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【時論】「集団うつ病」の韓国社会をいち早く治癒するには

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国ではうつ病の治療を受けた人が昨年1年間で100万人を越え、3年間で2倍に増えたという衝撃的な事実が最近発表された国民健康保険資料を通じて確認された。精神疾患がある場合、病院を訪問する比率が約22%程度なので、実際には400万~500万人が憂うつ症状を示していると類推することができる。

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)事態で社会的関係が遮断されてすでに1年をはるかに超えた。ある研究報告によると、コロナによる外部活動の制限や社会的孤立で孤独を感じるという人が75%にもなる。コロナ事態の長期化による社会的孤立は憂うつ・怒り・不安のような否定的感情を大きくさせる。特に経済的困難はこのような症状をさらに進行させるため、コロナによって小商工人の売上が25%も減少したという統計にも注目する必要がある。

このようにコロナ事態の長期化によってもたらされた変化により、多くの人が憂うつを越えて無気力と意欲喪失はもちろん、自分にはできることがないという挫折感と、一生懸命やっても変わらないという虚無感に陥る「バーンアウト症候群」を示している。


LH不動産不正投機事件、ネロナムブル(「私がすればロマンス、他人がすれば不倫」、ダブルスタンダード)、平等と公正の価値喪失などにより、民心の怒りが今回のソウルと釜山(プサン)市長補欠選挙で爆発したという分析があった。特に若者層である20・30世代の挫折と怒りは十分に予想されたことだ。人間の基本的欲求である居住に対する不安定と就職絶壁によって、未来に対する希望よりは、挫折感から抜け出すことが難しくなった。

怒りの裏面には憂うつがある。憂うつと怒りはコインの両面だ。精神的エネルギーが自身に向かえば憂うつになるが、外部へ向かえば怒りとして表出される。天井知らずの高騰を続ける住居価格と急激な税金負担の増加は国民に心理的剥奪感・無力感・憂うつ感と同時に怒りを植えつけた。

フロイトは憂うつ症状は喪失からくると分析した。当たり前だと思っていた平凡な日常の喪失によって、社会全体がうつ病にかかったのだ。

文化評論家である在独哲学者ハン・ビョンチョルは著書『憂うつ社会』で現代社会を憂うつ・不安・過労などの神経症的要素であふれた社会として特徴づけた。心理的拘束やアイデンティティの不安定性、個人の無力感がうつ病を深める理由だと分析した。また、うつ病は個人が統制できないものの前で何もできないことによって得る病気だと説明した。ハン・ビョンチョルはうつ病の背後にはこのような成果を重視する現代社会の圧力が置かれていて、これを克服するためには、成功に対する果てしない誘惑から個人の反省と自覚が必要だと主張した。

それなら憂うつと怒りの社会である韓国社会を解決する方法はないのだろうか。ハン・ビョンチョルの観点から見ると、成果を最優先価値に置くよりも生活の質、道徳性、公正性のような原則、そしてこれによって若者層が希望を持つことができる社会を作ることだ。偽りや飾り、不法で得た情報を通した富の蓄積、不正入学による既得権維持は行き過ぎた成果中心社会がもたらした暗い断面だ。特に若者世代の目には公正・正義・平等という常識的な価値の混乱を招く。このような価値の喪失、公正な社会に対する信頼と希望の喪失も社会全体を憂うつにさせる要素の一つだ。

したがってコロナの克服はもちろん、同時に極めて常識的な韓国社会の道徳性回復と常識が通じる社会での復帰が、現在の暗うつな憂うつ社会を克服する方法だ。誰でも一生懸命にやれば自分の望みがかなえることができ、自身の価値を実現できる社会への復帰が急がれる。

個人の努力も必要だ。持続する社会的孤立を否定的ばかりには見ずに、肯定的な機会として活用する必要がある。自分自身・家族・友人との関係を考え直してみて、再確立する省察の時間を設けるのも憂うつ感を抜け出す一つの方法になるだろう。

クォン・ジュンス/ソウル大学病院精神健康医学科教授

◆外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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