を前提とした現在の低熟練外国人労働者政策基調を完全に変えなければならない。移民政策の観点から低熟練外国人労働者の活用を考えなければならない。現在のように同胞外国人だけに自由な事業所移動を許容することが合理的なのかも検討しなければならない。同胞外国人、同胞でない外国人、季節労働農村の部分から分離し、雇用労働部・法務部・自治体がそれぞれ管理する枠組みも新しく整備しなければならない。
2018年の済州島(チェジュド)でのイエメン難民受け入れに関連した議論は韓国社会が少子化対策のひとつとして居住目的の移民導入を推進するためには多くの準備が必要だということを示唆している。何よりも外国人材を別個の集団ではなく韓国社会の一員として受け入れる社会的認識と共感が広がらなければならない。単一民族という閉鎖的認識を克服することが韓国社会全体が抱える宿題だ。
パク・ヨンボム/漢城(ハンソン)大学経済学科教授
自国民が主にホワイトカラー職に従事する駐韓米国商工会議所、30カ国以上の欧州各国の大使らの抗議でソウル市は急いで命令を勧告に変更した。多くの専門職外国人と外国人投資企業役員社員は韓国の立場では招聘された人材だ。韓国政府が10年ほど前から世界的な人材誘致に向け多くの努力をしてきたが成果は芳しくない。長期滞在外国人は60%増えたが、専門人材の滞在資格者は昨年末現在4万3000人で2010年と比べむしろ減った。
第4次産業革命時代に人工知能(AI)人材確保に向けた国同士の競争は激しい。韓国のAI専門人材は世界の専門人材の0.5%にすぎない。海外のAI専門人材が韓国に流入するより、韓国の人材が海外に流出している。
KAISTなどでAI専門大学院設立を推進しながら教授要員確保に困難を経験している。グーグルで年俸5億ウォンをもらっていた博士が韓国の大学にくれば硬直的な号俸制のため年俸が1億ウォンに減る。海外で活動する韓国人グローバル人材の韓国誘致に向けては住宅、子女の教育費などが解決されなければならない。成果と能力と連係した報償体系が確立されてこそグローバル人材を韓国に誘致できる。
◇外国人が農村地域と産業団地支える
製造業・農業・漁業分野で働く外国人労働者は命令が勧告に変わっても新型コロナウイルス診断検査を受けるほかない。特に外国人日雇い労働者の間で感染者が続出しているためだ。国家人権委員会が人権侵害の素地があるとして行政命令撤回を勧告したが、農村地域や産業団地のように外国人が主に低熟練職種で働いている自治体が行政命令を実質的に施行できる理由だ。ほとんどが低熟練人材である外国人労働者は昨年5月基準で84万8000人だ。韓国人就業者の3%水準だ。彼らに韓国での就労は人生逆転の機会だ。低熟練外国人労働者は自国でもらえる給与の10倍以上を韓国で稼ぐことができる。
韓国人の雇用を奪うという労働界などの反対を受け韓国は1990年代初めに産業研修生制度を利用して低熟練外国人労働者を中小製造業分野などに導入し始めた。実際には労働者だが研修生扱いをしているという内外の批判で産業研修生制度は一定期間の研修後に労働者として扱う制度に変わり廃止された。そのため2004年に産業研修生制度は非専門人材に滞在資格を与える雇用許可制に代替されこれまで運営されている。
新型コロナウイルス発生後の労働市場の状況として、低熟練外国人労働者が韓国人の雇用を奪うよりは、むしろ外国人労働者なくしては支えられない部門が韓国経済に多いということが通貨危機以降に改めて確認された。昨年新型コロナウイルスにより農漁村への外国人労働者流入が大きく減り、日当が70~80%上昇したが韓国人の代替人材を求めるのはとても難しかった。寒い冬にビニールハウスに住んで死亡した外国人労働者の事例で見るように、長時間労働など劣悪な労働と住宅環境に耐えられる韓国人労働者は多くない。基礎工程産業など中小製造業や4つの言語で作業案内放送をしなければならない建設業も事情は同様だ。
◇出生率0.9…移民者積極的に受け入れなくては
2020年の出生率が0.9以下に落ち、閉鎖的労働市場を対外的に開放して海外から移民を積極的に受け入れるべきという主張が提起されているが進む道は長い。
訪問就業や海外同胞滞在者として入ってくる同胞労働者が外国人労働者で最も多い。韓国の状況に不慣れで、韓国語での意思疎通もまともにできない移民3・4世代の同胞が大多数だ。彼らに対する体系的な滞在支援はない。海外同胞ではない低熟練外国人の就業経路である雇用許可制を管理する官庁は雇用労働部の雇用政策局ではなく国際協力官の所属だ。
雇用許可制は事業所の移動を制限するという理由から労働界と一部市民団体、外国人労働者は改善を要求している。同胞外国人に対しては事業所の移動を自由に許容していることも改善要求の背景になっている。だが低熟練外国人労働者の事業所移動を自由に認める国はない。外国人労働者が自由に事業所を移動できるようになれば現在の勤務先の事業所に賃金引き上げを要求したり、少しでも賃金を多く払う別の事業所に移り労働市場を不安にさせる素地があるためだ。
韓国に来れば人生逆転の機会をつかめるが、就業斡旋にともなう手数料を労働者は負担しない。職業斡旋にともなう手数料負担をなくすという趣旨で民間斡旋機関の紹介を基本的に排除した。その上で使用者の労働者選抜権も制限している。これも外国人労働者定着の障害だ。
違法滞在者が急速に増えているのも問題だ。2020年末現在の違法滞在者は39万人で、合法的就業者の半分近い人数だ。厳格な滞在管理が必要だが、取り締まりや自発的出国誘導には限界がある。現在の外国人労働者導入制度だけでは韓国の労働市場の外国人労働者に対する需要を満たせないということを示唆している。
一時的滞在を前提とした現在の低熟練外国人労働者政策基調を完全に変えなければならない。移民政策の観点から低熟練外国人労働者の活用を考えなければならない。現在のように同胞外国人だけに自由な事業所移動を許容することが合理的なのかも検討しなければならない。同胞外国人、同胞でない外国人、季節労働農村の部分から分離し、雇用労働部・法務部・自治体がそれぞれ管理する枠組みも新しく整備しなければならない。
2018年の済州島(チェジュド)でのイエメン難民受け入れに関連した議論は韓国社会が少子化対策のひとつとして居住目的の移民導入を推進するためには多くの準備が必要だということを示唆している。何よりも外国人材を別個の集団ではなく韓国社会の一員として受け入れる社会的認識と共感が広がらなければならない。単一民族という閉鎖的認識を克服することが韓国社会全体が抱える宿題だ。
パク・ヨンボム/漢城(ハンソン)大学経済学科教授
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