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【社説】韓国与党大統領候補のバラマキ、国をさらに苦しくさせる

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

韓国の経済官僚経験者5人が共同発刊した『経済政策アジェンダ2022』。正統経済官僚が高所得者から今のように税金を集めて、低所得層には政府が補助金を支給する負の所得税導入を提案した。分配の正義を重視した点では注目を浴びている。[写真 21世紀ブックス]

韓国与党「共に民主党」大統領候補が公式出馬する前から、有権者に取り入る得票戦略としてバラマキ福祉政策を競争的に出している。丁世均(チョン・セギュン)前首相は先月29日、光州(クァンジュ)で青年に1億ウォン(約980万円)を支援しようという破格的な案を提示した。出生時から国家が20年間資金を積み立てて社会人になった時に1億ウォンを支援するやり方だ。名称は「未来の種通帳制度」という。両親から受け継ぐ資産のない青年たちのために国家が直接資産を形成して渡すという「社会的相続」という概念を掲げ、一見すると非常にそれらしくみえる。不平等問題の解決を喫緊の課題に挙げてきたフランスの学者トマ・ピケティ氏の「基本資産」からアイデアを得たという。

だが、どこの国にも採択されたことがない机上の空論だ。富の両極化は当然解消しなければならないが現実性がないためだ。現政権の所得主導成長も国際労働機関(ILO)からアイデアを取ってきたが、脆弱階層の所得と貧富格差だけを悪化させた最悪の政策実験であることが判明した。われわれがその前轍を再び踏むことはできない。

バラマキ福祉競争に燃料を入れて火をつけた李在明(イ・ジェミョン)京畿(キョンギ)知事は毎月20万ウォンから始まって50万ウォンに増やしていく全国民基本所得を提案している。李洛淵(イ・ナギョン)前民主党代表は新福祉構想を打ち出した。所得・住居・教育など8大生活領域で適正水準を達成する政策だ。


それこそこれらの福祉政策が許京寧(ホ・ギョンヨン)式バラマキ政策と本質で何が違っているのかから尋ねざるをえない。福祉は、財政状態と合理的な対象者選びがカギだ。だが、彼らは財源調達に対しては言葉少なだ。しかも、現政権になってバラマキ福祉が乱発されて国家の蔵はすでに底をついて久しい。今年の福祉予算は200兆ウォンを超えた。

このような状況で大統領選挙局面に有利なポジションを取るためにバラマキ競争を行うのは無責任だ。ポピュリスト政治家だったギリシャのパパンドレウ元首相が「国民が願うものはすべて与えよ」と言った後、国がどうなったか。ギリシャは結局、財政破綻を避けることができなかった。国と青年の未来を考える政治家なら、企業投資活性化と青年雇用創出に対して実質的な対策を用意することが政治家の責務ではないのか。無料福祉は勤労意欲を低下させる麻薬という警告にも耳を傾けてほしい。

大統領を夢見るなら、バランスの取れた意見に耳を傾けなければならない。このほど邊陽浩(ピョン・ヤンホ)・任鍾龍(イム・ジョンリョン)・李錫駿(イ・ソクジュン)・金楽会(キム・ナクフェ)・崔相穆(チェ・サンモク)ら経済官僚経験者5人が共同発刊した『経済政策アジェンダ2022』を参考にするべきだ。彼らは高所得者には今のように税金を徴収し、一定水準以下の低所得層には差別的に政府が補助金を支給する「負の所得税」方案を提示した。福祉制度を統廃合して財源を用意し、分配の正義を強調した点で進歩陣営でも傾聴するに値する。幅広く意見を聞いて現実性のある福祉政策を策定するよう望む。



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